100日後に花咲くビリオネアトレーダー……になれるのか?~ロスカットまつりのFXトレード日誌~4


登場人物紹介
・keith.w 通称キース。
 仮想通貨からトレードを始めていま6年目。
 なんとなくまつりを拾ってしまう。

・終乃(あとの)まつり 通称まつり。
 24歳。ギャンブル廃人の元ホームレス女子。
 キースにFXを習って億り人を目指す。



第3話 「まつり、資金を溶かすも復活する」

 前回、まつりがパチスロで六万を作ってきたことで、トレード資金がどうにか回復したと安心していたキース。
 まつりはもう、ギャンブルをやらないと誓ってくれた。
 キースはその誓いを信じてもいいと感じていたから、トレードに関してあまりとやかく言わなかった。
 座学をして、学んだことを指定したポジションで取引させて、後からの理由を伝える――。
 ……という方向性でやっていくはずだったのだが。

「師匠――、3万8千円溶けました……」
「おいっ!」

 いきなりの訃報。
 いやまだロスカットまつりにはなってない。
 だが、残り残金はたった1万ちょい。
 ここで全額ベットしてポジションを持てとは、到底言えない。

「どうしたらいいですか、もうここが私の底値なんでしょうか?」
「人生の底値にはまだまだ早いと思うけどな。今日はトレードしない方がいいな。三日休みだ、休み!」
「そんなああっ! 見捨てないで下さいよ、師匠っ」

 涙ぐんでがっしりとしがみついてくる不出来な弟子に、キースは当惑を禁じ得ない。
 だって、勝手に取引して勝手に負けているのだから、フォローのしようがないのだ。

「負けたら三日休む。それが精神の安定をもたらすんだ。だから、今は休め。脳を休ませて、リベンジするためにはなぜ負けたのかを、自分で取引の分析をするんだ」
「ああ……。自分の戦略を俯瞰する、みたいな?」
「そういうことだな。自分がどうしてそうしたのか、なんで損切りできないのか。それは失いたくないって恐怖感が作用してるからだ。でも損切りしろ。10万の軍資金で8万溶かしても損切りしろ。2万あればやり直せる。そのためのハイレバだからな」
「あー……だから、海外FXでやるんですね?」
「国内みたいにレバ25倍じゃないし、500倍もあれば1日で証拠金を数倍にもできる。トレードで安定して利益を継続して叩きだせるのはスキャルピングトレードだからな」
「ほえー。スキャルピングトレード?」
「数秒から数時間のポジションを複数取引して、小さな利益をコツコツと積み立てる手法だな。お前はまだ知らなくていい。ほら、座学!」
「はいーっ」

 結局、この日はFX取引における決済方法について学ばせた。
 STPとかECNとかそういうところだ。
 大人しく勉強していると思っていたまつりが、キースの配信したポジでデカいロットを持ち、資金を全額回復させたと報告が入ったのは、翌日のことだった。

約定方式について
STP方式とECN方式
→FXの約定は距離によって決る(サーバーの位置と約定速度)
→FXの約定は繋いでいるLPによって決る(反対売買の板の厚みとTier1~Tier5)
→APIとFIXAPI


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