リクルートのすごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド

◼️選定理由

広告領域以外で顧客(自社・クライアント)の悩み解決の引き出しを増やすためです。直近クライアントとの打合せで悩みをヒアリングする機会がありました。しかし聴き出したかった部分であるのと同時に、自身が広告領域以外の話を振られた際に答えられるものが少なかったのが現実です(新規プロダクトをどのように展開していくべきかという相談でした)

著書内にあるぐるぐる図が該当しますが、自社のセールスフロー然り、せっかく多種多業種の成功事例が蓄積しているのだから、それを活用しない手はありません。情報を取りに行く。その情報からクライアントに事例を共有し、勝ち筋を見い出すための提案を行って行くべきだと思いました。

本書を通し、リクルートの中で体系化されている技術を現場で活用することで、今ぶつかっている顧客の悩み解決のための引き出しを増やします。

※今回は本書の「不」の発見をメインに要約をしています。

◼️書籍情報


書籍名:リクルートのすごい構“創”力アイデアを事業に仕上げる9メソッド

著者名:杉田 浩章(すぎた ひろあき)

ボストン コンサルティング グループ日本代表。
東京工業大学工学部卒。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。株式会社日本交通公社(JTB) を経て現在に至る。

消費財、自動車、メディア、ハイテク、産業財等の業界を中心に、トランスフォーメーション、グローバル化戦略、営業改革、マーケティング戦略、組織・人事改革、グループマネジメント等のコンサルティングを数多く手掛けている。
著書に『BCG流 戦略営業』(日経ビジネス人文庫)、監訳書に『なぜ高くても買ってしまうのか』『なぜ安くしても売れないのか』(以上、ダイヤモンド社)がある。

◼️3つのステージ、9つのメソッド

本書の中で書かれており、リクルートのベース(Autoomy:自立)、最大の強みになっているといっても過言ではないのが「リボンモデル」です。

蝶ネクタイのような形をしているリボンモデルは、中心の結び目をリクルートが、そして左側の三角が個人や一般の消費者(カスタマー)で、右側の三角が、企業や事業者(クライアント)を担っています。

そして両端から個人や企業を「集め」、何らかの働きかけをすることで彼らを「動かし」、中央のマッチングポイントで結びつけることでリクルートが収益を上げる構造になっています。そのマッチングの総量を増やす、ベストマッチングの仕組みを提供することがリクルートの役割としています。

世の中の全ての事業はこのリボンモデルに当てはめることができ、また下記の3つのステージでリクルートのビジネスは表すことができるとされています。

・ステージ1:「0→1」世の中の不をアイデアへ
・ステージ2:「1→10の前半」勝ち筋を見つける
・ステージ3:「1→10の後半」爆発的な拡大再生産

下記ではその3つのステージ毎に使われている3つのメソッド(合計9つ)を補足していきます。

◼️ステージ1「世の中の不をアイデアへ」

個人的に本書の中で最も関わりが深く、学び、クライアントと煮詰める上で重要だと感じたのがこのステージ1になります。

メソッド① 不の発見
・あるべき社会の実現につながる、潜在的な「不」を探す
・「不」を生んでいる産業構造の暗黙のルールを突きとめる
・「不」を解決するための、新たなお金の流れを見つけ出す
メソッド② テストマーケティング
・本当に人の心を動かす事業アイデアなのかを検証する
・顧客がお金を払ってでも解決したい課題なのかを検証する
・検証を段階的に設計し、規模を拡大しながら次へ進める
メソッド③ New RING(インキュベーション)
・ボトムアップによる新規事業の起案を称賛する
・アイデアを事業へとブラッシュアップし、軌道に乗せる
・起案者の「志」を尊重し、実現への覚悟を問い続ける

◼️ステージ2勝ち筋を見つける

CRMやLTV改善のために必要な作業になってくるのがこちらのステージ2です。リクルート用語でいう「フィジビリ(実験)」の段階で、現場の声と上層部との情報交換を行う中で何度も検証を繰り返します。

メソッド④ マネタイズ設計
・誰が、なぜ、いくらで、どの予算で、買ってくれるかを突きとめる
・ユーザーの行動、顧客の売上、自社の活動を方程式でつなぎ込む
・市場を継続的に成長させることができる、お金の流れを作り出す
メソッド⑤ 価値KPI
・事業の価値を上げるカギとなる指標を、顧客の評価から探し出す
・価値KPIへの因果関係の高い、実際の行動を探り出す
・全員での高速なPDSによって、指標と行動の仮説を変更し続ける
メソッド⑥ ぐるぐる図
・現場からの市場変化の兆しを経営へとつなぎ、縦の知恵を回す
・異なる役割の人材が並行して洞察を加え合い、横の知恵を回す
・現場に勝ち筋への兆しがなければ、潔く撤退の決断を下す

◼️ステージ3 爆発的な拡大再生産

この段階に入ると経営層が判断をせずとも現場メインで稼働ができるようになる。うまくいった事例を活用し、足りないリソースがあればそれを補充し補う。リクルートではこの段階で業界No.1など圧倒的地位の獲得を目指す段階に入ります。

メソッド⑦ 価値マネ
・KPIによって目標の優先順位を絞り込み、意識と行動を集中させる
・PDSを日常の活動に組み込み、「なぜ」をマネジメントする
・価値マネの結果を、現場の「型化」と、サービスの「改善」に活かす
メソッド⑧ 型化とナレッジ共有
・成功事例を生み出した行動を分析し、「型化」して組織へ横展開する
・「型」は活用例を共有することで理解を深め、一気に全体展開する
・「型」は均一化が目的ではなく、「型」を超えた次への挑戦につなぐ
メソッド⑨ 小さなS字を積み重ねる
・現場の情報からいち早く、成長の減速を捉え、次の一手へ進める
・改善をスピーディーに試し続け、大きな変革の「てこ」を見つける
・できない理由を突き詰めることから、できるための資源を考える

※上記をすべて解説することは難しいため、本書を読んだ上で必要情報はそれぞれ確認してもらうのが手っ取り早いです。

また下記では個人的に気になった箇所、現場に落とし込む上で重要だと思って点(不に関する章)を深掘りしていきます。

◼️不の発見

ステージ1の新規事業を発足させる際にリクルートが視点を置くのがこの「不の発見」です。またそもそもの「不」の定義は下記になります。

リクルートにおける「不」とは、「不便」「不満」「不安」など、あらゆるネガティブな概念の象徴。消費者、企業・事業者、産業や社会などに、大きな「不」が存在するのであれば、それを解消するためのイノベーションが求められ、その実現にはビジネスチャンスがあるという発想だ。

またこの「不」に着目して展開されたサービス例が下記になります。

例)スタディサプリ

2011年に全国数百名の受験生、数十名の教員や保護者を対象に行われた調査の結果、「予備校に通いたいけれど通えない」層が約3割もいること判明。家系難や孤独に勉強を続けている地方格差、「教育環境格差」と言う「不」を解消する強い使命感と意思から発足しました。

例)ゼクシィ

当時の結婚式は、結婚式場紹介所を通じて、ホテルや大手結婚式場に「定番のセット」を以来するという選択肢しかほぼ存在しなかった。そんな時代に「どうやって結婚式場を選んだらいいかわからない」「画一的ではなく、もっと自分たちらしい結婚式をしたい」というカップル側と、結婚式場側の「結婚式場の良さを、結婚式を控えたカップルに伝える場がない」というそれぞれの「不便」「不満」を解消するために生まれました。

◼️ニーズとリクルートの「不」は異なる

上記だけを読むと「そんなことなら自社でだってやっている」といった声も上がりそうだが、そもそも「お客様のニーズ」とリクルートにおける「不」が異なることも理解しておく必要があります。

ニーズはお客様が求めているものですが、一方の「不」には、それだけでなく、リクルートが考える、あるべき社会の姿が反映されています。

「価格が高いのが不満」=不には該当しない

なぜなら、「現状より価格を下げると、提供されるサービスの質が下がり、結果てkに消費者・事業者ともに不幸になる」場合、それでは根本価格を下げることが「不」の解消につながるとは言い切れないからです。

本書でベンチャー企業がうまく行かないケースがある理由の1つとしても、リボンモデルの片側、顧客側ばかりをみて一時的には利益が上がったとしても事業側が上手く行かずスケールできなかった事例が取り上げられていました。それがここに該当します。

◼️不を見極める3つの条件

では、どうやってその「不」を見つければ良いのかという疑問が浮かび上がってきます。リクルートでは誰もが見つけられる「不」は既に競合が目をつけている可能性が高く、価格競争に陥る確率も高まるため、以下3つの条件で「不」をふるいにかけています。

見過ごしがちだが誰も目をつけていなかった「不」かどうか
その「不」は、本当に世の中が解決を求めているものなのか。既存の産業構造を変えるほどの、大きな可能性を秘めているのか
その「不」を解消することが、収益につながるかどうか

産業構造含めた上流から下流までを見渡している。社員全体がこの「不を発見する」ための探求を日々行っているそうです(またそこで得られた知識や事例を社内で共有し、「フィジビリ(実験)」を繰り返す)

◼️まとめ・Todo

リクルートの取り組んでいるリボンモデルを今すぐに全て取り組む!、、、というのは難しい部分があります。しかし、各所毎には取り組み応用することができるはずです。また本書を読んで「明確な指標があることの強さ」についても学ぶことができました。

・不の発見:Webやツールを使った市場のリサーチ

・テストマーケティング:小資金から取り組めるWeb広告を使った手法

・ぐるぐる図:自社内のノウハウ×クライアントのナレッジ掛け合わせ

基本的には、各企業様の「新規」獲得を達成することがリスプラに根本求められていることだと思います。そして求められている価値を提供することはマストです。代行依頼を受ける段階で、クライアント毎に位置するステージも異なることが多いため、今相手がどのステージにいるのかを把握した上で、まずは目の前のボトルネック解決が最優先されます。

しかし、その上でさらなる拡大や関係値を構築した後での悩みを解決する段階においては今回学んだリボンモデルを活用し、クライアント社内を巻き込んだ提案を進行して行く必要があると気づくことができました。

今後取り組むこと

・リボンモデルに起こす:直近で広告以外の提案ができなかった案件に対して、課題が新規商材のテストマーケティングが上手く行かない。既存商品を購入してくれる人が「なぜ買ってくれるかわからない」悩みがありました。その悩みの解決材料として一度「不」の掘り起こしをリボンモデルを活用して取り組みます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?