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スポーツバー物語⑩ー六甲おろしに颯爽と(野球編)2ー

今回もスポーツバー3大スポーツの一つ野球編の続きです。前回はサッカーと野球のファンの違いをお伝えしましたが、今回は阪神タイガース優勝についてお伝えします。

〝バースの呪い〟から18年

 私がスポーツバーを経営している期間に阪神タイガースは2度優勝しました。

印象に残っているのは、2003年、野村阪神から受け継いだ星野阪神のリーグ優勝です。

1985年の日本一、カーネルサンダースがバース選手に似てるからと道頓堀に放り込まれ行方不明(?)になった〝バースの呪い〟から実に18年!

それはそれは連日ニュースで朝昼晩と優勝マジックのカウントダウンが流れ、関西の話題を独占していました。

商店街ではセールの準備、ケンタッキーFCは、今度こそは持って行かれてなるものかとカーネルサンダースを鎖でつないだり、店内奥に避難させたりしていました。

道頓堀のひっかけ橋は連日警官がパトロール。

ヒョウ柄ならぬトラ柄のおばちゃんが、なぜか夕方の関西ニュースで連日インタビューで取り上げられました。

おばちゃんもおばちゃんで「優勝してホシ〜ノ(星野)」なんて上手いこと言うので、本当に関西のお笑いのレベルは高い!

さて、お店の方はと言うと、面白い現象が起こりました。

毎日、予約〜キャンセル、予約〜キャンセルの電話がなりっぱなしです。

当然、ファンからしたら甲子園球場(もしくはアウェイの球場)で優勝の歴史的瞬間に立ち会いたい訳ですが、チケットなんてそう簡単に手に入りません。

そこで、スポーツバーで気兼ねなくワイワイ応援したいとなる訳ですが、そうなると優勝の日をピンポイントに予約しないといけません。

もう、マジック10ぐらいから予測しているんでしょうか。

毎日、優勝しそうな日を見計らって、都度その日の勝敗で、予約とキャンセルの電話が鳴り続けました。

知らない人が抱き合ってる!?

 そのうち、「猛者」が現れます。

マジックが一桁になったあたりから、〝優勝まで毎日予約〟です。

どうせ、どこかで見るんだから、毎日通ってやれと言うことでしょうか。

そんな「猛者」が、2人3人と増え、「あ、こんにちは。今日もですか?」なんて会話が始まり、やがて「一緒に飲みませんか?」となります。

マジックがなくなる頃にはすっかり打ち解け、優勝の瞬間には、泣きながら抱き合ったりするほどの一体感が生まれます。

私はその光景を目の当たりにして「スポーツは知らない人同士を、短期間で抱き合うまでにしてしまう力があるんだ」と思いました。

勝った時のヒーローインタビューや、優勝の時の大画面に映る、選手の涙は感動的で、お客様も自分のことのように共感し、ほとんどのお客様が泣いてました。

飲食店で、ほとんどの客が泣いているって、想像できますか(笑)。

闘将!星野仙一さん

 もう一つ印象に残っているのは、星野監督の立ち振る舞いです。

何があっても堂々としていましたし、エンターテイメントも心得ていて、それでいて圧倒的な情熱家でした。

選手を奮い立たせること、どんな時もファンを喜ばせる術を熟知していました。

その後、マー君の奇跡の登板で優勝した楽天を率いる事になるんですが、この時も、野球を盛り上げる天才だなぁと思いながら見ていました。

星野仙一監督は2018年1月4日、残念ながらご病気のため他界されました。

この時は、知人を亡くしてしまったような気持ちになったことを思い出します。

改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。

デイリー新潮より
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/12010600/?photo=1

今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございます。次回、もう一度野球編をまとめていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。

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