「答え合わせ」(坂本研太朗105代トレーナー長)
こんにちは。4年トレーナーの坂本研太朗です。
四年間を振り返っていたらだいぶ読み応えのある長さになってしまいましたが、こういう機会ももうないと思うのでそのまま出そうと思います。
"トレーナー"になるまで
入学当初はサークルに入りましたが、目指すもののない毎日に違和感を覚え、1ヶ月程で全部辞めました。
その後櫛野経由で競走部の見学をさせてもらい、トレーナーの活動を見る中で、それまでプロしかできないと思っていたトレーナーという役割に学生が挑戦し、選手から信頼を得ている姿を滅茶苦茶かっこよく感じ、自分もそんな凄いトレーナーになりたいと強く思い、入部を決めました。
半年ほどの修行期間を経てトレーナーとしてデビューしたときは本当に緊張しましたが、自分の能力を活かして選手の役に立つことができたときの喜びはとても大きく、今までやったどのスポーツよりも楽しかったです。
加えて、自分にとってはトレーナーの先輩たちの存在もとても大きかったです。
入部当時は2つ上の代に4人、3つ上の代に1人の先輩がいたのですが、一人ひとり長所や特性が違って、かつトレーナーとしてのマインドだったり関カレへの思いだったりを話す時間を大切にしてくれたので、ずっと具体的な理想像をもって活動することが出来ました。今でも本当に感謝しています。
なので、自分のいちトレーナーとしてのモチベーションは、「選手にどれだけ貢献できるか」というところから、「その上でどれだけ自分の理想に近づけるか」というところに段々とシフトしていきました。
以前集合で細井が紹介してくれた、「選手が練習や試合を当たり前にやるように、サポートも自分のやるべきことを当たり前にやっている」というのは、自分の場合はこの考えが前提にあって、選手の役に立てることも勿論めちゃくちゃ楽しいし大事なことなのですが、それと同じくらい、選手の予想を超えたサポートをどれだけ出来るか、のために色々なことをやるのが楽しかったです。
そんなわけで個人としてはとても楽しく活動させてもらってたのですが、1個上の代にトレーナーがいなかったため、2年生にして早くもトレーナー内の最上級生になることとなりました。
また、皆で話し合った結果、トレーナー長もやることになりました。
不羈
既にだいぶ長いですね、すいません笑
トレーナー長になったはいいものの、リーダー経験なんて中学のクラス委員とコンサートマスターくらいしかなかった僕は、"長"と名のつく人間として何をすれば良いのか、何を目指すべきなのか、なんも分かんなかったので自分なりに色々と調べ、考えました。
その時に辿り着いた結論がこの言葉です。本来の意味は以下の通りで、
だそうですが、自分にとってはそこから転じて競走部が大学陸上の中で持ちうるアイデンティティみたいな位置づけで考えてました。
例えば試験で80点を取ることを目標に勉強しても80点に届くことは少ないように、関カレを始めとした公式戦で勝つには、ただ勝つことを目標にするのではなく、最終的には勝ち続けることや勝ち方に拘ることを目標にする必要がある。
チームを勝利に導くために何をするかを考えるのが上に立つ人間の役目なら、それを踏まえて目標を立てなければと思い、勝ち続けてるチームの条件ってなんだろう?と考えました。
答は人それぞれだと思いますが、自分にとってそれは「アイデンティティやストーリーがあること」でした。それをベースに戦うことで人が集まり、勝ち続けることが出来るようになっていく。慶應競走部もそうなったら良いなと思い、競走部の、自分自身で考え抜いて陸上をしている選手やそれができる環境(=不羈)というアイデンティティを磨くために、PAとか選手一人ひとりとのコミュニケーションとか、そういう事を土台から底上げできるようにトレーナー長を頑張ろうと思いました。
勿論自分の代だけでそれができるようになるとは思ってませんでしたが、先輩たちがそうしてくれたように、自分も何か1つでも後世に残せるものが出来たら良いなと思いました。
心残り
そうして2年生にしてトレーナー長としての活動が始まりました。
キリがないので詳細は省きますが、色々と頑張ったことはある一方で、思い返すと至らないことばかりだったなと思います。
PAのシステムを変えたは良いけどめっちゃ詰め込みになってしまったり、周りに勝手に期待しすぎて1人でイライラしたり、関カレの直前でトレーナーとしての方針を転換したり。
自分ではなんとかなってるつもりだったけどめちゃくちゃ不器用で、それに気づくのすら時間がかかってしまいました。
特に去年からの1年間は、本当に力不足だったと思います。約10年間続いたトレーナーの体制が変化を迎えることとなり、それに従って色々なことが起きました。
やることも向くべき方向も考えればシンプルな筈なのに、自分がやってきたことに対する、体制の変化という結果を受け止められず、迷いや罪悪感といったネガティブな感情に支配され、「勝ち続けられるチームを作りたい」という目標が聞いて呆れるような低空飛行が続きました。
幸い、試合の結果は嬉しいものが続き、そこに対する喜びはありましたが、一方で、トレーナーチームが何を変え、そして何を変えずに活動していくかを迷いながら歩んできたこの1年間は、個人としての進歩はあれど、パート長としては心残りの多い1年間になってしまいました。
今までの間に、僕は果たしてどれくらい選手やトレーナーの皆が求める存在であることが出来たのでしょうか。
答え合わせ
以前、トレーナーの先輩の一人が、関カレが終われば、その瞬間から次の関カレは始まっていて、その1年間で課題と向き合った時間が翌年の結果として表れる、答え合わせのようなものだと言っていました。
その時はその意味を漠然としか理解していませんでしたが、最近は関カレに限らず、全てのことが4年間をかけた答え合わせだったように感じます。
自分達が勝つためにやったことは正しかったのか。
立てた目標は達成できたといえるのか。
選手の要求に応えられるトレーナーであれたのか。
チームの結果に対してサポートは貢献できたのか。
後輩が必要とする先輩であることが出来たのか。
自分が託されたものを次に託すことは出来たのか。
自分がこの部活にいた意義はあったのか。 etc
非常に難しいし、非常に重い問いですね笑
先程の問いも然りですが、書きながら考えてみても、答えは自分でも分からないし、そもそも自分が今決められるような問いではない気もします。
それでも、1つだけ答えられる問いがありました。
入部してよかったか?トレーナーをやってよかったか?
これには自信を持ってYESと答えられる気がします。
この4年間、自分の予想もつかないような楽しい瞬間、苦しい瞬間がありました。そのたびに周りに支えられ、成長することが出来ました。
選手を支え、後輩の活動を助けるのが自分の仕事であるはずなのに、選手の諦めない姿に、不甲斐ない自分にも付いてきてくれる後輩たちに、自分が一番支えられていました。誰にも言えないような孤独な感情を共有できる仲間が、こんな自分を認めてくれた仲間がいました。
全てが貴重な時間で、この代でなければ、この部活に入っていなければ、トレーナーをやっていなければ味わえなかったと思います。4年間で一番の正解はこの部活に入って、トレーナーをやったことだったかもしれません。
今も一緒に部活をしている人、今は別の道を歩んでる人、一緒の目的に向かって頑張った人、ぶつかった人、この部活で関わった全ての人たちに、心から感謝しています。本当にありがとうございました。
このチームと、チームにいる皆の想いが報われることを心から願っています。
おまけ
偉そうに言うことではないですが、最後の1年間は99.999999999999%くらいがきついことだった気がします。
引退間際だから言えるけど、やることなすこと全て裏目に出て、それを受け止めきれない自分の姿を周りに見せないようにしながらも、実は気づいて欲しくてたまらなくて勝手にイライラしたりもしていました。
伊藤さんがいなくなったり後輩がいなくなったりと色んなことが立て続けに起き、それに心が追いつかなくて、自分が駄目なやつであることの答え合わせをさせられているように感じることもあったけど、理想だけを支えに、無様なまま、不器用なままここまで来ました。結果、自分の理想が全て叶ったわけではなかったけれど、一番欲しかった答は得ることができました。
だから、今諦めそうになっている人がいたら、どうかもう少し続けてみてほしいなと思います。自分は1人ではなかったと、やってきたことは無意味ではなかったと思える日がきっと来ます。思ってることちゃんと伝えられたか不安だけど、何かの励みになったら嬉しいです。応援してます。
おわり
おまけ2
最初に公開する時には間に合わなかったけど、この場を借りて皆への感謝を綴っていこうと思います。
まきちゃん
まずは今まで本当にお疲れ様。
君は僕が持ってないものをたくさん持っていて、とても助けられたし、とても羨ましかった。
先輩がいなくなる前の関カレで、これから2人で頑張ろうみたいな話をして、そこから想像以上に色んなものが降りかかってきたけど、自分と同じくらいの熱量を持った同期がトレーナーにいたこと、そしてその信頼が一度も揺らがなかったことは本当に幸運だったと思う。ありがとう。
さわちゃん
今まで一緒に活動してくれてありがとね。君は最高の後輩です。
これからの最上級生としての時間を楽しんでほしいと思いつつ、僕らが色んな宿題を残してしまった気がして申し訳ないなと思います。
トレーナー長になったことを呪う日が来るかもしれないけど、というか既に呪ってる気もするけど、君が頑張ってるのはきっと皆わかってるから背負い込み過ぎず頑張ってほしいなと思います。
とは言っても君は気遣いのレベル高すぎて孤独になることもあると思うからいつでも頼ってね。
りこちゃん
君とは色々あったなあ。笑
君は熱い想いや理想がありつつもそれを上手く表現できなくてもやもやしてるかもしれないけど、君が思うより周りの人はそれをわかってるし、君が思うより周りの人は君を支えてくれてます。
だから何を言うかを心配するんじゃなく、何をするかに責任をもって頑張ってね。ラスト一年、期待してるよ。
吉野
正直最初は何考えてるのかわからない時があったけど、今はめちゃくちゃ熱い男なんだなと思います。まだ気づいてない人は甘い。
夏の1on1で全カレについて話した時、関カレの悔しさは次の関カレまで待てない。ここで晴らしたい。って話してくれた時は自分達がいなくなってもこれだけ熱い後輩がいたら大丈夫だなって思えて凄い嬉しかったよ。
君の、自分がサポートする人のために全力を捧げられるところはきっと色々な人を助けるから、その輪をもっと広げられるようにこれからも頑張ってね。
涼方
見学来てくれた時は絶対入んないだろうと思ってたけど、実は見学の前からトレーナーやるつもりだったと最近聞いてびっくりしたよ。君は飄々としてるけどちゃんとやるべきことをわかってて淡々とこなせる優秀なトレーナーだと思う。なんでもOKしすぎてキツくならないか少し不安だけど、吉野や他の皆と協力していいチームを作ってね、応援してる。
松尾
きみも熱い男だよね。今まで先輩として見苦しいところしか見せられてない気がするし、学年で1人にさせてしまうしで心残りがたくさんあるけど、きみが今の熱い松尾直樹のまま色んなものに打ち勝って成長していくのをとても楽しみにしてます。がんばれ。
ヘスちゃん
この部活に来てくれてありがとう。もっと一緒に活動したかったからそれがあまり叶えられず残念だけど、優秀で謙虚な君だからこそできることがたくさんあると思います。トレーナーは楽しいよ、頑張ってね。
りりちゃん
間に合わなくて君のブログの後出しで書いてます。ごめん。自分が思ってたこととりりちゃんが書いてくれたことが一緒過ぎてここで何書けば良いか分からないけど、君の存在に力を貰う中で自分も少しでもそうあれたら良いなと思ってたので、読んでてめちゃくちゃ嬉しかった。ありがとう。
もっとチームやパートを良くしたいって思うからこそ生まれる悩みとか喜びを共有できる人がいたのは本当に幸せでした。君がいたから頑張れた。
本当にありがとう。
あっちゃん
毎日一緒に活動してるって感じでもなかったけど、だからこそ話す度にいつも自分やトレーナーに欠けている視点があって面白かったし、何より純粋に能力高過ぎて凄いなぁと思います。笑
トレーナーがマネージャーみたいに全体と長距離で分かれてないことであっちゃん始め長距離の皆には不便なことがあったかもしれないけど、いつもそれをカバーする為に色々な面で協力してくれて本当に頼もしかった。ありがとう。
岩浅
ブロック長をやってくれてありがとう。
皆の為に主務系になってくれて、皆の為にブロック長になってくれたのに、色々とわがままを言ってしまってごめんね。ただでさえ仕事だらけで練習時間とか削られてる上にブロック長をやるのはきつかったと思うけど、それでも1年間続けてくれたことで、今までよりもサポートが一つのチームになってるように感じられて楽しかった。本当にありがとう。
田村
田村は単に優しかったり面白かったりするだけではなく、考え方がとても柔軟で、一緒にサポートをするようになってから凄い刺激を受けて、自分の一つ一つの行動を考え直すきっかけになりました。トレーナーの体制を変える時も、色んな意見がある中で出来る限り要望を聞こうとしてくれてありがとう。最強の主務と一緒に活動できてよかった。
ケンティー
サポートじゃないけど勝手に感謝させて欲しい。
今年の夏に一度、自分がやっていることを全て投げ出そうかと思ったことがあったけど、関カレで辛い思いをしてからも主将として前を向いているケンティーを見て、何とか頑張ろうと思えました。サポートとしてケンティーにしてあげられたことが少なすぎるのが心残りだけど、ケンティーが主将で本当によかった。ありがとう。
お世話になった方達へ
伊藤さん
競走部に学生トレーナーという制度を作っていただき、また、3年間に渡り指導していただき、本当に本当にありがとうございました。
いつも一番厳しい環境で戦っている伊藤さんの一言に、時に背筋を正され、時に救われ、4年間歩むことができました。
大江さん
1年間ではありましたが、大変お世話になりました。伊藤さんがいなくなるという失望の中で活動していた僕達は、大江さんからすれば大変なアウェイで、失礼なこともたくさんあったと思いますが、それでもブレずにチームのためのサポートを続けて下さったこと、学生トレーナーに向き合って下さったことに本当に感謝しています。ありがとうございました。
藤村さん
ヘッドトレーナーでもOBOGさんでも学生でもないけれど、藤村さんには4年間お世話になりました。藤村さんだからこそ、お話しできたこと、お聞きできたこと、学べたことがたくさんありました。これからもカフェインの過剰摂取に気をつけて頑張ってください。
トレーナーの先輩方へ
まとめてしまいすみません。選手との関わり方を教えてくれた金子さん、とにかく仕事が早くてサポートとしての覚悟をいつも行動で示してくれた坪田さん、コミュ力高すぎて真似できなかった原さん、何があろうとやるべきことを淡々とやることを教えてくれた夏子さん、常に相談に乗って下さった坂本さんや岩間さんを始め、皆さんの驚くべき熱量や後輩への温かい支援があったからこそ、こんな欠点の多い自分でも4年間続けることができました。皆さんの存在がこの部活における自分の原点であり、今自分が後輩にあげられるものは、全て皆さんからいただいたものです。本当にありがとうございました。
このほかにも感謝を伝えたい人だらけなんですが、とても書ききれそうにない上、既に長すぎるのでこの辺りで一旦筆を置こうと思います。
また気が変わってメッセージ追加したり、勢い余って直接感謝を伝えに行くかもしれないですが、温かく見守っていただけますと幸いです。
では。
おわり
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