FX取引におけるコストの影響:手数料とスリッページがトレードパフォーマンスに与えるインパクト
はじめに
今回はFX取引と、コストの関係について分析してみました。
あらためて、コストを踏まえて売買戦略をたてることの重要性が浮き彫りになりました。
有料記事ですが、基本内容の部分は無料となっていますので、ぜひ読んでみてください。Pythonコードの部分が有料となっています。コードに興味がないかたも、いいなとおもわれましたら記事購入いただけると励みになります。
FX取引におけるコスト
スプレッドとスリッページの2つのコスト
スプレッド: FX取引において、買値(Bid)と売値(Ask)の差を指します。これは取引ごとに発生するコストであり、特に短期取引では無視できない要素です。下記の例でいうと、買うときは103.753円ですが、売るときは103.755で買いと、売りの間には0.002円の差があります。これがコストになります。同じタイミングで売りと買いと実施すると、0.002円損をします。
スリッページ: 注文を出した価格と実際に執行された価格の差です。市場の流動性や急激な価格変動により発生します。下記の例でいうと1.3051で注文しても実際の約定は1.3053と同じく0.002分差が生まれてこれがコストになります。
コストがトレードに与える影響
スプレッドとスリッページは、トレードのコストとして重要です。頻繁に取引するトレーダーは、これらのコストを最小限に抑えることが求められます。
USDJPY 15分足の手数料後の価格変動の分布
この画像は、異なる手数料条件(0.01、0.05、0.1)の下でUSDJPYの15分足データに基づいたシミュレーション結果を示しています。(15分毎に購入して、15分後に売却した時の絶対値 勝率100%を想定)各グラフは、手数料後の価格変動の分布を示しており、赤い破線は手数料後の価格変動の平均を示しています。
Fee: 0.01, Holding: 15 min
平均価格変動: -0.05
手数料の影響が最小限であることを示しています。
Fee: 0.05, Holding: 15 min
平均価格変動: -0.03
手数料が増加すると平均価格変動も減少しています。
Fee: 0.1, Holding: 15 min
平均価格変動: -0.13
手数料がさらに高くなると、価格変動の減少が顕著になります。
下記は、2000回超トレードした結果になりますが、勝率が100%でもコストが0.05円以上の場合は、取引結果はマイナスになります。。。。
取引コストが高い時の対処法
取引コストが低いところで売買を行うのが一番ですが、それがむつかしい場合の対処方法の1つとして、取引時間を延ばすという方法がります。取引時間が長いと、価格変動が大きくなりコストの割合が小さくなります。
この画像は、USDJPYの15分足データに基づくシミュレーション結果を示しています。シミュレーションでは、異なる手数料(0.01、0.05、0.1)と保有期間(15分、45分、60分、120分、180分)の組み合わせを使用しています。各グラフは、手数料後の価格変動の分布を示しており、赤い破線は手数料後の価格変動の平均を示しています。
各グラフの解説
Fee: 0.01, Holding: 15 min
平均価格変動: 0.04
手数料が低いため、平均価格変動はプラスの値を示しています。
Fee: 0.01, Holding: 45 min
平均価格変動: 0.09
保有期間が長くなると、価格変動の影響が増加します。
Fee: 0.01, Holding: 60 min
平均価格変動: 0.11
手数料が0.01で、1時間保有した場合の価格変動の分布です。
Fee: 0.01, Holding: 120 min
平均価格変動: 0.17
2時間保有した場合、価格変動の幅が広がっています。
Fee: 0.01, Holding: 180 min
平均価格変動: 0.22
3時間保有した場合の価格変動の分布で、手数料後の価格変動は大きくプラスになります。
Fee: 0.05, Holding: 15 min
平均価格変動: -0.04
手数料が増加すると、平均価格変動はマイナスになります。
Fee: 0.05, Holding: 45 min
平均価格変動: 0.01
保有期間が長くなると、価格変動の影響が現れ、手数料の影響が減少します。
Fee: 0.05, Holding: 60 min
平均価格変動: 0.03
1時間保有した場合、手数料後の価格変動はプラスになります。
Fee: 0.05, Holding: 120 min
平均価格変動: 0.09
2時間保有した場合の価格変動の分布で、手数料後の価格変動はプラスになります。
Fee: 0.05, Holding: 180 min
平均価格変動: 0.14
3時間保有した場合、手数料後の価格変動はさらに大きくプラスになります。
Fee: 0.1, Holding: 15 min
平均価格変動: -0.14
手数料が最も高い場合、短期の保有では価格変動は大きくマイナスになります。
Fee: 0.1, Holding: 45 min
平均価格変動: -0.09
保有期間が長くなると、手数料の影響が緩和されますが、依然としてマイナスです。
Fee: 0.1, Holding: 60 min
平均価格変動: -0.07
1時間保有した場合、手数料後の価格変動はわずかにマイナスになります。
Fee: 0.1, Holding: 120 min
平均価格変動: -0.01
2時間保有した場合、手数料の影響がほぼ相殺されます。
Fee: 0.1, Holding: 180 min
平均価格変動: 0.04
3時間保有した場合、手数料後の価格変動はわずかにプラスになります。
この画像は、USDJPYの15分足データに基づいたシミュレーション結果を示しています。各グラフは異なる手数料(0.01、0.05、0.1)と保有期間(15分、45分、60分、120分、180分)を組み合わせたシナリオでの累積バランスの推移を示しています。
各グラフの解説
Fee: 0.01, Holding: 15 min
累積バランスの推移: バランスは徐々に増加しています。手数料が低いため、短期保有でもプラスの影響を与えています。
Fee: 0.01, Holding: 45 min
累積バランスの推移: 保有期間が長くなるにつれて、累積バランスはさらに増加しています。
Fee: 0.01, Holding: 60 min
累積バランスの推移: 1時間保有した場合でも、累積バランスは増加し続けています。
Fee: 0.01, Holding: 120 min
累積バランスの推移: 2時間保有した場合、累積バランスは大幅に増加しています。
Fee: 0.01, Holding: 180 min
累積バランスの推移: 3時間保有した場合、累積バランスは最も大きく増加しています。
Fee: 0.05, Holding: 15 min
累積バランスの推移: 手数料が増加すると、短期保有では累積バランスは減少しています。
Fee: 0.05, Holding: 45 min
累積バランスの推移: 保有期間が長くなると、累積バランスは回復し、増加に転じます。
Fee: 0.05, Holding: 60 min
累積バランスの推移: 1時間保有した場合、累積バランスは徐々に増加しています。
Fee: 0.05, Holding: 120 min
累積バランスの推移: 2時間保有した場合、累積バランスは顕著に増加しています。
Fee: 0.05, Holding: 180 min
累積バランスの推移: 3時間保有した場合、累積バランスは最も大きく増加しています。
Fee: 0.1, Holding: 15 min
累積バランスの推移: 手数料が最も高い場合、短期保有では累積バランスは大幅に減少しています。
Fee: 0.1, Holding: 45 min
累積バランスの推移: 保有期間が長くなると、累積バランスの減少が緩和されますが、依然として減少しています。
Fee: 0.1, Holding: 60 min
累積バランスの推移: 1時間保有した場合、累積バランスはわずかに減少しています。
Fee: 0.1, Holding: 120 min
累積バランスの推移: 2時間保有した場合、累積バランスはほぼ安定しています。
Fee: 0.1, Holding: 180 min
累積バランスの推移: 3時間保有した場合、累積バランスはわずかに増加しています。
まとめ
主要な発見とその意味についてまとめました。手数料とスリッページの管理がトレードパフォーマンスに与える影響は大きいです。
実際のトレードへのインパクト
トレーダーが手数料を最小化するための具体的な方法を提案します。取引コストの安い証券会社を選ぶほかに、スプレッドが小さい時間帯に取引すること、流動性の高い通貨ペアを選ぶことが有効です。
今後の研究の方向性
今後の研究で取り組むべき課題や方向性について言及します。例えば、異なる通貨ペアや異なる時間枠での分析を行うことが考えられます。
上記の結果は、常に同じわけではなくて市場のトレンドや通貨によって変わってきますので、自分で計算してみたい方は下記を参考に試してみてください。今回計算に使ったPythonおコードになります。
有料部分(詳細なデータと方法)
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