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激動のシーズン 初めての日本一②

 私は「こだわりを持つことはプロとして当然」だと思います。
なぜなら、こだわりを貫き通す覚悟がそこにあるからです。
一段と若返ったスーパーカンガルーズ、激動のシーズン第二弾をお届けします。

シーズン開幕前に「もう辞めたい」

 いきなりの大乱闘でチーム練習の幕が開けました。
当時、日本リーグ開幕前に「全日本実業団選手権大会(通称JIC)」というトーナメントがありました。
まあ、新チームの状態を見るというか、お互いの仕上がり具合を探る大会です。
スーパーカンガルーズは、決勝まで進出し、S友金属に次ぐ2位で大会を終えました。
試合後、荷物をまとめていると、ルーキーH谷川選手が来てこう言いました。
「悔しいです。もうバスケ辞めたいです。
私はビックリです。リーグ開幕前の小手調べ、前哨戦ともいえる大会で、そこまで勝ちにこだわることができるとは
大会を軽んじていた私は反省しました。
それから大阪に帰阪し、彼と食事をして彼の気持ちを聞きました。
私は、「彼を迎え入れたからには、我々スタッフも相当覚悟を決めなければならないな」と思い、胸騒ぎが大きくなるのを感じました。

マネージャーはチームの〝不〟を取り除く

 マネージャーはこういう時、選手の話をとことん聞いてあげなければなりません。
選手が気持ちよく試合をするためには、全ての〝不〟を取り除かなくてはならないからです。
〝不〟すなわち、「不平」「不満」「不安」・・・。これらの〝不〟を取り除くことにより、「公平」「満足」「安心」を得てプレーすることができます。
しかも、ほとんどの〝不〟は、話を聞くことで、収まることが多いと感じています。
これは、スポーツだけではなく、会社の組織や人間関係でも言えることでは無いでしょうか。

日本リーグ波乱の幕開け

 このように、血気盛んなルーキーを配したスーパーカンガルーズでしたが、12月3日から始まった第28回日本リーグもまた、波乱の幕開けでした。
意気込んで乗り込んだ長岡での初戦でしたが、試合巧者・M井生命にいきなり敗れてしまったのです。しかも、61ー64とオフェンスが空回り。
チームにも不穏な空気が漂いました。
こういう時は、誰もが、「自分たちがやってきたことは正しいのか」と考え始めます。
しかし、若きスーパーカンガルーズは、この混迷を物ともせず、次の試合に向かって素早く気持ちを切り替えることができました。
この切り替えの速さこそが、このシーズンのチームのウリでもあり、窮地を救うカギとなりました。
その後、見事にチームは息を吹き返し、破竹の勢いで4連勝。
優勝候補のIすゞ自動車との戦いを迎えました。
この試合も壮絶な試合となりました。お互いにヒートアップしすぎて乱闘寸前、双方に退場選手が出たぐらいでした。
結果、スーパーカンガルーズの若さが露呈し、78ー83で敗れ、連勝はストップしました。
それでも、若きスーパーカンガルーズは下をむきませんでした。

次回に続く。

参考文献:「松下電器バスケットボール部50周年記念誌」

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