見出し画像

0237 “家具の博物館”より-博物館のあり方を考える

知る人ぞ知る”家具の博物館”に足を運ぶ。

概要 - 設立経緯をHPより

1972(昭和47年)
東京都中央区晴海のジャパン・インテリア・センタービル2階に「家具保存協会・家具の歴史館」として開設。フランスベッド株式会社の創業者である池田 実氏の発起。フランスベッドグループ各社の協力。

急速な住環境の変化によって、ともすれば散逸しがちな家具を収集保存。後世に伝えなければならないとする池田実氏の情熱による。

開設当初は箪笥や椅子を中心に資料は900点ほど。多くの方々の支援で、現在では1800点余り。設立時に掲げた「家具の伝統-継承-創造」をテーマとして博物館活動継続。

その後、1979(昭和54年) 財団としての法人化。「家具の博物館」と改称。博物館活動を続ける。2004(平成16年) 諸般事情により東京都昭島市中神町に移転。

投稿者一部編集
家具の博物館

博物館に求めるもの - “体系化”と”本物があること”と”わかりやすさ”と- 

いくつかの博物館を回って、自分の中で、博物館に求めることがわかってきた。

まず、その展示が時間軸的、地勢軸的に、どこに位置するのか。全体像をつかませてほしいという気持ちになる。美術館に求める自由に自分の中の感想と会話するそれと異なる。知識をつなげたいという欲求が強い。
その点、家具の博物館は、やや物足りなさを感じる。スペースを考えると仕方がないが、総花的に集めたもので構成すると、どうしても受け取る側の知識量によって、得るものも格差がでる。

次に本物があること。これは、とてもすばらしい。収集し数を増やしている。銘打たれた”家具の博物館”という呼称に名前負けしていない。

最後にわかりやすさ。いいところと改善してほしいところがある。まず、コレクトした数に対して、展示数をおさえている。ごちゃごちゃしすぎていない。見せたいものがはっきりしている。好感。改善点は、家具の歴史全体をみせて、最初に言及した時代と場所をより明確にしてほしい。それによって、どこに特化した博物館なのかがわかる。

博物館の意義

この博物館が掲げた”家具の伝統-継承-創造”。古きよきものを残し継承する意味は、次の時代にUpdateさせていくためだと思う。歴史を知らないと、軽薄になりがちだし、軽薄に感じさせる。この”重み”の説得力は、大切。ゼロベースで創造することも必要だが、ここはバランス。

理想の”住”の博物館は?

こういう”住”の博物館があればなと思うことを書いてみる。

  • 世界の歴史をなぞらえている

  • 体系的に歴史上の家具の特徴とその形状の理由がわかる

  • それぞれの家具の起源や発明がわかる

  • 家具を作ることの体験ができる

  • 家具を作ることの経済性もわかる

  • ほかの分野の学問との関連性がわかる(人体工学、林業、社会学、心理学)

  • ライフスタイルの違いと家具のサイズやデザインの違いの関連性がわかる

  • 色のもたらす効果がわかる

  • インスタレーション的な気付かせる仕掛けがある

  • 各国言語で鑑賞可能

  • 文字の情報量が適切で、ポイントを明確に伝えている

博物館の展示は、対人コミュニケーションやプレゼンに似ている。どのように相手に伝えるか?興味をもっえもらうか?相手をどういう行動にさせたいのか?ただ展示をして、自由にみて、自由に感じてでは、魅力が半減する。そういう分野に関わるのも悪くないと思う今日この頃。

ギャラリー 

フランスベッド東京工場の膝下にある
入り口
椅子は多い
椅子好きにはよい
サイズ感、湾曲したアームのR
素材感など楽しめる
ここでは誰しも立ち止まる
なつかしの学校の机椅子セット
この歴史をもう少し深ぼると
面白いものができそうと思った
重厚な家具は
イギリスのものが多かったか
美術史や政治史もわかるとより
楽しめると思う
ウィンザーチェアコレクション
和家具も数多く展示
興味深い火事場から逃避できる
車付きのタンスなども
池田実 フランスベッド創業者
1920-1999 日本大学経済学部卒
1949年双葉製作所を設立。スクータ用シートを製造。1956年からベッドの製造・販売に転換。のちフランスベッドと改称。全日本ベッド工業会会長も務めた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?