令和6年京都市長選挙の所感

はじめに

 個人的には堅い話(真面目な題材)はあまり好まないが、これからも京都市民だと思うので思ったところを書き記したい。
 なお、書き手の政治的信条が文章に表れないように気をつけるつもりである。また、簡略な説明とするため、説明の不十分な箇所があることをご容赦願いたい。

今回の候補者

 長きに渡り、市政を牽引してきた門川大作氏が出馬しないことを明らかにし、候補者全員が新顔の選挙になることとなった。最終的な候補者は福山和人氏、村山しょうえい氏、二之湯真士氏、松井こうじ氏、高家悠氏となった。

4期16年にわたる門川市政の終わり

 京都市は財政破綻寸前と報道された。地方公共団体は歳出(支出)と歳入(収入)が一致するように予算が編成される。ただ、京都市は歳出超過となっており、本来であれば予算編成できないところ、公債償還基金(借金返済のための積立金)を計画外に取り崩し、歳入に充当していた。その公債償還基金も枯渇する手前となり、この事実が公表された。
 翌年、単年度の決算では黒字となった。門川氏は財政危機からの脱却に道筋をつけたとし、2024年2月24日の任期満了で退くことを表明した。
 今回の単年度の黒字にあたり、敬老乗車証の値上げや保育園の補助金見直しなど、市民への痛みを伴ったことにより、財政や福祉への問題。また、インバウンドもコロナ禍以前に迫る増加となり、オーバーツーリズムによる市民生活への弊害が争点となった。

各候補者の特徴

 各候補者のマニフェスト等を簡単にまとめようと思う。また、各候補者に対しての感想や意見も適宜付していく。

福山和人氏

 共産党が支援する候補者。門川市政の福祉削減を批判し、福祉の拡充を訴える。「すぐやるパッケージ」として、京都市予算の1%で保育園補助金や敬老乗車証の額を以前に戻すことを軸としている。
 「ハコモノより市民の生活」
 とにかく、市民の生活を重視するとの訴えである。
 苦しい市民生活にアプローチしている点は得票に繋がるが、京都市で特に重要な観光に関して、もう少し踏み込む必要があると思う。

村山しょうえい氏

 京都市の財政の健全化が主な軸。高収益企業の誘致。公教育の充実、洛西など市中心以外の開発も掲げる。
 維新、京都党、前原誠司氏が発足した教育無償化を実現する会の推薦を得ていたが、架空政治パーティー疑惑により推薦取消し。
 市議として重ねた実績、政策の公約の具体性はあったものの、苦しい展開となった。
 維新支持者との親和性の高い公約だったため、推薦取消しがなければ、かなり得票していたと思われる。
 大きく変えたいと願う市民の受け皿に。

二之湯真士氏

 元府議、元公安委員長の二之湯智氏の息子。府と市の二重行政解消、北陸新幹線現行ルート廃案、LRT(路面電車)導入。
 LRTで市バスが抱える課題を解消できるのか疑問。(しっかりと内容を精査できていない自分の問題もある。)
 候補者自身に熱を非常に感じる点はよかったが、「投票しよう」というヒキはなかった。
 おそらく、政策面で門川市政から抜本的に改革できるビジョンが私自身持てなかったからであろう。

松井こうじ氏

 自民、公明、立憲民主、国民民主推薦候補。通産省(現経産省)や参議院議員などで中央とのコネクションがある。
 改革からは遠いが、手堅いイメージ。
 自民党の政治資金問題があり、厳しい部分もあった。
 事実上の門川氏の後継者であり、市政に不満を持つ層からは支持は難しい。
 公約等、これまでの経歴から手堅く、もう少しセンセーショナルな内容が欲しいとも思った。

 高家悠氏

 顔写真の公表なし。直前の立候補。情報の少なさから投票先が決められなければ選択肢の一つかという、白票的存在に感じた。
 選挙活動も見えず、当選する気があるのかは不明。

 開票結果

 結果は松井こうじ氏が177,454票で当選。福山和人氏が161,203票でかなり詰め寄った。
 村山しょうえい氏が72,613票、二之湯真士氏が54,430票、高家悠氏が2,316票であった。
 投票率は41.67%であり、当選した松井こうじ氏は37.9%であったため、全有権者数の約16%で当選していることになる。
 当選してもなお、松井こうじ氏は気が抜けない結果であった。
 推薦取消しがあっても、村山しょうえい氏の得票数を見る限り、現状が大きく変わって欲しいと願う市民の多さが伺える。

おわりに

 選挙があれば、自分の一票で変わるか、変わらないかはともかくとして、よく考えて一票を投じるべきである。投票していない有権者が投票すればまた違う結果になるからだ。
 選挙という形で首長を選ぶ以上仕方がないが、全有権者のたった20%たらずが支持すれば市政を担えることを念頭に置きたい。
 選挙は戦いである以上勝つ必要がある。しかし、今回であれば京都市をよくするために立候補する以上、候補者には他の候補者へのリスペクトを持ち、自分の支持者以外の声も汲み取る必要がある。
 まとまりも、おもしろみもない文章であったが、以上で筆を擱く。

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