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レディースはホーム最強 セレッソ大阪堺レディースvs伊賀FCくノ一三重

ヨドコウ桜スタジアムで初のセレッソ大阪堺レディース公式戦。建設募金に協力いただいた方へは優待価格でご案内するとのハガキが来たのがきっかけ。


堺レディースの試合は個人的に久しぶりで、スマホをさかのぼると2018年のマイナビベガルタ仙台レディース戦以来の観戦。でもあの頃より選手もかなり入れ替わって、やるサッカーも変わったなーと感じた試合だったので観戦記。




そもそもセレッソ大阪堺レディースとは

今年9月ついに日本初の女子サッカープロリーグ・WEリーグが誕生。まだまだ普及段階にある日本の女子サッカーだが、WEリーグをきっかけに普及に向けて新たな流れが生まれるかもしれない。


しかし今季のWEリーグ参加クラブの中にセレッソ大阪堺レディースの名前はない。

これはWEリーグの参入条件である「プロA契約選手5名以上およびプロB・C契約選手10名以上と契約を締結すること」に該当しないことが理由。

セレッソ大阪堺レディースは創設した2010年以来、選手編成は学生が中心、かつすべての選手をアカデミーからの育成組織や高校からの出身の選手でまかなうという徹底した育成型の方針を掲げている。いずれはWEリーグに参戦する意向はあるようだけど、今のところ15人とプロ契約するのは非現実的。


なので昨年末は10選手が他クラブからプロ契約のオファーを受けて退団。でも堺レディースは他クラブからの選手補強はせず、セレッソ大阪堺ガールズ出身の選手を昇格させるなど生え抜き選手のみの編成を貫く形で選手を入れ替えた。



この育成型クラブの方針を10年も継続してきたので、もう堺レディースの確固たるベースとして成り立っている。この方針の中で毎年安定した選手育成とチーム強化を進めることができるのが堺レディースの強み。どんなチーム作りをやるにも、良い取り組みを継続することが大事ですね(トップチームは果たして...?)。



女子サッカーは男子サッカーと比べるとどうしてもフィジカルやスピード、パワーの部分で異なる部分が多い。にもかかわらず男子と同じコートサイズでプレーしないといけないわけだから実際にプレーしている選手たちは正直大変だと思うけど、本当に凄いと思う。


女子選手の中でもフィジカル・パワーが飛びぬけている選手はやはり強い。特にアメリカはそもそも選手の数が多いけど強さと高さを持つ選手がいつも揃っている。



堺レディースはまだ10代の選手が多いので突き抜けた高さや強さを持つ選手がそこまで多いわけではない。試合を観た限りでは、個別・ポジション別にみると様々な強みを持っているが、どちらかというとスピードや裏への飛び出し、足元の技術を強みとする選手の方が多かった。


相手の伊賀FCくノ一三重はなでしこリーグ1部得点ランキング1位につける西田明花選手を筆頭に高さのある選手も揃っており、実力はリーグトップレベル。試合後のヒーローインタビューで初めて気づいたのだが、伊賀はすでに前節なでしこリーグ1部優勝を決めたばかりだったらしい。ちなみに堺レディースは4位。




シュート数では圧倒されるも主導権はセレッソ

ここからは試合の内容を。この試合は13時キックオフで、ピッチは日向、スタンドは日陰。プレーする選手、サポーターにとってそれぞれ最高の環境が整った。


優勝を決めた伊賀だが先発メンバーは前節と変わらず。試合はお互いに4バックでスタート。


体格で勝る伊賀が前半から堺レディース陣内でセカンドボールを回収してサイドから攻め込み、セットプレーでチャンスを伺うシーンが目立つ。しかし堺レディースも撤退守備で対抗。31分に中村ひかる選手のシュートがクロスバーを叩くなど決定機は作られたものの、先制点を許さなかった。


堺レディースの戦い方を観ていて面白かったのは、GKも参加して後ろからボールを繋ぐやり方を取っていて、これトップチームのビルドアップのやり方に影響受けてないか?と感じるシーンが何度もあったこと。ざっくり言うと2CBが両サイドに開き中盤が真ん中に1人降りて両サイドバックが高い位置にいる状態をセットして、丁寧に後ろから繋ぐといった感じ。でも可変して3バックにしてってほどの形でもない。形は違えど、レディースも日頃後ろから繋ぐことを意識したトレーニングに取り組んでいるんだろう。

堺レディースがここまでビルドアップの形を意識しているのを見たのは初めてかもしれない。


ただポジショニングやパスの精度が怪しくなったりして奪われてしまう場面も何度かあった。しかしビルドアップのミスは撤退守備でカバー。伊賀は大きなサイドチェンジとか幅を使った攻撃というのもないので、サイドに人数をかけてスペースを埋めて球際で勝負して奪う形で対応。

逆に堺レディースが伊賀のプレスを上手くはがすことができたら、スペースができているのでそこを使って速攻。何度かオフサイドに引っかかってしまったが、いわゆる「セレッソらしいアグレッシブな攻撃」を見せていた。


普段堺レディースを細かく観ていないし相手次第でまた違うのかもしれないが、チームとしての戦い方、型が確かに存在し、それを表現できるチーム力があると感じた。




35分、カウンターからCKを得て、ゴール前へのボールは一旦クリアされたがそのボールを宮本光梨選手が中央付近で回収したところで相手は守備ラインを押し上げ。ここでそのまま宮本選手が相手の背後へアーリークロスを入れるとオンサイドから抜け出してきた百濃実結香選手がワンタッチでゴールを決めて堺レディースが先制。


百濃選手はスピードに乗ったドリブル、裏への抜け出しが特徴の選手のようで、72分に足を攣って交代で下がるまで左サイドから積極的な攻め上がりとスピードを発揮して堺レディースの大きな推進力となっていた。堂々のマンオブザマッチ。


堺レディースは後半開始早々相手のプレスを受け、47分、48分とゴール前でシュートを打たれる場面もあったが、相手のシュート精度に助けられた。もっとも、枠内に飛んだシュートやサイドからの鋭いクロスに対してはGK山下莉奈選手が素晴らしい対応。特にキャッチングに関してはノーミス。ボールをこぼして隙を見せることはなかった。


64分にその山下選手にボールが戻ったところで山下選手はロングパスを選択。これを相手ボランチがクリアしたがボールは2CBと2CHの間にこぼれた。伊賀はここでクリアではなくつなぐことを選択したが堺レディースが猛烈にプレスをかけると、田畑晴菜選手がボールを奪い守備ラインの裏に抜け出し相手GKと1対1の状況に持ち込むことに成功。冷静にゴール左下に流し込んで堺レディースが点差を2点に広げる。



これで堺レディースは無理にスコアを動かす必要がなくなった。試合後のスタッツを見るとシュート数4対17で一方的な数字だったが、内容としては守備の強度が最後まで落ちることはなく、チャンスと見るや3点目を狙いに行くなど、完全に試合の主導権を握っていた。


ただ77分にバックパスをそのまま奪われて1対1の場面を作られ、79分には左サイドからの折り返しを合わせられる場面もあったが、どちらも山下選手が素晴らしい反応で対応した。山下選手は前節8試合ぶりに先発に復帰したばかりのようで、これで2試合連続で無失点を記録。今後に期待できるプレーをたくさん見せていた。


試合はこのまま2-0でセレッソ大阪堺レディースが勝利。ヨドコウ桜スタジアム初の公式戦で見事な勝利を収めた。




所感

セレッソ大阪堺レディースはセレサポなら誰もが少しは気にかけている存在だと思うが、実際の雰囲気は今ならYouTube配信もあるのでそこで追っかけるか、こうして実際に観に行くことで感じるしかない。でもセレサポなら一度は堺レディースの試合を観ることをお勧めしたい。



久しぶりに行ったけどみんな本気でサッカーに取り組んでるし、セレッソの看板を背負ってプレーしている選手はやっぱり応援したくなる。

出番の少ない選手がチャンスをものにしている光景とか若くてポテンシャルの高い選手をたくさん観ることができるとか、まさに育成型クラブって感じで。少なくとも今のレディースのサッカーは1回ちゃんと観た方がいい。良くも悪くもトップチームに影響されてるなと感じるプレーが結構あるので(笑)


個人的には普段トップチームの試合なら中々観ることができない席で観れたのも満足。今後もヨドコウ桜スタジアムでもっと試合をしてほしい。使用料の問題はあると思うがせっかく改修してバージョンアップしたんだしできる限り試合やってほしいな。


試合後のヒーローインタビューで百濃選手が「もっとレディースのことを知ってもらってたくさんの方に応援して頂けるチームになれるように頑張るので応援よろしくお願いします」とめちゃくちゃピュアな100点満点のコメント。



WEリーグ参入はしばらくなさそうなので、来季以降はなでしこリーグ1部優勝を意識して戦うことになるか。セレサポとして引き続き応援していきたいと思います。行ってよかった。





P.S. レディースのスタジアムDJの和田りつ子さん久々に観た。数年前のサンガ時代のイメージがまだ抜けない。。また記者さんたちの裏話聞きたくなった。また某イベント開催あるのかな。


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