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【コラム】KOHHさんが、ライムで描く、水墨画。


日本語と英語の音数の違い

ラップをつくるときに、
もしくはライム(韻)をつくるときに、

日本語=母音5個、子音13個
英語=母音(約)15個、子音24個


という、音数の違いに直面する。(※)

音数を色数に例えると

これは、絵を描くことにたとえると、英語に比べて日本語は、使える色数が少ない、という感覚に似ている。

つまり、カラフルな絵をめざした場合には、日本語は、色数が少ない分、英語に比べて、制約があるのだ。

KOHHさんの、発想の転換

もちろん、制約の中で、限界までカラフルな絵を描こうとするのも一つの手だが、ラッパー、KOHHさんの楽曲「貧乏なんて気にしない」は、そんな日本語の色数のハンデ逆手にとって、あえて2色(【a】と【i】)しか使わないことで、美しい、水墨画のような世界を作り出した...のだと、私は、解釈している。

エミネムさんが、派手でカラフルな絵画なら、こっちは渋い水墨画だ!というような。

そして、この発想の転換は、歴史に残る発明だと確信している。

なぜなら、この発明が、日本語における、「1〜2文字で韻を踏むことの合理性」を証明したからだ。

他分野に広がるKOHHさんの発明

そして、KOHHさんのこの発明以降(彼に影響されてかはわからないが)、米津玄師さん、藤原聡さん、宇多田ヒカルさん、藤井風さん、そのほか多数のアーティストが、「1〜2文字韻」を、ラップに限らず、でも実践している。

(彼らがもしKOHHさんの楽曲の発表以前からこの手法を使っていたら、私のリサーチ不足です。すみません。)

私自身も、楽曲を作る際、大いに、この発明を使用させていただいている。感謝です!

すぐれたラッパーであることにとどまらず、ラップ以外の分野にもひろく影響を与える発明を成したKOHHさんは、文化功労者である。
惜しみない拍手を送り続けたい。

楽曲紹介


KOHH【貧乏なんて気にしない】official MV


KOHH【貧乏なんて気にしない】ライム・スキーム(韻の構成)


本文注

※資料によって数にバラつきはある。
たとえば、ある資料では「英語の母音は20個」とあったし、別の資料では「日本語の子音は16個」とあった。解釈にもよるのだろう。しかし、英語の音数が日本語のそれよりも多いのは間違いない。

参考資料


https://www.jcca.or.jp/kaishi/253/253_toku2.pdf

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