④剣道との出会い2


「〇〇少年剣士会へようこそ!」
当時の自分よりだいぶ年上だったと思われる女の子が優しく話しかけてくれた。
「小学校はどこ?」
「同じ小学校だね!何年生?」
「1年生なんだ!これからよろしくね!」
そんな問いかけがあった。
この頃から既にかなりの人見知りを顕現させていた岡本少年は、最小限の単語を照れと不安で詰まらせながら、不快にさせないような最大限の配慮をして返していたと思う。

ひとまずその日は見学ということでその日の稽古を道場の端っこで見させていただいた。


…何かがおかしい。
僕はそう思い始めていた。
好きな剣道を間近で見れたことはとても良いことだ。
が、しかし、
なぜやることになっているんだ?
いつやりたいと言ったのだ?
入会するしないの決定権を一切自分が所有してないことにモヤモヤを感じていた。

そもそも僕は運動会のかけっこも万年ビリで、運動もなるべくならしたくはないし、
家の隅っこで当時テレビで放送されていた"デジモン"のフィギュアを頭の中でセリフを再生して闘わせることに心血を注いでいたのだ。

道場にいた見知らぬ人たちに囲まれながら、
母親に
「剣道やりたいよね?」なんて聞かれた日には、
「はい、やりたいです。」としか返すことができず、
半ば強制的な形で岡本啓太の剣道生活が始まったのであった。


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