非言語コミュニケーションとは?-FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学-

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■本レポートの抜粋--------------

体の中で一番正直なのは、顔ではなく脚と足だった!「人間ウソ発見器」の異名をとる元敏腕FBI捜査官が、人々が見落としている感情や考えを表すしぐさの意味とそのメカニズムを徹底的に解き明かす。

----------書籍情報----------------

書籍名:FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

著 書:ジョー・ナヴァロ

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■本書の選定理由


直近で話題に上がる非言語コミュニケーション。こちらについて学ぶために本書を選定しました。本書は著者の職業柄ウソを見抜くための論述から始まっていますが、そもそもの著者の背景にスペイン語が主流のキューバから米国に移住し、言語が通じない中で非言語(ノンバーバルコミュニケーション)で関係値を築いていったこと。好きも嫌いも両方相手を観察し、そこから関係値を良くするためにどんな行動を取ったのか。アウトプットまでの流れが記載してあり、行動までの導線を自身に移し替えることで体現できるなと感じたからです。

■第1章:しぐさに秘められた意味を知る

著者は各章で自身の生い立ちと教育、そして受けた訓練を足がかりに、FBIのエキスパートによるノンバーバル・コミュニケーションに基づいた世界の見方を説いています。

ほかの人が何を考え、何を感じ、何を言おうとしているかをもっとよく分かるようになるチャンスが、今いる世界。あらゆる人間同士のやりとりが情報と響き合っている活気に溢れたこの世界には在り、それらを理解すれば周囲より優位に立つことも用意だと発言しています。

ノンバーバル・コミュニケーションとは?

ボディランゲージとも呼ばれ、話しことばと同じく情報伝達の手段とされている。顔の表情、身振り、身体の触れ方(触覚学)、身体の動き(動作学)、姿勢、身なり(服装、宝石類、髪型、タトゥーなど)、さらには(話す内容ではなく)声のトーンや大きさや声色によって伝わる点が、話し言葉とは異なっている。

ノンバーバル行動は対人コミュニケーション全体のおよそ60%から65%を占めており、人が考えていること、感じていること、やろうとしていることも明らかになる。

第2章:辺緑系の遺産で生きる

ほとんどの人は、自分には脳がひとつあって、自分の認知する力の中心はその脳だと思っていることでしょう。しかし実際には人間の頭の中には3つの『脳』があり、それぞれが専門の機能を果たしながら、協力しあって『司令室』の役割を果たし、私達の身体のあらゆる動きを調整しています。

1952年に科学者ポール・マクリーンが提唱した『三位一体脳』では、人間の脳は『爬虫類脳(脳幹)』と『哺乳類脳(大脳辺緑系)』と『人間脳(大脳新皮質)』から成るといいます。

その中でも私達のノンバーバル行動の表出に一番大きな役割を果たす『大脳辺緑系』にこの章では着目をしています。

『大脳辺緑系』は考えることをせずに反射的に、瞬間的に、その場で外界に反応をするようにできています。そのため、周囲からやってくる情報に対して『本物の』反応を示すことになります。休むことなく常に『オン』状態にあると考えてよいでしょう。

この『大脳辺緑系』を通して表出する反応は、思考を解すこと無く現れるため偽りがない。つまりノンバーバルについて考える時『大脳辺緑系』は『正直な脳』とみなすことができます。

『大脳辺緑系』がみせるこうした生き残りのための反応の期限は、一人ひとりの幼少期だけでなく、人類の祖先にまで遡り、それらの反応は人の神経系にしっかり組み込まれているために、隠すことも消すこともできません。

大きな音を聞いて身体がビクッと自然に動いてしまうように、人の考えていること、感じていること、しようとしていることがそのまま現れるのです。

だからこそ人の心を読むのに役立つ正直なノンバーバル行動を見つけるには、ボディーランゲージの源として『大脳辺緑系』を突き詰めていく必要があるというわけです。

ノンバーバルの3つのF

『大脳辺緑系』は太古から絶えず進化を続けてきた他の動物も持ち合わせている。そして人間も含めて種の生き残りを確実にしてきたのが『大脳辺緑系』によるところであり、動物の天性として『命を守るための本能的な反応』にも密接に関係しているいうことをまず覚えておきましょう。

また『大脳辺緑系』が悠久の時を経た今もなお、反射的に取ってしまう行動が3つあるとされています。それは①固まる(フリーズ:Freeze)②逃げる(フライト:flight)③戦う(ファイト:fight)です。

固まる反応(フリーズ)

数百年前、人科の祖先はアフリカのサバンナを横切りながら、自分たちよりも強くて足の早い捕食者と相対していました。その環境で人類が生き残るために、大脳辺緑系が取った第1の防御は、敵対者を見つけたら『止まる』ことだったのです。

殆どの捕食者は、動きに反応して注目します。ヒョウなど私達の祖先を襲っていた捕食者も例外なくこの行動を取っていたために狙われないように、反射的に身を止める行動を取り、その名残が今もなお『大脳辺緑系』に生き残っているのです。

この止まるという反応は現代でも、様々な場面で表に現れます。面接中はもちろん、著者の場合は証言を取っている際に現れることが多く、『固まった、ではなぜ今この質問をぶつけたときに固まったのか?』と、表層に合わられるノンバーバル行動を読み取って相手が感じているストレスを探り当てることができるのです。

逃げる反応(フライト)

第1の反応『固まる』には危険な状況から身を隠す目的があることは前述しましたが、2番目の目的としては、考える時間を確保しどんな行動を取るのが一番かを判断するチャンスを創ることが挙げられます。固まるだけでは困難を逃れられないと判断した際の第2の選択としてこの『逃げる反応』は表層に現れます。

しかし現代に置いては危険から逃避するのは難しいですよね。そこで人は現代のニーズに合わせて『不快な人を遮断し、その存在から遠ざかろうとする』行動を取るようになりました。

・顔を背ける、出口に向け足を向ける、顔を手で覆う

ビジネスで例えると、目を閉じる、目をこする、顔の前に手をやる、テーブルや相手から見をのけぞらせたり、足を遠ざけたりするわけです。

遠ざかろうとするノンバーバル行動を取るということは、これが交渉の場で合った場合はビジネスパーソンが交渉の内容に満足していないことを表すわけです。

戦う反応(ファイト)

戦う反応は、攻撃によって生き残るための、『大脳辺緑系の最後の戦術』と言われます。固まっても見つかり、遠ざけたり逃げても助からないと思ったとき、残る方法は戦うことのみ。

他の動物と同じ用に恐怖を怒りに変える戦略を発達させたのです。

しかし怒りに任せた行動は実際的ではなく、法にも触れるので、『大脳辺緑系』は原始的に身体で戦うのではなく、別の戦略を発達させました。それが『議論』なのです。

今では殴り合いの喧嘩をする機会は有史以来最も減ったとも言えます。しかし、この戦いは『大脳辺緑系に備わった武器の一つ』。形は変われど、視線や目つき、胸を突き出したり、相手の個人空間を侵すなどして今もなお身近な場面で見て取ることができます。

これまで順を追って3つのFについて解説してきましたが、これらノンバーバル行動を学ぶ一番の理由は、相手の行動から自身に肉体的に傷つけようとしている気持ちを読み、衝突を避ける時間をつくることにあるということを覚えておきましょう。

なだめ行動

『大脳辺緑系』の固まる、逃げる、戦うの流れは方程式の一部に過ぎません。実際は驚異を感じた際これら反応を取った後は、必ず『なだめ』の行動が続くことに気づきます。

例えば、猫や犬であれば自らの身体を舐めたり互いの身体を舐め合ったりするし、人間の場合は子供だと指しゃぶりをしたり、大人だと鉛筆を噛んだり多種多様な『なだめ』行動を取ります。

そしてここからが重要です。

ノンバーバル行動を上手く読み取るには、人間のなだめ行動を把握して読み解くことが不可欠になります。なぜなら、なだめ行動が人のその瞬間の心の状態をとても良く表し、しかも並外れた正確さを持っているからに他ならないからです。

【なだめ行動の例】

・男性:顔に触れる行動が多い

・女性:首、衣服、装飾品、腕、髪の毛に触ることが多い

【癖づいているなだめ行動の例】

・ガムを噛む、タバコを吸う、たくさん食べる、唇をなめる、頬をこする、顔を擦る、もの(鉛筆、ペン、口紅、腕時計)を弄ぶ、髪の毛を引っ張る

なだめ行動は上記の他にも存在し、それら著者の経験に基づく解説は多岐に渡り記述されています。

3つのF、そしてなだめ行動、大切なのはそれらが『なぜ』起きているのかについて着目し、その原因を紐解くことにあることをお忘れなく。

第3章:ボディー・ランゲージへの第一歩を踏み出す ─ ─ 足と脚のメッセージ

第3章以降はこれまで上述したノンバーバルシグナルが現れる箇所を部位別に解説している。

またそれらシグナル(ボディーランゲージ)の中でも、最も正直だと言われる部分『足』についてこの章では掘り下げていきます。

※そもそもなぜ、顔でも手でも無く『足が最も正直』な部位だとされるかですが、それは人間が言葉を話すようになるずっと前から周りの驚異(例えば熱い砂、近づく蛇、短気なライオンなど)に即座に反応し、意識して考えなくても動き出してきたからです。

ボディーランゲージを読み取ろうとする場合、相手の顔から観察を始める人が多いが、顔は虚勢を張って本心を隠すために一番良く利用される。そのためFBIで職務に務める著者はその逆、足から観察の対象を上に移していきます

※顔の表情を自由にコントロールできないなら『ポーカーフェイス』という言葉は生まれていませんよね?

しかし、『よそゆきの顔』の作り方を身に着けている人は多くとも、自分の足や脚に注意を払う人はほとんどいない

嬉しそうな足:喜びのあまり小刻みに動いたり跳ねたりしている。テーブルの下を覗かなくてもシャツや方の動きに着目することで判断ができる(単純にイライラしていることもあるため、その行動に至った前後の背景を加味する必要があります)

快活さを示す足と脚(人前で足を交差させる※組むとは別):脚をこう支える人は、普通、心地よく感じている。急に嫌いな人の姿が目に入ると脚は元に戻る。

脚と足は身体の中で一番正直な部分です。上手く利用すれば、あらゆる状況で、この情報が人の心を正確に読み取るのに役立つでしょう。

第4章:胴体の語るヒント ─ ─ 腰、 腹、 胸、 肩 の メッセージ

この 章では、 腰、 腹、 胸、 肩 ─ ─ まとめて胴体と呼ばれている部分 ─ ─ について説明されています。

心臓や肺、肝臓、消化管など、生きるために不可欠な器官がたくさん入っているのだから、困難な場面に直面すれば人は無意識に守ろうとします。

胴体を傾ける:不意にボールや虫などが飛んできたら身体をのけぞらせて避けた経験は無いでしょうか?この反射と同じく、感じの悪い人や嫌いな人の隣に立つと人は胴体を傾けます。

身体の全面をまっすぐ向ける:驚異に対しては背く反応を取る胴体ですが、その反対、私達は好きなものには胴体と方を傾けて、心地よさを表現します。恋人同士がコーヒーテーブルに向かい合ってもたれるように、最も傷つきやすい身体の前面をまっすぐ相手に向け、身を乗り出して話をする姿がまさしくそれに当たります。

胴体の装飾:ノンバーバルコミュニケーションには記号も含まれるので、胴体(身体全般を含む)を飾る服装その他の装飾品にも注意を払う必要がある。『服装が人を創る』ということわざがありますが、著者もコレには賛成しています。洋服やアクセサリーを選ぶときには、それらを身に着けたときに発するメッセージと、周囲の人々がその洋服から受け取るかもしれない意味を、いつも考えていなければなりません。

※著者は何も外見が全てとは述べていません。あるホテルにて、ホテルマンが着用しなければならない衣装が全員アルマーニだったとする。ホテルであれば制服だと認識するが、そのホテルまでの通勤で周りが感じる印象は社長で合ったりある程度権力を持った人物だと感じ取られることがあるからです。

第5章:手の届く範囲にある知識 ─ ─ 腕のメッセージ

腕は脚と同じく行きの頃を助けるようにできているため、本当の感情や意図を明かすと考えられています。変わりやすくて当てにならない顔とは違い、腕は確かなノンバーバルの手がかりをもたらし、人が何を考え、何を感じ、何をしようとしているかを、より正確に伝えてくれます。

腰に手を当て、ひじを張る:権力を誇示して相手に強い印象を与える姿勢ですが、これは軍関係者が取ることが多く、一般的には相手を威圧するため好まれません。ですが、女性の場合は両手を腰に当てて肘を張る姿勢を取ることでメリットを得ることができます。例えば自身がなかったり主張が苦手な人でも、このポーズを活用することで、一歩も譲らない自身を示し、相手に威張っても無駄だと伝えることが出来ます。

支配のポーズ(テーブルに両手をつき、前かがみに相手を見る):一般的におとなしい人は腕を身体に付けたままにし、強くて権力を誇示する人、または憤慨している人は、腕を大きく広げて縄張りを主張します。腕を広げる動作は辺緑系の命令によるため、とても正確なノンバーバル行動であり、『私は自身がある』と宣言していることの現われにもなる。

人の腕はその人がやろうとしていることや気分を読み解くための情報を豊富にもたらしてくれる。著者は誰かと親しくなるのに一番有効な手立てのひとつは、相手の肘と方の間に触れることだとも述べており、自身の気持ちを伝える上でも腕への関心を高めておくことは重要だとしています。

第6章:落ち着くため に ─ ─ 手と指のメッセージ

私達の手はとてもデリケートな動きができるたm、脳内の実に微妙なニュアンスも表現できる。そして(意識的か無意識下に関わらず)脳が支持していない手の動きは無いに等しいため、ノンバーバル行動を読み解くには、手の仕草を理解することが不可欠になると著者は述べています。

人類は進化の仮定で話し言葉を見に付けてきました。しかしそれ以前は脳で感じたことを手を使って表現していた、その回路がまだ脳にしっかり備わっています。手の表情には、その人の考え方や感じ方を理解するのに役立つノンバーバルシグナルが豊富に詰まっているのです。

※また手には過去の出来事(武器を持っていないか)から、脳が注目しすぎてしまうという生まれながらの傾向があります。マジシャンは特に、この現象をフルに活用して観客や徴収をワクワクさせているのです。

手を隠すと悪い印象を与えるので、見えるところに置く:テーブルの下に手を隠した人と話した経験があるなら、どんなに不愉快な会話になるか感じたことがある人も多いハズです。脳が手をコミュニケーションに不可欠な部分とみなしているからこそ、表現力に乏しかったりすると、伝えている情報の質も低下してしまうので要注意。

尖塔のポーズ:両手を広げて指先同士を付け合わせるポーズ、合唱の手に似ているが指の間を閉じないで手を広げ手のひらの間も広げる。(手が協会の尖塔のてっぺんのようにみえるため)

このポーズは考え方や地位に自身があることを表しているため、自分の考えにどれだけ熱心化を、周囲の人に知らせる効果を持ちます。逆に自身が急になくなれば指を追って量の手のひらを握りあう祈りのポーズにもなりがちです。

またこの尖塔のポーズを身につけることで自身がない場面でも、意識的に自身があると相手に見せつける(ハッタリをかます)ことができるようにもなります。

ほとんどの人は、相手の顔について考えるのに多くの時間をさくあまり、手が伝える情報を十分に活用できていません。だからこそ手のしぐさをノンバーバル・コミュニケーションに利用すると同時に、周囲の人のノンバーバル情報を自分のものにして欲しいと著者は述べています。

第7章:心のキャンパスー顔のメッセージ

感情と言えば顔が心のキャンパスだと考える人も少なくはないでしょう。顔の表情は万国共通でコミュニケーションの手段として使用されて、共通言語を持たない人々の間の相互理解に役立ってきました。

しかし、顔は心でどう感じているかを正直に映し出せる反面いつも本心を伝えているとは限りません。なぜなら私達はある程度まで顔の表情をコントロールできるからです。

人は勘定を隠そうとすることが多いということを忘れてはいけません。だからこそ入念に観察する必要があります。

顔の出る快適と不快な気持ち:心からの、自由な喜びの感情は、顔と首に現れます。顔の皺が浅くなり、口の周りの筋肉がゆるみ、くちびるが全部見えるようになり、目の周辺の筋肉の緩みに寄って目の幅が広く見えるのです。また顔を傾ける仕草にも注視しましょう(身体で脆い首をあらわにするということは、相手は非常にリラックスしているということです)

そして不快な感情を示しているときは決して上記のような表情や首の傾きが見られないことを覚えておきましょう。

重力に逆らう顔の表情:古くからある表現に『顎を上げろ(元気をだせ)』というものがあります。これはスランプや不運に苦しんでいる人に向けられる言葉です。この知恵は、逆境に対する辺緑系の反応を正確に反映しています。

顎を下げている人は、自身を失い、不愉快な気持ちに襲われているように見えますが、顎を挙げている人は、前向きな気持でいるように見えます。

例を2つ挙げましたが、顔の表情に関する考察はまだまだ数多くあります。そしてだからこそ顔にはシグナル(意図)が混じり合うことが多く、顔で相手の考えを考える場合は困難になることが多いです。

シグナル(意図)が混じり合っている場合(うなずきなどの喜びの行動を取りながら、不快な表情をしているなど)を見極める際の法則としては、いつも不快な感情の方が正直なものとみなしましょう。両方の表情を見かけたらまず最初に観察した感情が本物です。

※第8章もありますが、ウソを見抜く場合の指標となり、著者が長年追求してきた上で完全に見抜くことは難しいと述べています。第1~7章を学んだ上で取り組んでみることをおすすめします。

まとめ

著書の中にも記述があったが、非言語(ノンバーバル)行動についてほとんどの人がきちんと体系的に学んだことがありません。

言い換えるとこれらを学んだ人は、『ほとんどの人がまだ知らない情報を手にすることができた』というわけです。

『自身が無いなら自身があるときに出る態度を取れば良い』

感情が非言語にでるなら、場面に合わせて非言語を使えれば気分が乗らなくても気分が乗ってくるようになる。上手く非言語(ノンバーバル)行動を活用することこそが、コンサルワークを始めにプライベートでも生きてくる(人間関係を良好にする・保つ)はずです。

NLP(ミラーリング)のテクニックと合わせて実践(アウトプット)してみてこそ定着していくもの、筋トレなどと一緒ですので、早速日常で試してみましょう。



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