大学院入試合格記


はじめに

こんにちは。私は阪大の理学研究科・物理学専攻のとある研究室に所属する者です。所属研究室を第一希望にして、ちゃんと合格することができました!
ここでは一応研究室の所属は隠しておきます。後進のため、それと私自身が後から振り返って懐かしむために私が院試に合格するまでのことを記しておきたいと思います。時系列順に、反省もしつつ書いているので参考にならなくはないかもしれません。
この文章の最後に「大学院入試について」と題して受験する側の視点を交えつつ情報をまとめているので、これはたぶん参考になると思います。

受験を終えて

当たり前ですが、大変でした。大学院入試は、大学入試とは違うものです。まず、対策に費やせる時間が限られています。ふつうに授業もありますし、研究活動もしなければなりません。また、対策勉強をする方法が限らています。大学入試のように豊富な演習書があるわけではないですし、その内容も実際の院試の問題とはかけ離れていることがままあります。

あとは、大学入試はある意味、落ちて当たり前のテストですが、大学院入試は合格率が高く、受かって当たり前という無言の圧力があります。このことは精神的な圧力になります。しかも院試は落ちてしまうと就職するかもう一年勉強するかを迫られてしまいます。もう一年勉強するというのは大学入試と同じかもしれませんが、入試と違って予備校などはないのでかなり孤独な戦いを強いられることになります。

私は同期が7人!もいるのです(一応言っておくと5040人ではないです)が、うち2人は院試に落ちてしまいました。院試に落ちてしまった友人もいますし、残念ながら第一希望に通らなかった友人は数人います。というわけであまり院試をなめてかからないほうが良いです。とはいえ、ちゃんと勉強していれば特に実験系であればちゃんと受かります。素論は魔境っぽいですが…それでも、友人の一人は素論に合格していました。めでたいですね。

「大変でした」とか「あまりなめてかからないほうが良いです」と言ってますが、自分はかなりなめた態度で院試に望んでいました。以下の文章を読んでもらえれば、以下に私が適当にしか勉強していなかったかわかると思います。
具体的に言うと、院試対策の勉強は過去10年の過去問を解いただけですし、教科書を見返すこともほとんどせず、じゃんたまやらマインスイーパーをして遊んでいました。ゼルダやリングフィットアドベンチャーもしてましたね。結果、筆記でコケかけたのでこんな人間にはなってほしくないです。

3年生

院試対策ゼミ自体は友人と3年の後期から(10月から)始めました。久保熱統計の熱力学のパートを一週間に一回やっていました。あらかじめ問題を指定して、それを発表者が解いてきて解説という形式でやっていました。今にして思うと、院試本番に熱力学は出なかったし、過去問を解く際にもあまり役に立たなかったのでいらなかったなと思います。でも熱力学に対する不信感みたいなものを解消するのには大いに役に立ちました。物理に対する理解を深めたいならやった方が良いです。

期末テスト近くのときや年末年始、春休み期間中はどうしてもできなかったので、結局このゼミをできたのは10数回で、統計力学にも手を付けられなかったのは良くなかったなと反省しています。

4月

ここからは4年生です。4年生になって、研究室に配属されました。現在所属している研究室と同じです。このとき、院試の過去問を一切解いておらず、早い時期に院試対策ゼミも有効な進捗を生むことができておらず、そんな中でTOEICを受ける必要性と研究室になじむ必要性が生じていたので、精神的には割と焦っていました。

まず、院試対策ゼミの方針を転換しました。院試の過去問を解くようにしました(院試対策ゼミのかじ取りをしていたのは私だったのです)。私が気付いたのは、院試の問題は確かに基礎的な知識は要求されるけれど、典型的な演習書をやっていてもあまり向上しないということです(異論はあるかもしれませんが)。とにかく、4月中は量子の過去問を解くことにしました。

ゼミのやり方を少し変更して、各自解いてきて、その場で発表できるものが発表するという形式にしました。これには、3年生のときのゼミでは、発表者が解けなかった場合に誰も解けないという事態にすぐさま陥ってしまうことがあったという反省を反映しています。

4月末には大学院入試説明会がありました。参加できるなら参加したほうが良いです。もちろん、出願に必要な情報のすべては募集要項を確認することで知ることができます。でも、実際に募集要項を公開してくれたのは5月で、遅くない??という気持ちになりました。

5月

5月になると、研究室内の輪読会が始まりました。週2回です。また、週1回、研究室のミーティングに出席することで時間的に拘束されるようになり、あまり院試対策にばかり時間をかけているわけにもいかなくなってしまいました。バイトもサークルもしていないので忙殺されていたわけでもないのですが、輪読会の発表準備などもあり、院試勉強に関しては週1回の友人とのゼミしかしていなったと言っても全く過言ではないです。

その院試対策ゼミでは、5月中は力学(の過去問)をしていました。力学ってもしかして意外と難しい?と焦り始めました。
今にして思うと、力学は市販の演習本と同じような問題がそこそこ出ているので、3年生のときのゼミはそういう本をやるのが一番よかったのかなと感じます。

5月にしていたことはまだ色々あります。ひとつは、ハイリアの大地に頻繁に旅立ったことです。睡眠時間を削りつつ、一日5時間程度やっていました。完全にバカです。結局プレイ時間100時間程度になってようやくクリアしました。ボリューミーすぎます。でもDLC来ないのはちょっと寂しいな…

もうひとつは、マインスイーパーのルールを知って、暇なときにするようになったことです。最初は、30×16がクリアできず、やっと初めてクリアしたときの記録は30分を越えていました。

あと、5月はTOEICを受けました。何点をとったかは伏せますが酷い点数をとりました。大学院受験のためにはTOEICを受ける必要があるんだから一回分くらい全額補助してほしいな

6月

6月になっても、週2回の輪読会と週1回の研究室ミーティング、週1回の院試対策ゼミがあることは変わりませんが、それに加えて、研究室同期と院試対策ゼミを開始しました。また、7月に実験を行うことになったのでそれに向けて装置の設計(それほど大仰なことはしていないのですが)と理論計算による予測などの準備作業をしていました。

それほど大変だった自覚はないのですが、こうして文字に起こしてみるとかなり忙しそうにしていますね。このときの自分。今からでもほめてあげたいです。

6月の院試対策ゼミは電磁気の過去問を解いていました。また、この月からスタートした研究室同期との院試対策は最新の年度から解いていきました。
電磁気って出題パターンが全然なくて難しいですね…

このころから、友人はゼミで扱う問題以外も積極的に解いていっていました。私はしなきゃいけないと思いつつできていなかったので、やはり忙しかったんですかね。研究室の用事でがんじがらめになっていないのであれば、その友人のようにこの時期から積極的に解き始めるのはとても良い手だと思います。バイトやサークルも計画的に減らしていくと良いでしょう。

また、6月の中旬くらいから院試の出願に向けて、受験料の払込ができるようになります。これは7月の院試の出願時に払込の領収書があれば大丈夫なのですが、忘れないうちにやっておきましょう。

このころ、マインスイーパーは30×16を15分くらいでクリアできるようになりました。

7月

7月の前半は実験をしていました。もう少しいうと、一週間程度、実験施設で実験をし続けました。一日だけ徹夜してデータをとったのですがしんどかったです…
この間はさまざまな院試対策はすべて止まってしまいました。このブランクに後に苦しめられることになります。

この実験が終わった後、私は解放されたというか、とりあえず実験データの解析は院試後に回すことにして、院試勉強に集中してよいことになりました。

とはいえやることは5,6月中とほとんど変わらず、院試対策ゼミや研究室の輪読会の準備に追われていました。7月中は友人との院試対策ゼミはいよいよ統計力学に手を付け、過去問を解いていきました。研究室同期との院試対策勉強会は、このころ2021年くらいまで進んでいたと思います。

この7月後半の時期から私も院試の過去問を積極的に解き始めました。
・力学と電磁気は年によっては結構難しい
・量子は問題がパターン化されていて自分にとっては比較的解きやすい
・統計力学は公式をいくらか覚えれば大半が解ける
ということに気付きました。このことから、内心では、量子と統計力学を得点源にしようと思っていました。

院試の過去問を解いていく中で、私はあまり勉強できていないことに気付きました。というのは、院試対策ゼミなどで問題を解く際、自分は人に教える側に回ることが多く、その会で自分が得ているものは他人に信頼されているということから来る幸福感?みたいなものだけでした。もちろん院試の過去問を解くこと自体は勉強になったのですが、ネット等で検索しながらであれば自分ひとりでなんとかなったので、院試対策ゼミに出席している時間はある意味無駄でした。また、2週間程度全く院試対策の勉強をしていなかったので、頭を切り替えることがなかなかできなかったという事情もあります。

私は人にものを教えるのは好きですし、院試対策ゼミで過去問を解くということがその問題を解く動機にはなっていたので、なんというか被害感情があったわけではないです。つまりは自分の勉強ができなくて虚無ってたわけですね。院試対策ゼミはこうした性格がある程度あるので、院試対策の勉強会に参加する場合は、惰性で続けるべきでないということを強調しておきたいと思います。

7月後半には期末試験が迫ってくるわけですが、私は2つしか履修しておらず、片方はレポート、もう片方も期末試験がさほど難しくなかったのでノー勉でなんとかなりました(さいわい、成績評価はSでした)
4年前期はあまり講義を履修しない方が良いと思います。また、再履修をしなくて済むように3年生のときの単位はちゃんととりましょう。

7月にやるべき重要なことが一つあります。それは院試の出願です。自分のときは、7/6とか7/7くらいだったと思います。提出すべき書類が色々あって、しかも出願書類を受け取ってくれる時間が昼の限られた時間しかなかったので大変でした。

このころ、マインスイーパーは30×16を5分程度である程度安定してクリアできるようになりました。自分が受けていた講義の一つを、後輩が隣に座って聴講していたのですが、後輩が必死にノートを取る中で私はマインスイーパーばっかりやっていました。この練習のおかげですね。
いえ、みなさんはちゃんと授業は受けましょうね。

8月

8月になると、輪読会もなくなり、ほとんどの時間を院試対策に費やせるようになりました。過去問を解くのを2週間程度続けて、やっと10年ぶんくらいを解き終わりました。

友人との院試対策ゼミは8月になるとやらなくなりました。これは、各自が重点的に対策したい科目が違っていたり、研究室でやっている院試対策の方が忙しくなったり、単純に面倒になったりと様々な理由から、なくなりました。もう少し正確に言うと、第一週はまだ講義orテストがあったので平常運転だったのですが、第2週くらいからなくなってしまいました。
なんとかして続ける方法を考えたりもしましたが、結局はこれでよかったと思っています。

私が良くなかったのは、院試の2週間ほど前から、つまり過去問を解き終わってからほとんど勉強しなくなったことです。一応、すでに解いた中から1問を選び、タイムアタックして解くということを毎日やっていましたが、あまり意味のあることではなかったなと感じます。
・手を温めておく
・一問にかかる時間を把握しておく
というのには役に立ちました。ですが、どうせやるなら、一日おきにしていもいいので、通しで解くべきです。

8月にやっていたことは、リングフィットアドベンチャーが挙げられます。挙げられます。とか言ってますが、要は時間をつぶしてただけです。リングフィットは意外に楽しくて、引きこもりがちなこの時期の健康維持に一役買っていた感じがあります。
やりすぎると疲れて院試勉強どころではなくなるのが難点ですが…

このころになると、マインスイーパーは30×16を4分を切ってクリアできるようになりました。

院試前1週間

この時期は、前述の通り全然勉強していなかったのですが、面接の対策をしていました。自分の志望する研究室の面接では、聞かれることがあらかじめわかっている(ある程度公開されています)ので、それの対策をしていました。5分で学部生のときの実験で記憶に残っているものを説明し、10分でそれに関して質問を受けるという形式です。M2の先輩が一週間の時間のかなりの部分を使って対策に付き合ってくれて、助かりました。
こういう事情に該当しない人がほとんどだと思いますが、そういう場合は普通に院試対策をしていればよいと思います。

ちなみに、筆記試験の前日に、30×16を2分24秒でクリアすることができ、喜んでいました。また、じゃんたまでキャラが初めてひけたのも嬉しかったですね。

院試本番

筆記試験

筆記試験は9:00からです。生活習慣がバグった人間にはしんどかったです。当日は朝6:00に起床し、コーヒーを飲んで目を覚ましてから大学に行きました。なお、じゃんたまがイベントをやっていたのでこのイベントはちゃんと消化してから行きました。

TOEICの成績証がないと英語の点数が0点になってしまうので、それと受験票を握りしめて会場に向かいました。嘘です。カバンに入れていただけです。体調が悪くて本気を出せないという事態は避けたかったので、頭痛薬と下痢止めをあらかじめ用意して、一緒に持っていきました。さいわい、これらの薬のお世話になることはありませんでした。

自分は受かる!という謎の自信をもって筆記試験に臨みましたが、ここで本当に良くなかったのは、量子と統計力学を完答する!と意気込んでいたことでした。いや、意気込んでいたのは別にいいのですが、本番で実際に完答しようとして時間をかなり食われてしまったのが誤算でした。量子がかなり特殊な問題だったのも誤算でした。力学がかなり簡単で、電磁気も完答するのはさほど難しくなかったように思います。
まず力学をつぶして、量子、統計力学、電磁気を順番に半分ほど解き、その後量子と統計力学で時間を浪費してしまったということです。電磁気は結局最後まで解けなかったのですが、量子や統計力学に比べれば簡単な問題であることに終わってから気付いたときにはかなり後悔しました。

くだらないこだわりのせいで危うく落ちるところでしたが、たぶん60%くらいは取れていたと思います。まぁ実験系なので及第点ではあったと思うのですが、変なこだわりがなければもっととれていたかもしれないと思うと悔しいです。
入試は、完答できた!といばる場所ではないので、受かるために得点を最大化することを第一に考えましょうね。

面接

筆記試験から一日開けて、面接があります。私のときは8/29の火曜が筆記試験で、8/31の木曜が面接でした。当日の9:00に面接を受験する資格の有無が発表され、10:00以降に順次待機室に呼ばれます。受験資格の有無は、筆記の点数で決まります。順次というのは、受験番号ごとにある程度区切って時間を分けて待機室に呼ばれるということです。この呼ばれる時間は9:00の資格発表のときと同時に公表されます。また、この区切りの細かさは志望する研究室によって異なります。

面接ですが、私は私服で行きました。ただし少しだけきっちりとした格好で行きました。オフィスカジュアルとかいうものに合致してたかどうかはわかりませんが…
スポーツのときに切るような軽装で来て第一希望に残念ながら落ちてしまった友人もいるので、面接はスーツとまではいかなくても、きちんとした服装で受けた方がいいと思いますね。心証というのはやはり大切です。

私は午前中に面接に呼ばれました。おそらく4番目だったと思います。自分の希望していた素粒子原子核実験のコースでは面接で学部生のときの実験で記憶に残っているものを説明させられます。せっかくなので、7月にやっていた実験の内容を説明しました。

面接の部屋に入ると教授たち10人程度が座っているので、精神的な圧力は凄まじいものがあります。その中で実験の内容を5分で説明するのですが、5分きっかりで切られました。自分はあらかじめ練習をして5分で説明できるようにして本番に望みましたが、練習していないと、かなり大変だと思いますね。時間を測るデジタルのタイマーがあって、その時間は受験者にも見える位置に置かれていたので、発表中にも時間をある程度把握することは可能でした。質問に対してもおおよそは答えることができて、まぁまぁかな?という感触でした。

面接は2日あり、第一希望コースと第二希望コースの面接をそれぞれ受けます。第二希望コースになんとなく理論系のところを書いたら第二希望の面接には落ちてしまって、やっべ…という気持ちで実は面接を受けていました。
第一希望に実験系を書くなら、第二希望は実験系にしておいたほうがいいと思いますね(でないと現実的に滑り止めにならないので)

院試後〜合格発表

第二希望の面接が(自分は受けさせてもらえませんでしたが)9/1で、合否発表が9/11なので10日間も待たされたことになります。とはいえこの期間は研究を本格的にスタートさせるために先生とミーティングしたり、友人と遊んだり、研究室でバーベキューしたりと予定が色々あったので、手持ち無沙汰な感じはあまりありませんでした。

合格発表は9/11の13:00に理学部棟の玄関に合格者番号の一覧が掲示され、少し遅れて物理学科の建物(阪大生向けにいうと、H棟の2階です)の掲示板に配属表が掲示されます。この配属表で自分が実際にどこの研究室に配属されたのかを知ることができます。

阪大の外部から受験した人は合否を最速で知るためには阪大生の知り合いがいる必要がありますが、合格発表の翌日9/12にはよほど離島とかでない限り合格者には書類が速達で届くので、どの研究室に配属されたのかを知ることができます。

合格発表の時間が13:00と微妙な時間で、この日緊張して朝7:00くらいに起きてしまったので、リングフィットで時間を潰していましたw

結果、私は第一希望の研究室に合格していました!めでたい!
ということで、研究に励みたいと思います。11月末の学会でポスター発表することになっているので、それに向けて頑張りたいと思っています。

大学院入試について

以上に書いたように院試のことを振り返ってきましたが、ここでは、大阪大学理学研究科・物理学専攻or宇宙地球科学専攻の大学院入試のことについて一般的な情報を書いていきたいと思います。

院試までの長期的なスケジュール

3年生 院試勉強スタート TOEIC受験
4月  研究室配属 院試説明会
5月  募集要項公開
6月  受験料払込開始
7月  入試出願
8月  大学院入試
9月  合否発表

という感じになるのではないでしょうか。
3年生のうちは習ってから時間が経つ力学を演習書を活用して詰めていくのをおすすめします。5月以降になって研究室での活動が本格的に始まってくると、意外と時間がないので基礎固めをするならできるだけ3年生のうちにやっておいたほうが良いです。

TOEICに関しては、7月に出願するまでに成績があれば良いので、成績が帰ってくるまでの期間を1ヶ月と見積もって、5月までに受験していれば間に合うと思います。6月の上旬でも場合によっては間に合うかもしれません。
成績がなければ、そもそも出願することができないので気をつけましょう。

院試の出願

募集要項はhttps://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/admissions/admissions_d/#r06 で公開されています。募集要項とは別のpdfファイルですが、出願に必要な書類もここに書かれています

出願の際には、希望するコースを2つ選び、その中から希望する研究グループを選び、第6希望まで書きます。私は第1希望コースがA1で、第2希望コースがC1でした。下の画像のように各研究室がコースごとに分類されています。

また、卒業研究の内容を書く欄があるのですが、私の指導教員によるとこれは実際には卒業研究の内容でなくてもよいらしいです。私も、7月にやっていた実験(実は卒業研究ではないのです)の内容をここに書きました。

出願書類は、理学部A棟の窓口に行くか、郵送することで提出することができます。出願できるタイミングは非常に限られているので、初日に最速で出すくらいのつもりでいたほうが良いです。

研究室のグループ分け
4年次の研究室配属では入ることができるない吹田のRCNPやレーザー研などもある

筆記試験の対策

筆記試験は制限時間3時間30分で、大問が4つあり、力学、電磁気、量子、熱or統計の順に出題されます。私は既に解いたことのある問題でも1問解くのに50分程度かかっていました。なので院試の問題をぜんぶ解くというのは時間的にも厳しかったりします。

筆記の点数は英語の点数と物理の点数で決まります。比率は公開されていませんが、英語の比率はかなり低いらしいので、10:90か、15:85くらいなのではないかというのが私の推測です。

少し英語について書きます。英語は私の代から、TOEIC あるいはTOEFL の外部試験になりました。TOEFLは高いので、ほとんどの人はTOEICを受けると思います。TOEIC の点数は全体として線形ではなく、中間のボリュームゾーンを拡大するような形になっています。

TOEIC を受験する上で気をつけるべきことは、出願に使うことができるものに制限があること、成績の写しがないと出願できないことです。

筆記試験の当日に成績原本を持っていかなければ、英語の点数が0点として扱われてしまいます(これに関しては来年以降改善されるかもしれません)。ただしその場合でも受験資格を喪失することや、足切りに遭うことが確定することはありません。また、出願のときより良い成績を出願以降に取得した場合には、そちらの原本をもっていくことで、そちらの成績で筆記の点数をつけてもらうことができます。

英語外部試験得点換算表(100点満点)

ここからは、各大問・各科目の対策について書きます。

  • 力学
    力学はラグランジアンを書くことができれば勝ちみたいな問題がままあります。解析力学の、オイラーラグランジュ方程式の部分や、一般化座標と共役運動量といった解析力学の概念は復習しておいたほうが良いです。

    それに、力学で厄介なのは剛体です。剛体の慣性モーメントや運動エネルギーの求め方を自分は忘れていたというか学部1年のときにわからないまま終わってしまったので、院試にあたって勉強し直しました。

    力学はある意味オーソドックスな出題が多く、市販の演習書を解くことが良い対策になります。

  • 電磁気
    電磁気はヤバイです。どういうこというと、問題によって難易度が全然違っていて、パターンも全く見えてきません。さらには、演習書の問題も院試の問題とはかなり異なることが多いです。ではどうするかというと、ひたすら過去問を解いたほうが良いです。
    でも、ガウスの発散定理とストークスの定理、それからマクスウェル方程式くらいは学部1,2年の頃の電磁気の教科書を読み返して復習しておいたほうが良いですね。ただし砂川先生の理論電磁気は良い本だとは思いますが院試の対策にはあまり役に立たないと思います。それよりは初学者が読むような簡単な本が良いです。

  • 量子
    量子はある程度問題がパターン化されています。というより、解析的に解くことができる系が1次元の散乱問題、調和振動子、スピン系くらいしかなく、あまり問題にバリエーションが出せないのだと思います。
    たまに角運動量の合成をさせられるので、合成はきちんとできるようになっておきましょう。ブラケット記法にもある程度慣れておく必要がありますね。

    教科書を読み返すならば、量子力学を初学するときに使ったものを読み返せば良いと思います。

  • 熱・統計力学
    大問4は熱力学か、統計力学が出題されることになっています。どちらか片方だけのこともあれば、複合的な問題が出題されることもあります。統計力学のほうが出題される頻度が高いので、まずは統計力学の勉強から始めると良いと思います。

    統計力学も、解ける系が調和振動子系や理想気体、2準位系、イジング模型くらいに限られているので、ある程度のパターンはあります。ただし統計力学は計算力が要求される傾向がある印象です。

    教科書を読み返すなら、菊池先生の講義資料がおすすめです。http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/kougi/statphys/statphys.pdf

    もし時間があれば、久保先生の熱・統計力学をやると良いと思います。直接には院試に役立ちませんが、血肉となって役に立ってくれるのではないでしょうか。

  • 過去問
    過去問をとき始めるタイミングは人によると思いますが、本番までに過去問を2013年のぶんまで解いたほうが良いです。よくわからない演習書をダラダラやっているよりは、過去問を解いたほうがいいと私は自信を持って言えます。
    ただし、1,2年分は本番近くになったときにタイムアタックして解く用に残しておいても良いと思いますし、阪大のものに最初から手をつけるのではなく他大(特に京大や東大)のものに手を付けても良いでしょう。
    阪大の院試過去問はここ(http://www.phys.sci.osaka-u.ac.jp/ja/grad/undergraduate_exam.html )に公開されています。

    過去問を解くときにおすすめの方法は、ノートを買ってそこに解くことです。また、わからなかった問題があれば、なぜわからなかったのか、どういう道具を使えば良かったのかということを言語化して書き記しておくと効果的です。
    私はA4のコピー用紙に解いてクリアファイルに保存していたのですが、紙を紛失することもあり、失敗だったなと感じています。

面接対策

私の第一希望コースはA1コースで、上に述べたように面接の内容がかなり詳細にわかっていたので入念に対策を行うことができました。面接の内容については、コースごとに大きく異なるので、内部生であれば研究室の先輩にどんなことを聞かれたのかを聞くのが良いでしょう。

なお、筆記と面接の割合も公表されていません。また、面接の点数は点数開示で知ることもできません(開示すると、形式的に100点として扱われます)。
筆記と面接が1:1という噂もありますし、面接で合否はほとんど左右されないという話もあります。もしかしたら、この比率は研究室ごとに変えられるのかもしれません。

あとがき

ここまで読んでいただいてありがとうございました。文字数は11kを超えるくらいになってしまいました。ここで書き切ることができなかったことも多々ありますが、ひとまずはここで筆をおいておこうと思います。院試の対策勉強の話であればいつでも相談に乗るので、気軽にDMでもしてください。実は、過去問を解いたぶんだけtexでpdfに起こして公開するという計画があったりします。それも含めて、また点数開示などがあれば更新しようと思います。それでは。


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