短長こそ主役
どうも、M1の伊藤拓朗です。ブログが久しぶりに復活したということで個人的には嬉しかったですね。皆さんのブログ楽しく読ませてもらってます。それぞれの文章にその人の人となりが伺えて面白いです。
私事ですが、一昨日学会にて発表してきました。会場は日吉キャンパス来往舎。坂練の時に左手に見えるあのガラス張りの建物です。実はそこは僕が競走部に入部した年、新入部員歓迎会が行われた場所だったんです。先輩やOBOGを前に、緊張しながら競走部での抱負を話していたなと少々思い出に耽っていました。
さて、本題に移っていきますが、今回は院生だからこそ発信できることを書こうかなと思います。テーマは関東インカレ(昔話)でいきます。昔を知る者としてできることは、昔の話を後輩のみんなに伝承していくことだと思っているので。僕ら104代は関東インカレに関して、酸いも甘いも知る代なのかなと自負しています。1年生では2部降格、2年生では奇跡の1部昇格、3、4年生ではコロナ禍での無観客開催、そして5年目は新国立競技場で開催の関東インカレ。なんか色々あったなって走馬灯のように思い出しますね。今回は、このブログを読んでいる多くの方が直接経験をしていない2部降格と奇跡の1部昇格について書きます。その中でもマイルに焦点を絞った話をしていきます。僕の文章から少しでも何かを感じ取ってもらえれば幸いです。それではいきましょう。
第97回関東インカレ(2018)
僕が大学1年生の時です。当時大谷さんは諸事情により2回目の2年生でした。大谷さんの覚醒前夜?となる年です。
新入部員である僕の立場からは、入部して早々目の前に控えている関東インカレが部として大事な大会なんだなくらいにしか思っていませんでした。同時に4年生がやけにピリついているなと日々の練習で感じていました。事前の戦略分析で、慶應は1部に残留できるかどうかギリギリのところだったそうで、その危機感からくるものだったのだと振り返ります。
いざ、関東インカレが始まるとチーム慶應は苦戦を強いられました。大会3日目の時点で慶應の得点は8点のみ。その日の最終種目、迎えた男子マイルの予選です。↓がその時のレース動画です。
結果は慶應は組6着で予選敗退。タイムは3'09"10でした。仮にもう一組で走っていれば、2着になれたタイムだっただけに非常に悔しさが残るレースとなりました。
この日のレース後、今でも忘れられない光景があります。
帰路に着こうと競技場を出た時、短長の先輩方を目にしました。1走を走った前山さんが座り込んでおり、それを付き添いの先輩達が囲んでいました。よく見ると前山さんも周りの先輩達も皆、泣いている。当時の自分にはかけられる言葉が何も思い浮かばず、「お疲れ様です」と挨拶だけしてその場を後にしました。
あの光景を前にして、自分が悔しいと感じていても先輩達の気持ちに同情するのは失礼だなと感じました。本気で悔しがるってこういうことなのかと。競走部の先輩方が関東インカレに対してどれだけ熱い気持ちで臨んでいるかを初めて実感した日になりました。
迎えた関東インカレ最終日、ついに慶應の2部降格が決定。大会後の集合の雰囲気は文字通りお通夜状態。集合が終わった後も悔しさの余り、その場から動けない先輩達が多くいました。もう二度とあんな景色は見たくないです。
この時の短長の集合にて、前山さん(短長ブログのプロフィール画像の方)の言葉が印象に残っているので紹介します。
当時の短長ブロックは、2年生以上のPB更新率が50%を超えていました。5月の時点で既にトレ室にある記録表が真っ赤に染まっていたんです。さらに新入部員には、47秒台の3人を筆頭に実力者が揃っており、短長は最も勢いに乗っているブロックだったと思います。それでも関東インカレでは勝てなかった。慶應は2部に落ちた。残酷なまでに現実を突きつけられました。
第98回関東インカレ(2019)
僕が大学2年生の時です。当時はやなぎも同じ2年生でした。いつから彼は時空が歪んでしまったのでしょうか。
この年の関東インカレを振り返る時、奇跡の一部昇格とよく言われます。何が「奇跡」だったのか。当時の状況を整理します。
最終種目であるマイル決勝を前にして、1部昇格の可能性を残しているのは流通経済大、東京学芸大、そして慶應の3校で、全校ともマイル決勝に残っていました。その時点での総合成績は以下となっていました。
流経大:93
東学大:90
慶大:85.5
流通経済大の1部昇格はほぼ確定。残り1枠を東京学芸大と慶應が争うことになりました。1部に昇格するためには、少なくとも東京学芸大より5つ上の順位でなければいけません。つまり、
慶應が1位かつ東京学芸大が6位以下
慶應が2位かつ東京学芸大が7位以下
慶應が3位かつ東京学芸大が8位
のいずれかのシナリオでなければ慶應は1部に昇格できません。東京学芸大はマイルの優勝候補だったため、上記のシナリオのようになることはあまり想像できませんでした。チームの中でも流石に厳しいんじゃないかと感じていた人は多かったと思います。僕もその一人でした。
これらを踏まえて、↓の動画を見てみてください。なぜ「奇跡」なのか?その答えがあります。
結果として慶應は3位で東京学芸大は8位となりました。総合得点の最終結果はこちら↓です。
流経大:95
慶大:91.5
東学大:91
絶望的な状況から0.5点差での1部昇格を勝ち取りました。1部昇格が決まった時の応援席は歓喜に包まれました。近くの人と抱き合って喜んでいたり、感極まって泣いて喜んでいたり、様々な光景がありました。あの時見た景色、あの時感じた興奮は今でも忘れられません。
今大会ではマイル以外にも様々なドラマがありましたがここでは割愛します。最後に、マイル決勝を走った4人について少しだけ書かせてください。
まず、1走のやなぎ。彼は1日目と2日目で400mを3本走って消耗し切っており、マイルは決勝のみ走ることになっていました。マイル決勝では会心の走りをして見事に流れを作りました。やなぎ、かっこよかったぜ。俺は欲張りだから今年もやなぎのかっこいい姿が見たい。多分君も今年がラストイヤーだと思うから頑張ろうな。
次に、2走のてんき(僕の同期)。彼は決勝レースの250m地点で肉離れをしていました。しかし、執念で走り切ってバトンを繋いでいます。なんとラップタイムは48"5くらいだった気がします。最後の150mを肉ったまま走ってこのタイムは意味分からん。
そして、3走の宮澤さん。医学部で元々三四会に所属していましたが、前年の秋から入部した方です。宮澤さんはとてもタフで練習や試合で垂れた姿を見たことがないほど強かったんです。関東インカレではマイル専用という立場で予選、準決、決勝と3本走り切るという大役を果たしました。宮澤さんの凄さをもっと皆さんに伝えたい。
そしてそして、アンカー大谷さん。最強になった大谷さん。400m3本、200m3本を走ってからのこのマイルでの走りです。大谷さんが競走部のレジェンドたる所以です。
他にも書きたいことはたくさんありますがこの辺で。この時の1部昇格があったからこそ、慶應は今年も1部で戦うことができていると思っています。
短長の後輩達へ
皆さん、ここまで読んでいてお気づきでしょうか?ゆうまの言葉を借りるなら
関東インカレで活躍する短長ブロック、かっこよくないっすか?
そうです。めっちゃかっこよかったんです。
今年のスローガンは「強者であれ」ですけど、慶應が強いためには、マイルが強いことが不可欠だなと思うんです。もちろん短長バイアスはあります。でも、インカレの最終種目は決まってマイルの決勝だし、そこに残っていることこそが陸上が強い学校である象徴なのかなって思います。だからこそ、関東インカレのマイルで決勝に残ってほしい。
ここまでで僕が伝えたいことって正直なくて、ただただ昔の関東インカレでのマイルの話を書いただけです。だけど、一つだけ短長の後輩達にメッセージを送るなら
自分がマイルを走るんだという断固たる決意を持ってほしい
ということです。短長メンバー全員のマイルに対する思いが強くなったら、マイルも強くなると思うんです。これって精神論ですね。でもほんとにそう思ってます。
最後に
長くなってしまいましたがもう最後です。冬季練も佳境に差し掛かり、関東インカレまで2ヶ月を切りました。関東インカレ標準切りの締切日までは1ヶ月ほどです。多くの人は、明後日から始まる春季OPに出場すると思います。ついに、シーズンインです。シーズンインを控えた今、皆さんはどんな心境ですか?各々で色々思うところはあるでしょうけど、もうやるしかありません。冬季練での成果、心に秘めている気持ち、その全部を試合にぶつけましょう。マジで頑張ろうね。みんなで「結果」出そうね。
次回はみんなお待ち兼ね、アメリカ帰りのけんくん(呼んだことない)です。その前座は以上になります。
それでは。
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