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女王様と僕 | 1−6−3 | 下上ル(シモ・ノボル)と秋の夜に見る春の夢 園参

僕、下上ル(シモ・ノボル)は、今恵比寿の地下のバーにいる。
オーク材のカウンターを挟んで、変態マスター、山ン(ヤーマン)、僕が座っている。
議題は、「気づいてしまった本質」だ。

下上ル(シモ・ノボル)の、携帯画面の中にある嘘

山ン(ヤーマン)が、タバコを辞めたきっかけ

この2つの共通項とは…?

完全禁煙となったバーのカウンタに肘を付き、100年もののアブサンを愛おしそうに愛でながら山ン(ヤーマン)は続ける。
「ま、YOU(要)は、だ。最初に飲んだときにお前、『24あるマスの内、何
 マスが自分か?』って話したよな?」
「うん(UNNN.../云)。スマホが登場して以来常々引っかかってた疑問だ
 からね。」
「そう(THOU,SAW,SO)。その24のマスってのは、例えば24時間だとして
 の24コマだったよな。」
「ま、何コマでもいいんだ。例えばの数字だから。」
「で、だ。ま、わかりやすく24マスなわけだが、そのマスってのは、実際問題は他人との塗り合いっ子なんだYO。な。」
「塗り合いっ子?」
「本来なら、自分で決めて自分のやりたいように生きる。これが24マス自分な人生。ま、野生の動物とかはそうだ、NA?」
「だね。」
「だが、野生の動物が狩られるという生態系のリスクが有るように、俺達もやりたいように生きていると狩られるリスクがある。
というか、コントロールが効かないと支配者が考えたときに、排除されるという方がわかりやすいかもNA。」
「あぁ、文春砲とかそんな感じだね。」
「SOそSO。鈍くねぇな。EE(いい)。ポインツは、だ。その文春砲も、キ
 ャノンだけに弾を込めたやつも、狙いをつけたやつも、撃っているやつも
 いるってことだ。文春という紙面に砲台を付けたやつ。つまり、文春とい
 う紙面を塗ったやつがいる。感動的なエッセイでも良かった紙面を、キャ
 ノンに換えた。これが、塗り合いっ子の正体ム(SHOW/TIME)だ。」
「そう言われると、そこら中が塗られている気がしてくるね。」
「マスター、おかわり。あ、まとめて下上ル(シモ・ノボル)につけとい
 て。」
(こんな、メニューも値段も書いてないサランラップがぐるぐる巻いてある
 瓶が並ぶバーでつけられたくない。けど、続きが気になるから仕方ない。
 ま、特に金には困っていないから、いいか…)
「な、下上ル(シモ・ノボル)よ。そこがお前のいいところだ。」
「へ?」
「金には困ってないだろ、お前。」
「あ、うん。」
「な、下上ル(シモ・ノボル)よ。金に困っていないから、ま、いいか、
 ってなるんDA。文春砲も、YOUTUBERも、塗って塗られての塗られっ
 ぱなしのヤ○マ○ヌ(仮)たちは、金に換えちまったんだ。価値を。」
「ま、売ってこその、価値ってことでしょ?」
「VACA」
「…はい?」
「VACA(ヴァカ)」
「…あぁ。」
「そろそろふりがな付けなくても会話できるようになれ。」
「さーせん。」
「価値は、金に換えるのは最終手段だ。」
「他に何が?」
「人望、道徳、愛、友情…いくらでもあるだろ。」
「…?」
「>>>」
「???」
「<<>>???{{}}}ORZ」
「?? ??…」
「お前、表現しょぼすぎ。」
「さーせん。」
「めちゃくちゃベタな話をしようか。お前が、あるおばあさんの荷物を持って横断歩道を渡ってあげたとする。
お礼に1000円をくれようとするおばあさん、それを受け取らないお前。
「受け取るよ。」
「黙れ。受け取らない事自体に感激したばあさんは、実は」
「お、ばあさんね」
「受け取らない事自体に感激したばあさんは、実は某企業の社長夫人。旦那に口添えして見上げた青年を応援したいと言う。
旦那は早速調べてお前にめちゃめちゃ美人の娘を紹介して是非嫁にもらってくれという。」
「最高。」
「…わかったか?」
「最高だね、」
「そこぢゃね。換金しないことによって、生まれた友情と愛。価値は換金した時点でそれ以上にならねぇ。
金は価値を産まないからな。だが、価値はいくらでも様々な物を生み出す。」

山ン(ヤーマン)は、紙とボールペンを取り出すと、カウンタに置いた。
「な、下上ル(シモ・ノボル)よ。もう一つ大切なことを教えてやる。
 お前が絶対気づいていない自分の力をあ、マスターおかわり。」

秋の夜は確実に僕の財布を蝕んでいく…

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