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【マザーグース】訳して歌ってみた【ハンプティ・ダンプティ】〜韻という名のフリとオチ〜

拙訳本文

マザーグース「ハンプティ・ダンプティ
訳詞:センチメンタル岡田

【1案】
ハンプティ ダンプティ すわる
ハンプティ ダンプティ おちる
おうさまの きへいた
にも もとに もどせな
(「にも」は「でも」も可?)

【2案】
ハンプティ ダンプティ へいのう
ハンプティ ダンプティ おっこち
おうさまの けらいす
もとには もどせない

※太字部分でライム(韻)を強調して、ライムを楽しみながら歌ってみよう。
※この拙訳は、黙読するためではなく、あくまでメロディに合わせて歌うための訳となっております。その関係で、言葉を削らざるを得ず、原文の意味内容のニュアンスが失われた箇所がある可能性がありますので、この後に、原曲のざっくりした直訳も掲載しております。

拙訳を実際に歌ってみた動画

企画のなりたち

個人的な今年の目標は、ブルースを勉強するなのですが、マザーグース(ナーサリーライム)を勉強するというのも、追加することにしました。

ブルースを理解するためには英語の理解が必要。
→英語の理解にはマザーグースが役に立つ。
→メロディとライム(韻)の引き出しも増えるし、英語圏の文化背景も学べるから、いいことがたくさんある。
→せっかくなら自分でも訳してみよう。

という経緯で、この企画をはじめました。

手始めに、自分にとってなじみのある、「ハンプティ・ダンプティ」を訳してみることにしました。

原曲の詩

Humpty Dumpty sat on a wall,
Humpty Dumpty had a great fall;
All the king's horses and all the king's men
Couldn't put Humpty together again.

筆者によるざっくり直訳

ハンプティ・ダンプティは、へいにすわりました。
ハンプティ・ダンプティは、ころがりおちました。
おうさまの、うまと、けらいを、みんなあつめても、
ハンプティを、もとどおりには、できません。

歌はこちら↓

原曲の解説

「この歌はキャッチーだし、聞いたことがあるけど、そもそもハンプティ・ダンプティって何なん?」と思っていたのですが、調べてみると、これはいわばなぞなぞ歌という感じのものらしく、

「ハンプティダンプティは塀から落ちて、二度と元には戻らない。これな〜んだ?」と、子どもに呼びかけるフリがあり、「答えは、「たまご」でした!」というオチがくる、というあそび歌のようです。

なので、不思議の国のアリスでのハンプティ・ダンプティは有名ですが、あれを先に知ると、なぞなぞの答えが「たまご」であるということが、ビジュアルで先にわかってしまうので、オチが先にきてしまうというか、答えを考える楽しみが半減するというか、そういう面もあるということ?(誰に聞いてるのか) 

韻という名の「フリとオチ」

また、これは私見ですが、ライム(韻)というもの自体が、短い間隔での「フリ」と「オチ」だと思っています。

たとえば、この曲の場合は、1行目で「wall」でフリをつくり、2行目の「fall」で、韻を踏んでオチにしている、ということです。次の行でもそれはつづき、それが連続して、ひとつの歌になっているという考え方です。

Humpty Dumpty sat on a wall, ←フリ
Humpty Dumpty had a great fall; ←オチ

All the king's horses and 
all the king's men ←フリ
Couldn't put Humpty together again. ←オチ


これは、例えば、トーベ・ヤンソンの漫画「ムーミン」が新聞連載されているとき、
新聞での短い話の一回一回でその都度オチをつけ、コミックスにまとめる際には、オチのある短い話が連なった大きな話そのものにもオチ(大オチ?全体オチ?)がついている、ということに似ていると思いました。

そして、なぞなぞというものも、一種の「フリとオチ」なので、「韻を踏んだ、なぞなぞ歌」ということは、フリとオチが二重にある!と思い、マザーグースって、ナーサリーライムって、面白いなー。と思ったのでした。

次回予告

次回は「ジャック・ホーナー」を、自分なりに訳してみます。

参考図書


・谷川俊太郎(訳) 渡辺茂(解説)『マザーグース 愛される唄70選』(講談社/1996)

・和田誠『オフ・オフ・マザーグース』(筑摩書房/1989)

・W・S・ベアリングールド/C・ベアリングールド(解説と注)/石川澄子(訳)『マザー・グース 3』
(東京図書/1982)

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