電車のイメージが変わった話
普段、何気なく乗ってる電車。
今まではあくまで「移動手段」として捉えていた。
多分、多くの人が僕と同じイメージを持っていると思う。
ところが、電車好きの息子と一緒に電車に乗るようになって、そのイメージがガラリと変わった。
電車が好きな息子
うちの息子は電車が大好きである。
何をきっかけに興味を持ったかは分からない。電車の本だろうか?気づいたら電車が好きになっていた。
特に男の子は、消防車や救急車といった「働くクルマ派」と「鉄道派」に分かれると聞くが、うちの息子は明らかに「鉄道派」だ。
親が分からない電車の顔(先頭車両の形)を見て何線か答えられる。
息子と電車の本を読むようになるまで、車体の色ぐらいでしか、電車を見分けられなかったが、よく見るとそれぞれ違う顔をしてる。
電車に乗りに行く
そうなると「電車に乗ること」を目的して出かけることが多くなった。乗りたい電車に合わせて目的地を設定するといった感じである。もちろん、緊急事態宣言等が出ている時は控えたが、昨年の秋頃のコロナの感染が落ち着いている時期は、よく電車に乗りに行った。
僕の住んでる関東近郊は、「大都市近郊区間」と言って、ルールを守れば、乗車した経路によらず最も安い経路の運賃で目的地に行ける。
東京で電車を乗る人なら当然の事実だが、「大都市近郊区間」という特例であることを知っている人はそんなに多くないのではないか?
僕も調べて初めて知ったが、そうゆう小さな発見も面白いと思うようになった。
路線図では分からない線路の特徴
子どもにとって特等席はやはり先頭車両だ。うちの子も同じである。
息子と一緒に先頭車両から景色を見ていると普段気づかないことが見えてきた。
例えば、線路。
よく見るとカーブが思ったより急であったり、知らないうちに斜面をくだっていたり、普通に乗ってるだけでは気づかないことが多い。
遠心力や傾きをほとんど感じさせない電車の技術のすごさに改めて驚かされる。
中央線の新宿駅-東京駅間は、路線図上では、総武線と御茶ノ水駅まで同じルートを辿る。
同じルートなので、ずっと交わらずに並走しているかと思っていたが、停車駅の違いのためか、実は並走しながらも何度かポジションチェンジする。さっきまで右に走っていた総武線がトンネルを抜けると左に走っていることもある。
また、御茶ノ水駅の聖橋では、3路線(中央線、総武線、丸の内線)が立体的に交差する有名なスポットがある。
路線図からは分からない線路の情報は、先頭車両から見ていると、刻一刻と変化していき、大人が見ていても楽しい。
風景から見る土地と電車の関係
移り変わる風景からは、土地と電車の関係が見えてくる。
新宿駅から中央線に乗り、市ヶ谷駅を抜けると、進行方向左手に水路が見える。有名な市ヶ谷堀である。調べてみると四谷駅から御茶ノ水駅あたりまでは、江戸城の外濠を利用して線路が引かれたそうだ。中央線は路線図だけみると、新宿駅と東京駅を直線で結んでいるようなイメージがあったが、実際は江戸城の外濠に沿って線路が引かれているので、Sの字を描くような線路である。きっと徳川家康もこんな形で外濠が活用されるとは思ってもみなかっただろう。
御茶ノ水駅を過ぎ、神田方面へ向かうと風景がガラリと変わる。さっきまで水路と並走して開放感のある景色の中を走っていたのが、ビルとビルの間を走りるようになり、神田駅あたりでは、6本の線路が横並びになる。様々な風景が短時間のうちに変わることは、東京で電車を乗る醍醐味の1つだと思う。
そして、東京駅の到着直前に、中央線は緩やかな傾斜を登っていく。眼下には、東京駅に発着する電車や新幹線が見え、大人でもちょっとテンションが上がる。東京駅の地上にあるホームの内、中央線のホームだけ他のホームより高い位置に作られている。これは、北陸新幹線が出来た際に、ホーム不足解消のため、通常のホームの上に作ることになったのだそうで、多くの路線が発着する東京駅ならでは解決法である。
運転手さんの優しさ
息子と駅で電車を見ていると、多くの運転手や車掌さんは、手を振ってくれる。運転手さんや車掌さんは子どもにとって憧れの仕事だ。些細な気遣いでもやっぱり嬉しいし、どこか居心地の良さを感じた。
電車を乗ることで見えてきたもの
息子と電車を一緒に乗ることで、見えてきたものが3つある。
1つ目は、今まで気づかなかったことに気づくことの面白さだ。
冒頭でも述べたように、僕は今までは電車をあくまで移動手段として捉えていたし、もともと電車に詳しくない。
ところが細部を見ることで、電車や線路、その土地に対する興味が湧くようになった。ちなみに、ここに書いたこともちょっと調べれば分かることばかりだ。
電車や線路、駅といったモノには必ずそこにある理由やヒストリーが存在する。
ちょっとした興味から少し調べてみるだけでも、普段何気なく乗っている電車に愛着を湧かせてくれるような気がした。
2つ目は、電車は移動手段でありながら、同時に居心地の良さも提供していると感じた。揺れや傾きを軽減するような技術的なこと、安全•安心のために多くの人の支えていること、どれも欠くことができない大切なものだ。それに加えて鉄道を運行する人たちの暖かさも居心地の良さを与えてくれているんだと思った。
3つ目は、息子の電車好きを改めて確認できたことだ(笑)電車に乗ると目が輝いているし、真剣そのものだ。行く度に連れてきてよかったなぁと思う。
普段使っている通勤•通学の電車でもいいので、いつもとは違う視点で乗ってみるのおすすめです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?