キャリアのターニングポイントについて
今回はリスクマネジメントとはやや異なりますが、4/1のグローバル保険プログラムの更新業務がだいぶ落ち着きましたので、自身のキャリアパスにおけるターニングポイントだと思った事について纏めておきたいと思います。
私は大卒後、2000年4月に東京海上火災保険にてビジネスキャリアをスタートしました。初任地の神戸支店では貨物保険営業担当という役割ではありましたが、新人ですので当時発売された第三分野や、法人向け生保、企業の団体扱い自動車保険など、あらゆる種目を広く浅く学びました。先日、当時の上司、同僚と再会の機会がありましたが、今思い出すと恥ずかしい事ばかりですね。でも、こうして今でも繋がりを持って頂けることはとてもありがたい事です。
2003年7月から、東京の大手自動車メーカーの賠責と貨物保険営業担当部署へ異動しました。今思えば、この経験が大きなターニングポイントでした。当時は円安で自動車メーカーは北米市場が絶好調。客先経営者より、潤沢なキャッシュを背景に無保険化の検討指示が出され、お客様の保険担当の皆様と共に、保険付保の意義、無保険化の手法について、時間の限られる中何度も議論を深めました。この時に、企業が保険付保を行う意味は何か、そして社内専門家としてのリスクマネージャーの必要性を強く意識しました。
保険プログラムを見直した北米市場において、大きな自然災害イベントが多発しました。気候変動の自然災害に対する影響が疑われる中、これまでのように過去の事故実績をベースとしたアンダーライティング(バックミラーレーティングとも呼ばれます)は通用しないと強く感じ、自ら異動希望を出して当時は世界最速であったスーパーコンピュータ地球シミュレーターの計算した将来シナリオから、自然災害リスクの影響を検出する研究業務を担いました。保険会社で主力の統計モデルと、気象予報などに用いられる物理モデルの違い、結果解釈の手法などを学びました。
その後、米国東京海上、チューリッヒ保険に転職後日本で財物保険の引受審査、ポートフォリオ管理の業務に従事して、アンダーライティング業務を学びました。アンダーライターはガイドラインでどんな事を気にしなければならないのか、KPIは何か、引受ラインサイズとポートフォリオ全体への影響、ソルベンシーマージンの計算など、保険会社の引受業務を経験しました。
ご縁があり、現在の勤務先である製造業が保険プログラム高度化のためにリスクマネージャーを募集している事を聞き、これまでの経験を生かして日本企業の課題解決に最も貢献できる分野だと思い2017年4月に入社しました。金融から製造業へ畑違いの転職ではありましたが、昔に思った通り、日本企業において専門職としての保険リスクマネージャーの役割は大きいと感じました。主にグローバル保険プログラムの管理運営が職務ですが、多くの企業被保険者に保険リスクマネージャーのポストが広がり、本邦企業の国際競争力が高まる事にも繋がると確信し、2019年から企業の保険リスクマネジメントについて情報発信を行っています。
まだまだ途上ではありますが、被保険者団体PARIMAの活動も継続的に行なっており、日本企業にも少しずつ専任保険リスクマネージャーが増えてきました。いつの日か、日本企業にも保険リスクマネージャーのポストが当たり前となるよう引き続き活動を続けていきたいと思います。
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