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結果、自分を晒してきた話

 これはちょうど一週間くらい前のお話。『言葉の焚き火場』でゲストスピーカーをしてみないかと、お声がけを頂いた。何となく面白そうだと思ったので、私は2つ返事でOKした。その後、どんな人達がスピーカーに招かれてきたのだろう?と、これまでのゲストスピーカーさん達の顔ぶれを確認してみると、さまざまな分野で実績を積んだ、自分を持った煌びやかな方々が顔を連ねているのを目にする。青ざめる私。OKした事を後悔した。

 『言葉の焚き火場』とは、NPO法人ハーベストさんが主催する、焚き火を囲みながら語らうような温度感で、『自分の人生や幸せについて、ちょっと立ち止まって考えてみる』という大人向けのグループイベントである。
 参加者はほんの少数で、ゲストスピーカーの役割は、価値観のプレゼンではなく、『言葉の焚き火』の火付け役、いわば種火。スピーカーの話を聴いて浮き出てきた各々の想いの薪を、皆でポツリ、ポツリと焚べながら話を広げていくのがこの会の醍醐味だ。
 だからこそ、自身の生き様を晒しても恥じないくらい、自分の色を持ち、自分の活動を信じられる『強いインパクト』を持った方々が、今までスピーカーを務めてきたんだと思う。
 『普通』になろうとしてなれなかった経歴を持つ私に、火付け役なんて務まるのだろうか・・・?とはいえ引き受けてしまったのは自分だ。すごく怖いなと思いながら、私なりに『私にとって幸せとは?』という問いに、悶々と向き合っていた。

 最初に降りてきたインスピレーションは、イベントの主催の方に初めてお会いした時に教わった、『自分のための時間と、周りのみんなの為の時間のバランス』のお話だった。
 夜、焚き火を焚べてご馳走を振る舞ったり、火の前でぼーっとしたりしながら、「おいらもこうやって、バランスを取っているんだよ」と笑っていた姿。まずはそこから、自分なりの「どんな基盤があったら幸せなんだろう?」について考えていく事にした。

 次に降りてきたインスピレーションは、薬?が切れて病み倒して助けを求めた事をきっかけに教わった、「人類の目的は何だと思う?」の答えだった。

 それから、内定を頂いた会社にどうしても入社するのが怖くて、仕事終わりの起業塾の先生を捕まえて相談に乗って頂いた時に教わった「好きを仕事に選ぶことこそ、すごく真面目な選択だよ」という言葉や、企業塾の最終回に行く前に、「行ってこい!」って力強く背中を押して下さったカフェのマスター、旅行の誘いをドタキャンしたにも関わらず「今度こそ一緒に旅行行こうね!」って言ってお土産を渡しに来てくれた友達の姿が、次々に浮かんでくる。

 私の周りは、いつも、優しい。

 イベントの前日、8割くらい話す内容が決まった私は、とりあえずの目次をメモし、いつものように仕事に向かった。

 イベント当日、朝目が覚めると、私が話そうとしていた内容は、ほとんどが誰かから教わった言葉達で、『自分の経験から出てきた私の言葉』ではない事に気がついた。
 もう一度、何を話すべきか考える。
 辿り着いた答えは、自分の半生の失敗と、そこから学んだ自分なりの反省を晒すことだった。

 『言葉の焚き火場』で『火付け役』を務めてきた。私よりも一回りも二回りも長くこの世界を生き抜いてきた先輩方を前にして、私は自身の拙い言葉で、私自身のその場その場に適応しようと必死に『枠』にハマろうとしてきた過去の過ちと、それを経て辿り着いた現時点での『幸せ』の答えを語ってきた。

 話終えた後、聴いて頂いた方に、「あなたのその経験は、きっとこれからの人生で生きてくると思うよ」と優しい眼差しで言って頂いた時、私は、溢れそうになる涙を、ぐっと堪えていた。

自分以外の『外からの声』に、私はこれまで、どれだけ惑わされてきたんだろう!
それらの声から『逃げたい』、そう思ったんです。

"転職するならキャリアアップを望むべき" "未来を見据えた選択を!"
"なりたい自分をイメージしてからスタートの道を探すべき"
"お金貰えるんだから、それでいいじゃない" 
"会社員やめて放浪なんかしたら、もう戻って来れないぞ" 
"そんなんじゃ経歴怪しすぎるからね"  
"未来の自分に投資するんだよ" "地道に努力しないで勝てる訳がない"

『素のままの自分自身で、今を歩いていける状態』
これが、現時点での私の中で導き出した、『幸せとは?』の答えです。

ご清聴頂き、ありがとうございました。


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