会えないかもしれない人へ

これは昔やり取りをして今は会えない人へ贈る手紙。たった1人に贈る。それ以外の人には関係ないからまあ与太話として読んでほしい。

拝啓 友達になると約束した人へ
昨今はすっかりオンラインの時代になり全人類が表現をする世の中になりましたね。その時代に煽られて日記は消えつつありますが、そちらはまだ日常が残っていますか。それとも全てがハレの日になってしまいましたか。

人生を遊園地に例えた話をしたのを覚えていますか。あの時の私達はお化け屋敷の中にいると思っていましたね。私も遅れてお化け屋敷から抜け出せて、ベンチで休んでいるようなものです。あなたは才能ある人だったから、もし今も生きているなら良い処にいるのでしょう。そこからはお化けの裏側も見えているのかもしれませんね。

あなたは忘れてしまった話かもしれませんが、その時に私が「一緒に観覧車のてっぺん行って世界を眺めよう」と言っていたと思います。一緒に音楽をやろう、閉園するまで生きようと。きっと今のあなたには私より相応しい人が現れたのだと思います。私は1人で行きます。

あなたは今、何処にもいないのかもしれない。私の知る中では、連絡が途絶えてそれっきり。それでももし今あなたが生きているなら、あなたは私を置いてどんどん行ってしまって、ああそんな人もいたねと、遠い思い出の中に私がいるでしょう。私もいつか、あなたがいるかもしれない処まで行きます。何十年かかっても辿り着けない処まで、現実的に考えたら行けないのだけど、行きます。

これから世界中の動きの中では暗い話もあるでしょうけれど、どうか酔わずに変わらずに、お元気で。

かしこ