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1人で成し遂げるということについて

先日、とある内容についてツイートしたのですが、それが思ってたよりいろんな反応をいただいたので今日はそれに関して、ツイートでは伝えきれなかったことなども含めてもう少し詳しく記したいと思います。

まず、ツイート自体はこちらになります。

これは採用に関する話でして、面接などをしていく中でよく感じることについてぽろっと呟いただけです。そんな感じだったこともあって140字では詳細に文脈など伝えることは当然無理です。したがってまずはこのツイートの前提事項や文脈について整理します。

まず、僕の立場ですがアマゾン ウェブ サービス ジャパンという会社でソリューションアーキテクトという仕事をしてまして、プロトタイピングなんかを提供するチームのマネージャーです。

さらにアマゾンの採用は原則としてカルチャーフィットを重視していて採用における整理されたプロセスが存在します。また、採用するポジションの職種や内容は各チームのマネージャーに委ねられてます。

多くの場合、各チームのマネージャーがハイアリングマネージャーとなってどういうポジション、スキルセット、要求事項、面接などのインタビュープロセスを定義します。例えば僕のチームでは簡単なコーディング面接があるのですがそれは同じソリューションアーキテクトでも別チームのプロセスではやらないことのほうが多いはずです。

そして面接に人事の人間が入ることはありません。人事は候補者を探したり応募者との連絡、オファーに至った人への諸々を担当しています。

という感じになっていまして、前述のとおりカルチャーフィットをとても重視しているので仮に技術力が高くてもその人の行動や考え方が合わない場合は採用を見送ります。これに関してはいろんな意見があると思いますが、僕はポジティブでして賛同しています。入社するとか応募するとか考える前にこの話を聞いていてとてもいいと感銘を受けたくらいなので。

なんというか、ロックバンドとかと同じようなものだと思っていて、ギタリストを探す際にいくら超絶に上手くてもそれがメタル系なギタリストだとジャジーなバンドには合わないですよね?よくある音楽の方向性の違いというかそういうものに近いと捉えてます。もちろん稀に化学反応が起きる場合がありますがそれは奇跡に近いと思います。

この辺の文脈を共有しないままこのようなツイートをしたことで、いろんな意見をいただいたんですがそれに関してもう少し思うところとかですね、なかなか140文字では伝え切れないところもあるのでその辺を今回は記していきたいなと思います。

まず、1人でやらざるを得ないという環境に置かれてしまっていた場合ですね。これに関しては残念ながらどうしようもないと思います。環境というか運が悪かったとしか言えないですし、そういった自分にはどうしようもないことで左右された結果、経験不足と言ったこともよくある話とも言えます。

これに関しては正直諦めるしかない。もしくはその環境から抜け出す努力をすべきだと思っています。会社を変えることも含めて。ただ、こういう環境であってもその人がどう考えて振る舞ったかってのは人によって大分異なってきます。

それこそまさにその人のカルチャー的な部分でして、そういう部分を聞き出すためにも人を増やすことを働きかけたけどダメだったのか、それはなぜなのか、どうアプローチしたのかなんかを聞くことが多いですね。特にどう働きかけるかのところは感情的、定性的なものかどうかを見ています。

一方で、ツイートで言ったようなニュアンスで1人でやったエピソードを話してくれる方の多くは1人でやったことに満足かつ誇らしげで、どちらかというドヤるような感じで説明してくれる人が多い印象です。こういう方に対して組織として対応する、チームとして対応するといった考えはなかったのか質問すると、大抵他に人がいなかったとか周りのレベルが低かったからみたいな回答に終始してしまいそこでの努力をしていないケースがほとんどです。

つまり全体的なところが見れていない、視野が低いと感じてしまいます。そうしたことほうがいいことはわかってるけど、そのとき置かれた状況や全体を見たときにその時点では妥協したって方の場合はエピソードの組み立て自体がそもそもそういうドヤる感じににならないことが多いです。

1人でやる、やりきれること自体は能力があるってことなのでそれ自体はすごいことなんですがどうしてもスケールの点で見劣りしたりするんですよね。全てがとは言わないですがそういうケースが多いと感じています。

あとは、もちろん1人でなんでもできる優秀な人というのもいると思います。とある方のリプにもありましたがこういう人は資金が限られている中でいかに早く形にしていくか、みたいなところが問われるスタートアップでは重宝される人材かと思います。特に立ち上げフェーズですね。それに関しては異論ないです。

ただし、やっぱり1人の天才でできる範囲には限界があるとも思っています。どんなに優秀な人でも1人しかいないといつかスケールしなくなる。つまりビジネスのスケールについていけなくなる時が必ず来ると思っています。あとはそういう人材に頼るフェーズだとしても根本的な考え方とかそういったカルチャー的なところはやはり気になるところ。

特にビジネスが大きくなる、スケールするためには本人が望む望まない、意図している、していないにも関わらずその人を先頭としたフォロワーが必要だと思ってます。なのでそれすら成り立たないようなタイプだとやはりいくら優秀でも…と思ってしまうのは僕の度量の問題なのかもしれません。

最後に『チームで成し遂げるほうが大変』と書いたことについてもう少し言うと、チームで成し遂げるためには全体の方向性を明確に打ち出しつつ、それをみんなが理解しそれぞれの能力レベルや得意分野の違いを考慮しつつ前に進めていく必要があるんです。

人が違えば細かい部分での意見の違いなんてのは当たり前なのでそれをすり合わせつつ前に進めていく必要があるわけです。作るものが決まっていて、どう作ればいいかも決まっていて単にそのコードを書くだけ、ソルジャーのような人を集める分にはそうでもないかも知れないですが。とにもかくにもこの辺りがとても難しい。僕も普段から試行錯誤かつ悩み続けてます。

よく僕はチームのマネージャーをサッカーの監督と例えているのですが、まさにそれと同じでチームもサッカーのチームと似ていると考えています。チームの目指すサッカースタイルがあって、フォーメーションがあってそれに合わせて必要な異なるポジション、スキルセットのメンバーがいるわけです。

その上で、局面局面でサッカースタイルやチーム戦術と照らし合わせながら個々で判断していく。1人が圧倒的に足元の技術があってもドリブルで抜ける人数やキープできる時間には限界があるのと同じと思ってます。もちろん、年代が低かったり、レベルの低いリーグなどにいれば1人飛び抜けた選手がいれば勝てるかもしれませんが、リーグのレベルが上がるにつれて難しくなって行きますよね?それと同じだと考えてます。ズバ抜けた司令塔がいても周りの選手、特性を活かすようなパスを出せなければ繋がらないように。

何が言いたいかというと1人でやるより、チームでやるほうが圧倒的に難しいといったのはこういうところです。自分だけが出来てもチームの勝利には結びつきにくいからですね。

ここで述べた話はもちろん会社の状況、事業のフェーズだったり予算だったりで思ったようにいかないことがあるのは重々承知しています。でも、少なからず僕は今の会社、チームで採用する人として冒頭のツイートのような方は優秀だとしてもチームの一員として迎えるには難しいなあと思う次第です。

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