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「あの人に近づきたい!」–ロサンゼルス遠征−

 〝人気のアイドルや、憧れの人に少しでも近づきたい〟と思った事はありませんか?

そんな時、髪型や服装、口ぐせを真似したりしませんでしたか?

今回は、私が憧れたコーチのお話です。最後までお付き合いいただけるとありがたいです。

「黒ヒョウ」と呼ばれた男

 1995年、前年度に二冠を達成できた御褒美として、会社からアメリカ遠征の許可をいただきました。

3度目のアメリカ遠征ですが、マネージャーとして、企画から全てを一人で準備するはじめての遠征です。

①場所はロサンゼルスで行う。
②クリニックは著名なコーチを招聘する。

を前提に交渉を始めました。

そして、選ばれたコーチは、〝黒ヒョウと呼ばれた男〟ラリー・ドリュー氏に決定しました。

コーチ・ドリューは、NBAロサンゼルス・レイカーズのアシスタントコーチでした。

彼の現役時代は、LAレイカーズなど数チームを渡り歩く名PG。

マジック・ジョンソンから「彼を慕ってLAに来た」と言わせるほどの選手でした。

「黒ヒョウ」のあだ名通り、実際に自宅で黒ヒョウを飼っていたという逸話も!

しかも、奥様は、スーパーモデルで超美人!!

クリニックの打ち上げで、奥様とお会いしたんですが、とってもキュートで眩しいほどのオーラを放っていました。

日本とは全く違うスタイルの指導

 コーチ・ドリューのクリニックが始まりました。

初めてのアメリカ遠征の回でも書かせていただきましたが、アメリカの指導スタイルは、日本のそれとは全く異なります。

・毎朝ミーティングがあり、スタッフと意見交換する。
・練習前、チーム全員に対して「なぜ、我々はここにいるのか」などのスピーチから始まる。
・1つの練習に固執しない(時間をかけない)。
・できなくても怒らないが、やらないと怒る。
・選手に〝なぜ?〟を考えさせる。
・教えた通りプレーしなくても、違うアイディアとして認める。
・どんな場面でも、ユーモアを忘れない。
(日本とアメリカの違いは、次回詳しく書きたいと思っています。)

「ロサンゼルス・レイカーズの練習メニュー」が、ドンドン進みます。

勉強でいったら、漢字ドリルを時間を計って何枚もこなすイメージでしょうか。

「それレイカーズのメニューです!」

 レイカーズのメニューといっても、ほとんどが基本的なメニューでした。

例えば、今ではミニバスでも普通にやっている「2ボールドリブルドリル」。

20年以上も前は、〝同時にボールを2つ使ってドリブルする〟などの発想はなく、スーパーカンガルーズほとんどの選手ができなかったことを記憶しています。

それらのメニューも、やがて日本に伝わります。

以前、ある関西の強豪校の練習を見学させていただいていた時、コーチ・ドリューのクリニックと同じメニューをしているのに気付きました。

私はすぐ顧問の先生に「このメニュー、スーパーカンガルーズでもやっていましたよ。」と伝えました。

すると、その顧問の先生は、すぐさま生徒を集合させ、

「いいかっ!今のメニューはスーパーカンガルーズでもやっていたそうだ!我々はトップチームと同じメニューをしているんだぞ!日本のトップチームでも基本を大事にするんだ!なぁ、鈴木くん、そうだろ!」

と生徒に話し、私に同意を求めてきました。

私は軽くうなずき、「今、先生から基本は大事だというお話がありました。全くその通りです。」と前置きした後、

「このメニューは、アメリカ遠征でNBAロサンゼルスレイカーズのコーチから学んだメニューです。スーパーカンガルーズのメニューではなく、NBAロサンゼルスレイカーズがやっているメニューです。」

と言いました。

すると、顧問の先生はじめ、部員全員が「おおーっ!」と声を上げ、嬉々として練習に戻っていったのでした。

「田植えみたいやな(笑)」

 本題の「憧れの人に近づきたい!」に入りましょう。

私は「パクリ」が得意です。

なぜなら、単純に「良いと思ったもの」は取り入れたいと思うし、近づきたいと思っているからです。

今回のコーチ・ドリューの指導スタイルは、絶対にパクろうと思っていました。

彼は精力的に動き、常に声を出して選手を鼓舞します。

選手とともに練習を作り上げていく、というイメージでしょうか。

彼の所作、取り組む姿勢が本当にかっこよくて、「近づきたいなあ」と強く思いました。

さらに、ウェアーの着こなしもカッコいい!

プレゼントしたスーパーカンガルーズのTシャツを短パンにイン!鹿の様に細い足首に短いソックス!一際目を引く派手なシューズ!

タオルは細長く畳み、短パンにはさむアメリカンスタイルです。

これは後々、私が教員として生徒を指導する際、実際に真似していました。

ある年、勤務していた大阪市内の公立中学校が、幸運にも大阪府ベスト4まで勝ち上がることができたのです。

大阪府の決勝リーグは、公営の体育館で行われました。

全国大会につながる大会で、多くの方が観戦されています。

試合後、ある重鎮の先生から声をかけられました。

てっきり、試合の采配の指導かと思い、緊張していました。

その先生は、おもむろに「鈴木くんっ、その手ぬぐい、田植えみたいやな(笑)」とおっしゃり、周りも大爆笑!

私も、力が抜けました。

コーチ・ドリューは、その後、レブロン・ジェームスのいたクリーブランドでもアシスタントコーチを務め、NBAチャンピオンを獲得しました。

現在は、LAクリッパーズのアシスタントコーチを務めています。息子さんも、NBAプレーヤーでしたね。


今回はここまでです。ちょっと長かったと思いますが、最後までご拝読ありがとうございました。

#黒ヒョウと呼ばれた男 #ロサンゼルスレイカーズ #アメリカ遠征 #日本とアメリカの指導のちがい

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