フェーズ4 〜覚悟と成長
貴重な経験
苦悩と苦痛と絶望があったとはいえ、そんな会社で働いたことは後悔していない。なぜなら今も生きていく上で自分の芯になっている、とても大切なことを学んだからである。教えてもらったわけではなく、学ばなければ生きていけなかったのだが、このような過酷な環境は望んで手に入るものではない。結果論なのか考え方なのか、貴重な経験ができたのは間違いない。
考える、ということ
"考えること"。この言葉に尽きるかもしれない。成長というのは困難や問題を乗り越えるからこそ得られる結果だと思っている。それには考えるということがとても重要になる。誰しも壁にぶち当たる時があって、それを考えて、失敗して、また考えて、チャレンジして、そして成功することで、少しずつ成長していく。
ただ考えることだけではなく行動することも同じくらい大切である。失敗をたくさん経験するからこそ、精度と質が上がっていく。私もたしか1年くらいは訳もわからないままひたすら飛び込み営業をやり続けた。その絶対的な量がいつしか壁となり疑問となり、考えることの大切さを学ばせてくれた。
本当のところは、担当エリアにもう飛び込む店がなくなっていたのだ。門前払いや罵声を浴びた所に2度目3度目の飛び込みは精神的につらい。考えなければ先がなかったのだ。
自責で考えること
「自責」これも今の自分もとても大切にしている考え方である。景気が悪いから仕事が取れない、あの部署のあいつさえミスしなければ、上司が納得してくれない、競合に価格で負けた、外部要因的な理由を私もよく口にしていた。ただいつのタイミングからか、これら単なる無駄な言い訳だと思うようになった。突飛な考え方かもしれないが「もし自分が孫正義だったら、スティーブ・ジョブスだったら、本田圭佑だったら、イチローだったら、伝説の営業マンだったら」。誰がやっても結果は同じであっただろうか。もちろんそう思えなかった。つまり悪いのは自分でしかないと気付けたのだ。
自責で考えるのは正直辛いし苦しい。他責にしてしまえば気持ちは楽だ。それでも自責で考えることができなければ、何も変わらなかった。
仕事が取れないのも、上司に怒られるのも、給料が安いのも、全て自分が原因だと。
自責で考えることが行き過ぎなのか、現職では競合に負けた時の理由が価格だとは一度も思ったことがない。自分を信頼してもらえたら、サービスの本当の価値を伝えることができれば、お客様も価格なんて二の次で稟議だの決裁だのはうまくやってくれるものだ。ようは私という人間の評価が足りなかっただけなのだ。
前向きな言葉を口にする
つらいとき、苦しいとき、誰だって弱音を吐きたくなるし、社会や他者や会社に愚痴も言いたくなる。それはきっとみんな同じ。でも成功する人たちは、憧れる人たちはみんな、そんな言葉は口にしない。
自分の営業成績が全く上がらず、ずっとそれは会社や景気のせいにしてきた。毎日愚痴を言っていたし、考えていた。でもそれで心が楽になるのはほんの一瞬。解決策は成長するしかなかないと気付いた。
ふと焦りを感じて、学も経験もマインドもない自分はどうすればいいか分からず、もうとにかく色んな人を真似ようと思って人間観察をした。するとできる人たちには言葉にある共通があったのだ。前向きなことばっかり言っていると。
結果はどうであれば、何でも前向きな視点に変えていた。藁にもすがる思いでひたすら真似してみた。するとどうだろう、不思議なことに口に出した通りに現実がついてきたのが実感できた。
明日も楽しみだなぁ。
お金は使った分だけ必ずかえってくる。
これはチャンスだなー。
今日はきっと良いことがある。
毎日良いことがあったし、本当にお金は使った分だけ返ってきた。楽しみにすれば明日は楽しくなり、辛いことや悩み事はチャンスと捉えられてストレスがグッと減った。
言葉にすることで思考も変わり、行動も変わり結果が変わってきたのが実感できた。
成長、そして転職
そんなこんなで約3年、苦しみながらも成長してきた私は、営業としての自信を得て、兼ねてから決めていた転職を決意。
何社か内定が出た中で選択したのは、大手企業の子会社の営業であった。通信業界のインフラ的なサービスを売る会社である。ネームバリューのある、安定イメージの強い会社だ。とにかく金銭的なコンプレックスが大きく、金銭的な安定を得ることこそが人生のゴールだとこの頃思っており、安定重視での選択となった。
そしてこの会社が今もなお勤める会社であり、自分という存在を一回りもふた回りも成長させてくれることになる。
フェーズ5へ続く...