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ルポ:英国選手がキャンパスにやってきた。

こんにちは、2年広報部のもりわきです。
今回は、KEIO 2020 projectのメンバーとして自分が経験した、去年夏の出来事を記事にしようと思います。

オリンピックを慶應生として迎える偶然

早速ですが皆さんは、東京五輪の開催がいつ決まったかご存知でしょうか。「おもてなし」がブームになったあの頃です。そう考えると最近のことのように思えるかもしれませんが、実は招致に成功したのは2013年です。意外と昔だと思った人も多いかもしれません。ちなみに私は現在大学2年生のため、中学生の時に東京五輪の開催が決定したことになります。

とはいえ私は高校卒業までを四国で過ごしたため、2020年に東京五輪があると言われても遠く離れた東京の話、と当時はそれほど興味を持っていませんでした。関東育ちの同級生は当時テレビを見てワクワクしていたそうなので、やはり自分とは無関係と捉えていたことが当時の無関心に繋がっていたのかもしれません。
しかし紆余曲折を経ていつの間にか上京することになった私は気付きます。あんなに遠く感じていた東京五輪はすぐ来年に迫ったものであり、それを自分は東京の学生として迎えることになると。

オリンピック・パラリンピックを学生として迎える偶然は、普通は一生に一度もない経験です。それだけで特別なことなのに、まして自らが学ぶキャンパスに選手団が来るなんて…!大学に入学して、英国選手団による事前キャンプやKEIO 2020 projectについて知った私はすぐに入会を決めます。

2020 projectの一員として活動することで、オリンピック・パラリンピックを慶應生として迎える偶然は、もっと特別なものになるという確信に近いものがありました。

英国選手、今年も来るらしい


いざ入会し、一年後には選手団がこのキャンパスに来るのかとワクワクしていると、そこで私は驚きの事実を知ります。なんと今年の夏には「プレ事前キャンプ」があるらしいのです。早速、選手団の方々が日吉キャンパスに来るらしいのです。
6月に2020 projectに入った私にとって、来月にはもう選手団が来るというのは驚きでしかありません。というか恐怖です。団体の活動目標は英国選手団の事前キャンプをサポートすること。入会時にそれは聞いていました。でも「サポート」ってそもそも何だろう。2年生になった今でも分からない問いに当時の自分が答えられるはずがありません。来月選手団が来たとしても、自分にできるサポートなんて何もないのでは。新入生ながらにそんなことを考えていましたが、とりあえずやってみないと何も分かりません。

せっかくの機会を逃さず、選手団に会いに行くことにしました。

金メダリストが目の前に


そんなこんなで先輩の陰に隠れて選手団の練習風景を見に行くことに。幸いにも(?)私が行く水泳のプレ事前キャンプでは、実際のサポートを行うというよりも今回は練習を見学し選手団の方々に学生から挨拶に行くという側面が強いようです。

そして、いざキャンパス地下の水泳プールに向かうと、そこには本物の英国オリンピック選手が…!

いたのですが、、
爆音のEDMをスピーカーから流しながら、ゆったりゆったり泳いでいます。

練習風景をのぞいていると、世界競泳で見るような俊敏な動きではなく、軽――いエクササイズのようです。選手の本気が見えるかもと内心考えてたため少し残念でしたが、彼らがプールサイドに上がるとめちゃめちゃビビりました。

筋肉がすごいのです。本当にすごいのです。
兄がパワーリフティングの選手だったため筋肉を見る機会はよくあったのですが、レベルが違います。こんなムキムキ筋肉で水に浮くのかと思うほどムキムキです。素直に惚れました。今回のキャンプにはリオ五輪の金メダリスト選手らも来ており、目の前で彼らが悠々と練習しています。いくらお金を払っても近づけない距離に選手がいる特別さを感じたと同時に、昔はあれほど遠く感じていた東京五輪が今はもう身近にあることを感じさせられました。

(参考までに。実際に日吉キャンパスに来たAdam Peaty選手です)


彼らがプールサイドに上がってしばらくすると、私たちメンバーに、選手団の方が話しかけてくれました。聞くと、水泳部門のコーチだそう。少し緊張している私たちとも気さくに話してくれます。私は絶望的な語学力と知識量から全くと言っていいほど話すことができませんでしたが、先輩方は打ち解けて話しています。正直、横から見ていて先輩方の様子はめちゃめちゃかっこいいです。かろうじて聞き取れた部分部分では、2020 projectの活動や来年の事前キャンプについて話し、また来年の事前キャンプを楽しみにして、またキャンパスに来ることを約束していました。

その後、私たちが帰ろうとすると、なんとそのコーチが練習を終えた選手を呼び留めてくれました。選手とも少しだけ話す機会を与えてくれたのです。時間の関係上選手と長く話すことができたわけではありませんでしたが、実際に選手と交流できた経験はとても貴重なものとなりました。

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(左からFreya Anderson選手、Holly Hibbott選手、Adam Peaty選手)

プレ事前キャンプを終えて

いざプレ事前キャンプの見学を終えて感じたことがあります。
それは、2020 projectのメンバーとして自分はもっと競技や選手について学び、またサポートの経験が必要だということです。
見学中、来年いざ選手団の方々がキャンパスに来たとして、自分にはどんなサポートができるのだろうと考えていました。選手団の方々がキャンパスに来て困りそうなことは何だろうか。選手のために自分達学生に何ができるのだろうか。そもそも選手が学生の手を必要とするだろうか・・・。そのようなことを考えているうちに、ある言葉を思い出しました。

それは、2020 projectが来年のサポートの際に重要だと考えている3つの精神です。
そのひとつ目が”Home from Home”
私たちのキャンパスは英国選手団の事前キャンプ地として、選手が選手村に移動する前の最終調整地となります。そこで、その場が選手団の方々にとってアウェーとしてではなくホームであるような環境にする手助けが重要であることを示しています。
ふたつ目が、“Everyday is a first day”
実際に選手団の方々と接する中で、常に初日の緊張感を持ってサポートを行うことが必要だと団体として考えています。そこでアスリートファーストの精神を持ち、毎日高い質でアスリートをサポートすることが求められます。
そして最後が、“Never fully prepared”
来年の事前キャンプに向け、2020 projectは様々な企画や活動から事前準備を行っています。その準備にゴールを設けず、選手団が来るその日まで事前準備を続けることが必要とされます。

これら3つの精神の下で実際に選手をサポートすることが事前キャンプでは求められます。プレ事前キャンプを終えた今、特に最後の“Never fully prepared”の精神は私にとって重要と考えるようになりました。
例えば、一口に「水泳」と言っても、競技にはよく耳にする競泳の他、飛び込みやアーティスティックスイミングなど多々あります。更に、パラリンピック競技も含めるとその競技数や選手の数は大変多いものです。そこでもっと選手や競技について学ぶことはまず必要となります。
また、実際のサポートには主に英語が用いられます。今回の経験で自身の語学力の現状を再認識した今、語学の上達もまたサポートの骨子となり得ると気づきます。
そして、たとえ選手や競技への知識を持ち十分な語学力があったとしても、実際のサポートを行う上でのノウハウを持っていないと、満足のいくサポートが行えるとは思えません。“Home from Home”を実現するうえでも、ボランティアや誰かをサポートする経験は欠かせないものです。最良のサポートのために何が必要かについて考えると、選手団の方々がキャンパスに来る日まで、私たち学生がすべきことはまさに “Never fully prepared”の精神を持って活動を行うことだと考えるようになりました。

最後に


残念ながら、感染症の流行によって2020年の東京五輪は延期となり、プレ事前キャンプから一年が経った今年、イギリス選手団の方々が日吉キャンパスに来ることは叶いませんでした。また、本来であれば学生として選手を迎えることのできた4年生の先輩は、延期によって実際のサポートに携わることはできません。来年本当に東京五輪が開催されるのかどうかも依然として不透明なままです。
しかし、オリンピック・パラリンピックを慶應生として迎える偶然は、KEIO 2020 projectのメンバーだからこそできた特別な経験へときっと変えられると信じています。
東京五輪の開催が決まった2013年には考えてもいなかった環境に今の自分はいます。
そんな偶然を楽しみつつ、これからも活動していきたいと思います!


森脇聡哉(法学部政治学科2年、広報部)

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