仕事をクビにならなかった話
勤務初日から3日働いて、その後3日間熱を出して休んでいた。私が在籍しているのは、世にもダークな夜の街にある、とあるスナック。裏方である黒服・白服等は、軍隊ばりに厳しい上下関係、上の言うことは絶対!な有無を言わさぬ教育の数々・・・。毎日下っ端の新人はビシバシと先輩からシゴキ倒されている。のような世界を、ウチの店の内情を知らない方々はされているかもしれない。
私が在籍しているお店はびっくりするほど平和だ。キャストも裏方も皆大人だし、ドラマのキャバクラでよくあるような、誰かが誰かを蹴落とそうとする現場を、リアルでは一度もお見かけした事がない。
休み始めて3日目の昼頃、激しく咳き込みながら回らない頭でなんとなく考えた。初っ端から3日も休んだら、こんなに体力無かったの!?聞いてないんだけど。もう明日から来なくていいよ。って休み明けの出勤後すぐに、店から追い出されるのではないか?と。だから、もう一日休ませて欲しいと店長に連絡を入れるのが、自分の中ではものすごく掛けだった。
実際のところ、休み明けの昼頃に、体調は大丈夫か?無理はするな。という内容のLINEが店長から届き、クビになるかと身構えていた時間が杞憂だった事を知る。出たら出たで、勤務時間を短くして貰ったり、団体対応を途中で外して貰ったりとめちゃくちゃ気を使って頂いていた。
店長と喋りながら開店準備をしていた際、初っ端から風邪引いて3日も休んでしまったので、クビにされるんじゃないかと思ってました。と伝えると、逆に店長から、3日働いてみて余りにも多忙だったから、辞めてしまうんじゃないかと思って心配だったんだよ。と言われて、お互いの心配事が真逆だったのがちょっと面白かった。
ヒトが使い捨てにされる時代はもう終わっていたんだな、と、ようやく感覚的にも分かってきた。本当は昔から使い捨てにされない場所はあったんだけど、自分がそこに辿り着けていなかった説もあるかもしれない。私自身この先もっと、この店の方々の影響をいっぱい受けて、自他共に大切にできるヒトになっていきたい。
ずっと死にたがってた人間が、まさかこんな事考えるようになるとはね。環境の力って、すごいなと思った。
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