“Y”を取引した話

あなたは“Y”を知っているか。
日本中でひっそりと売買されるものだ。
(うかつに喧伝してはいけないので仮名Yとしておく、本当は別の名がある)

私が買う場所はコンビニの店内で、そこで売られるのは大抵“1000”だ。1本ずつ売られる。近年需要が高まってコンビニで売買される仕組みになったらしいが以前は“1000”は使用者の元へ“レディ”が売りに来ていた。

“レディ”は商品を運んで対面で売る女性の売り子だ。自宅まで来てひっそりとやり取りされる。玄関で目の前に商品を広げて「どれがいいですか?」等と訊かれるのだが、商品それぞれに成分や割合が異なる。そして“レディ”を経由しなければ買えない商品もある。昔の私はよく固形のものを買っていた。“レディ”はこちらの身の上を心配して「大変ですよねぇ」と気遣ってくれるベテランだった。

今の私は近所のスーパーの店内で“400”を購入する事が多かったのだが、疲れがひどく眠りが悪いので“1000”の購入を検討している。“Y”の商品を購入する者の中には健康に不安を感じている人や疲れが気になる人が多くいるという。そして「よく眠れるようになった」という声を聞く。“Y”の商品は質が高いと評判だ。よく似ている“P”を購入していた者も結局“Y”に戻ったとか。

こんな事を書いているなんて、そしてあなたが読んでいるなんて知られると社会から爪弾きに遭いそうなので他言しないように願う。

これを読んだあなたも明日には“Y”の商品を受け取っているかもしれない。

どうか健康で、また逢おう。