伊藤 健:FRB、金利の変動なし、本年中に再び利上げの可能性を示唆

伊藤 健:FRB、金利の変動なし、本年中に再び利上げの可能性を示唆
9月20日、FRBは、主要な金利の据え置きを決定しました。これは、最近の3回の会議中で2度目の決定です。物価の上昇圧力が緩和していることを背景に、インフレ対策の緩和が示唆されています。しかしながら、理事会の方々からは、今年中にもう一度の利上げの可能性が示されています。
 
消費者物価指数によるインフレ率は、2022年6月の前年比9.1%から3.7%へと減少していますが、FRBの2%の目標を大きく上回っています。9月20日の会議において、インフレ抑制の成功宣言は近いわけではないと明言されました。現在のインフレは、過去40年間で最も厳しい状況とされています。最新の決定により、基準金利は約5.4%で維持されることとなりました。FRBは、2022年3月より利上げを開始し、11回の利上げを経て現在の金利水準に至っています。
 


米国の中央銀行に該当するFRBの方針としての利上げは、消費者および企業の借入れコストを大きく上昇させています。理事会は金利政策の微調整を通じて、米国経済を穏やかな「ソフトランディング」へと導く方針を持っています。一方、インフレを抑制し、大きな経済の後退を引き起こすことなく調整しようとしています。
 
9月20日の決定により、基準金利が現在のピーク近辺で長期にわたり維持される可能性が示唆されています。本年末に再び利上げする可能性の他に、2024年までの期間、高い金利水準を維持する方針が示されています。
 
来年には、金利を2回下げる予定ですが、これは6月の予測よりも回数が少なくなっています。2024年末の主要な短期金利は5.1%と予想され、2008年から2009年の大不況からこの年の5月までの水準を上回る見込みです。
 
FRBが長期にわたり高金利を維持する方針であることは、インフレが短期間で2%の目標に戻ることを期待していないことを示唆していると思われます。連続的な利上げが大きな人員削減や経済の後退を引き起こすとの予想もありましたが、雇用市場や経済の堅調さを考慮すると、そのような予想が難しい状況です。
 
「インフレを2%以下に維持するための道のりはまだ長い」とFRBの議長ジェローム・パウエル様は記者会見にて述べました。「進展が見られることは歓迎しておりますが、さらに進展を確認する必要がある」とのコメントがあり、利上げを終了すべきタイミングについての結論を出すのはこれからであるとの意向を示しました。
 
また、パウエル議長は、利上げサイクルが終わりに向かっているとの確信を持っており、「我々が到達すべき目標にはすでに非常に近づいている」との見解を示しました。

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