見出し画像

⑤ノストラダムスの大予言



ノストラダムスの大予言をご存知だろうか?
ノストラダムスの大予言とは、ざっくり説明すると、大昔のフランスの占い師(ノストラダムスさん)が、
"1999年の7月に空からアンゴルモア大王が降ってきて地球が滅亡するよ!"
と警鐘を鳴らした大予言のことである。
当時のテレビではどのチャンネルもこのノストラダムスの大予言の特集を組んで、連日連夜報道をしていたと思う。
嘘か本当かも分からないこの話を色々な根拠を出して、まるで現代の最新科学かのようにそれらしいデータを並べ、"本当"のことのように報道したのである。
それらは、1999年当時、小学校一年生だった僕にノストラダムスの大予言を信じ込ませるには充分過ぎた。

では、なぜこの話をするのだろうか。
何故なら、
ノストラダムスの大予言によって"人生を狂わされた"一人であるからだ。

端的に言おう、僕はグレた。
ノストラダムスの大予言によってグレた。
何故だ?どこにグレる要素があった?

順を追って説明しよう。



ノストラダムスの大予言=地球がなくなる

地球がなくなる=全員死ぬ

全員死ぬ=自分も死ぬ

自分も死ぬ=今やっていることが全て意味がなくなる

意味がなくなる=勉強する必要がない

→宿題やる必要がない+学校行く必要もない
Q.E.D

…ということである。
ということで、ノストラダムスの大予言を受け入れてからというもの、僕は学校でグレた。
家でグレると母親に大目玉を食らうので、学校でだけこっそりとグレた。

宿題なんてやらないし、授業中席に座ることがまずなかった。
休み時間にはこっそり学校を抜け出して近所の本屋さんに行ったり、保育園から一緒のニシダ君とやんちゃをしてまわり、クラスメイトの机に「バカ」、「う○ち」等の小学一年の頭で考えられる最大限の侮辱の言葉を捻り出し赤鉛筆で書いたりもした。(赤鉛筆は消えづらい)
そんなことを繰り返しているうちに小学一年生にして校長先生から呼び出しをくらったりもしたが、どうせ死ぬし!という考えが先行してたので不良を辞めることは無かった。

この非行の行く末についてだが…

忘れもしない、7月1日。
梅雨も明けて、強めの日差しがアスファルトを照り返す通学路を集団登校のため、高学年の子に手を引かれ歩いていた。
夏っぽい、背が高めの雲を見上げながら、「いよいよ来るんだな…」と空から降ってくるであろうアンゴルモア大王に思いを馳せていた。

学校に着いて下駄箱に靴をしまっている時も、
ふらふらと歩き回っている授業中も、
給食で ABCの形をしたパスタのようなものが入ったスープを飲んでいる時も、
そして下校中も思いを馳せていた。

そしてそのまま眠りにつき、明日こそは、明日こそは…そう思っているうちに夏休みに入り、そうして7月が終わった。

皆さんご存知の通り、ノストラダムスの大予言は起こらなかったのだ。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?