私のおすすめの本

『森の生活』はアメリカの思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローが、ウォールデン湖のほとりで自給自足の生活をした2年間の日々をまとめた一冊である。

自分の手で家を建て、自分で育てた野菜を食べ、湖の水を飲む、そんな日々が克明につづられている。自然に囲まれて生活する彼の楽しみは、動植物との戯れや、季節の変化、時々彼の小屋を訪ねてくる友人たちとの会話であり、そんな日々が鋭い観察眼と平易な言葉で記されている。

そして彼の鋭い観察眼は一般市民にも向けられる。仕事にあくせくし、生活を無為にし、それでいて生活を嘆いている、そんな人々に対して、彼はこんな疑問を投げかける。本当に豊かな生活とはどのようなものだろうか。

 日々の生活に忙しく、生活を顧みる時間もないと考えがちな現代を生きる私たちにとっても、決して他人事ではない問いかけである。

 本書を読むことで、日常の生活を見直したり、普段忘れがちな自然への意識を回復するきっかけになれば幸いである。

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