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NOISE FROM HERE

「NOISE FROM HERE」
自分はこの「FROM HERE」という言葉が好きだ。ここから、今置かれているこの場所から、何らかのアクションを起こすというそういう意味だ。
例えば、FACTの1stインディーズアルバムの1曲目「Start from here」は、まさしく「ここから俺達FACTの音楽を鳴らす」という響きが込められている。
また、Northern19の「FROM HERE TO EVERYWHERE」というアルバムもあり、これもまた名盤だ。

今回はこちらのLIVE。
Hakubi LIVE STREAM 2020 NOISE FROM HERE #2
2020.09.12. FROM O-EAST

バイトでリアルタイムでは見れず、深夜1時から部屋の電気を消し、PCをテレビに繋げて見始める。

片桐さんの語りから始まる。

先の見えない真っ暗な道を歩いている気がする。向かうべき場所を見つけ、進んでいく誰かの姿をただ眺めている。私はどこへ向かえばいい。誰を信じたらいい。どうして生きている。大人になれば分かると人は言うけれど、本当に分かる日は来るのだろうか。


そこから始まったのは「17」
この曲は片桐さんが17歳の時に一番最初に作った曲だ。まだバンドを始めておらず、弾き語り時代に作曲したものだ。ドラムのマツイさんがこの曲を聴いて、片桐さんをバンドに誘った曲でもあり、まさにHakubiのルーツだ。
そんな曲を一番最初に持ってきたことに並々ならない覚悟を感じた。

次は結 epから「ハジマリ」
結 epの中では一番最初に公開された曲であり、テレビでも流れていた。(忙しくて見れてはいない。)
前回のNOISE FROM HEREでも演奏していた曲だ。いきなりサビがトップスピードで入っていく疾走感ががたまらない。

間髪入れずに「夢の続き」
自分がHakubiを知ったきっかけの曲。あんまりLIVEで聞けることは少ないけれど、聞けたらめちゃくちゃ嬉しい。
軽音部の同期が去年の学祭で「夢の続き」やってくれた時は、自分以外にもHakubiを知ってくれてる人がいるんだと思って胸が熱くなった。
イントロの「ワン、ツー!」をライブハウスで言える日が待ち遠しい。

チューニング中にマツイさんのドラムが響く。そして「薄藍」のイントロのギターが入る。この繋ぎ個人的にけっこう好き。
間奏のマツイさんのコーラスが美しい。今回この場面の照明が神秘的で、完璧に見惚れた。最後のアウトロのギター思いっ切り歪ませててカッコ良かった。

ここで新曲の「Friday」
今までのHakubiには無かったポップさを感じる。メンバーが「新しいHakubiの世界観を楽しんで」と言っていたが、まさしくこの曲は新しいHakubiを象徴していると思う。LIVE Ver.のハミングがめちゃくちゃ綺麗でビックリした。ミラーボールも回っていて、幻想的な演出だった。メンバーのやりたいことやってるなぁ〜〜と感じた。

片桐さんの語りが入る。

いつの間にか大人になっていた。目の前には途切れたレール。私は一体どうしたらいい。どこへ向かえばいい。いつも誰かに合わせて頷いていた。笑ってごまかしていた。嫌われないように必死に取り繕った自分が本当の自分を覆ってしまって、気づいた時には一人。進めない私だけが取り残されていた。行く宛のない感情が頭の中を埋め尽くす。強くなりたかった。

始まったのは「大人になって気づいたこと」
リクルートの企画で書き下ろした曲だ。就活の曲と聞くと「頑張れ!」という曲が多いイメージがあるが、Hakubiのこの曲はそうではなく、聴き手に寄り添っていて、決して一人じゃないと思わせてくれる。歌詞は今の自分に非常にリンクしていて共感する。
22歳になった今、大人になって気づいたことはネガティブなことばかりで、周りの人には全然言えない。そんなことをHakubiは歌詞で代弁してくれているような気がする。この曲で初めて挑戦したストリングスは、終盤の盛り上がりを彩っていて、早くライブハウスで聞きたいという気持ちになる。

次は「光芒」
自分がclimbgrowの企画で初めてHakubiを見た時の1曲目だった。今でも曲が始まった時の高揚感を覚えている。
「生きてゆけ」
このシンプルな言葉が響く。自分らしく生きていけば、いつかは報われることを信じていきたい。

ここで片桐さんのMC

コロナの自粛中、配信LIVEをやって、弾き語りをやって、一人で音楽を作ったり、色んな人の配信を見たり、色んなことで音楽を自分自身と繋ぎ止めていました。でもなかなかそう上手くはいかなくて、すごい自分は焦っていました。このまま音楽できなくなっちゃうんじゃないかと思っていました。その焦りが自分を苛立たせて、メンバーに八つ当たりをした事もありました。でもこうやって一丸となってCDを作って、『CDできたんだおめでとう!』と言ってくれる人がいて、支えてくれる人達がいて、配信LIVEをさせてくれるライブハウスがあって、一緒にやってくれる人がいて、見てくれる人がいて、CDが出来て、この手に渡って、他の人に渡って、繋いで、すごい素晴らしい事だと思いました。自分はこの日のために、この曲のために音楽をやってきた、そんなことを思ってしまうこともありました。音楽をやっていて、良かった、ここに生まれて良かった、生まれてきて良かった、みんなと出会えて良かった、そう思える明日を、明日を、探している。

この時点で涙が溢れる。

「それでも生きていたいと思うから」

「Mirror」だ。この入りで完全にやられた。

こんな自分でも良かったと思えるような日を探している。こうやって配信LIVEで音楽を鳴らして、自分の居場所を確かめる、今この場所で。

そう叫んで、マツイさんのドラムがカチッと鳴り、3人の演奏姿に画面が切り替わった時には鳥肌が立った。最高にカッコいい瞬間だった。

ずっと私は弾き語りをやってきたんだ。高校生から。それで良いと思ってたよ。一人のほうが楽だと思ってた。一人のほうが幸せだと思ってた。誰かを傷つける事もない。誰かに傷つけられる事もない。一人の世界ってすごく楽だと思ってた。でもさ、もっともっと広い世界が、楽しい世界が、新しい世界が、ここが自分にはあった。そう思う。

涙が止まらない。

聞こえていますか。ここから私達の声が聞こえていますか。この姿が見えていますか。弱い者でも一歩踏み出そう。一緒に。大丈夫。

この言葉を聞いて「あっ自分はHakubiを信じてきて良かった。救われた。」と確信した。心に突き刺さった。号泣。今までの「mirror」の中で間違いなく一番カッコ良かった。

2019年最後のHakubiのLIVEをO-Crestへ見に行った時、「私達はこの曲で2019年救われてきた!今年最後の曲!mirror!」と叫んで演奏していた姿を思い出す。Hakubiにとっても「mirror」は特別な曲なんだろうと思った。

この勢いのまま、「辿る」
とんでもないセトリだ。畳み掛けてくる。
ラスサビ前の片桐さんの静かな歌声から照明が徐々に明るくなっていく。そこには、今まで顔を隠してきた片桐さんの顔が照らされていた。大きな大きな覚悟を感じた。

そしてラスト。

最後は『22』という曲をやらせてもらいます。この曲には大切な思いが詰まっていて、すごく自分にとって大事な曲です。音楽を始めた5年前の自分と何も変わらない子どものままの自分ですが、こうやって仲間と出会って、助けてくれる支えてくれる人に出会って、成長できて一歩一歩進んでいるなと日々感じております。これからも私達Hakubiをどうかどうか見逃さないで、しっかりと見て、背中を見せられるように私達は突っ走って行くのでこれからもどうかよろしくお願いします。本当に今日はありがとうございました。助けてくださった、支えてくださった皆さん本当にありがとうございました。

最初に「17」を演奏し、最後に「22」を演奏した意味が少し分かった気がした。高校時代一人で作ったHakubiのルーツでもある「17」。そこからHakubiとしての曲をマツイさん、アルさんと3人で演奏し、現在地である「22」へと繋がっていく。
インタビューでも「自分のことだけを歌っていたはずなのに、知らぬ間に複数形になってた。」と言っていた。最初は一人だった片桐さんが今はHakubiとして3人でバンドをやっている。

「17」の前の語りでは
「どこへ向かえばいい。誰を信じたらいい。どうして生きている。」
と後ろ向きな片桐さんだった。

でも「22」が終わった後の語りでは

生きていく意味、元々は何だ。今もまだ分からないままでいる。それでも確かに、この足で踏みしめて、今日を明日を生きていく。


と、明日を生きる強い決意が垣間見えた。
片桐さんがマツイさんとアルさんとバンドを続けてきた中で起きた心境の変化なんだと思う。

ちょうど今22歳の自分にはこの曲の歌詞が物凄く突き刺さる。MVで片桐さんが顔を出した瞬間は、震えた。自分も、一歩踏み出そうと思えた。

アンコールは無かった。むしろ「17」から「22」という流れで完結していてそれが良かった。

「22」には「17」の歌詞が数多くリンクしている。
「17」では
「あなたがつけてくれたあたしのこの名前のように いつか胸をはって生きていけるかな?」
と迷いが見えた。

「22」では
「真っ直ぐ正しく生きれるように
どんな困難も超えて行けるように
あなたがつけたこの名前を強く握りしめて」
と強い意志が見える。片桐さんの下の名前は知らないけれど。

「mirror」でも親御さんのことを歌っている。こんな風に親に感謝しながら生きるって本当に尊敬する。自分は実家から遠く離れた一人暮らしで、たまにしか両親と連絡も取らない。いつか片桐さんのように、親に感謝できたら良いなと思う。そして、両親が自分につけてくれたこの名前に誇りを持って生きて生きたいなとも思った。

またライブハウスでHakubiを見て拳を突き上げたい。早くそんな日が来ますように。

Hakubi
2020年09月12日@渋谷O-EAST
Hakubi LIVE STREAM 2020 NOISE FROM HERE #2

01. 17
02. ハジマリ
03. 夢の続き
04. 薄藍
05. Friday
06. 大人になって気づいたこと
07. 光芒
08. mirror
09. 辿る
10. 22

Spotifyに今回のセットリストを作成しました。


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