借金をしても親は責めなかった
おれは借金をした。
誰にも言いたくなかった。
バレたくなかった。
失敗をしたことを見られたくなかった。
でも嘘をつくことは下手だった。
親にもバレてしまった。
ビジネスに手を出し、空回りしていたあの頃、きっとおれはがむしゃらではあったけど余裕もなかったのだろう。
親を前に大声をあげて叫んで泣いた。
不安はとうに限界を超えていたのだ。
苦しかった。
助けて欲しかった。
話を聞いて欲しかった。
でも誰の責任でもなく、おれの責任だった。
でも親は何も言わなかった。
一言も責めることなく、黙って借金を返済してくれた。
自分の無力さを痛感した。
そしてその瞬間この人たちには一生敵わないのだろうと思った。
これを超える親におれはなれるのかと思った。
だからおれはただの人間で終わるわけにはいかない。
自分のできることを増やし、追求して、親に何十倍のものを返さなければならない。
そういう使命感に燃えている。
だから普通の人がやらないこともやらなくてはならないんだ。
クソな自分が少しでもマシになるために。
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