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人災と自然災害について

オールリスク型の保険プログラムは約款上のトリガーを満たせば(被保険者立証責)、免責条項に該当しない限り(保険者立証責)カバーを得られる被保険者有利な約款ですが、そのカバーしているペリルは主として人災と自然災害に大別できます。

人災はその名の通り、人が事故発生の原因あるいは要因の一部なっているものです。分かりやすい事例で言えば、火の不始末に伴って火災を発生させたケース、修理作業に不備があり製品事故を発生させたケースなどです。つまり、振り返ってみれば発生自体を防ぐ事の出来た事故、対策を講ずる事のできる事故とも言えます。

自然災害は、その事故発生について被保険者のコントロールが効かないものです。多くの自然災害、地震や台風、洪水など場所に依存しているものが多く、その発生場所や頻度は過去の統計や科学的知見により、ある程度見通せるようになっており、被害を軽減する対策を講ずることはできますが、発生自体を防ぐことはできない事故といえます。

保険会社からみれば、人災は各被保険者の特有事象として、個別契約のアンダーライティングへの反映度合いが高まります。事故の多い被保険者は保険料が上がったり、保険条件が狭まったり、保険会社から引受を拒絶されることもあります。

自然災害は不可抗力であり、かつ集積事故となるため、ポートフォリオアンダーライティングへの反映度合いが高まります。よって事故があろうが、なかろうが、ポートフォリオ全体として保険料や引受条件、あるいはポートフォリオの引受可能キャパシティに反映されます。

事故の対策にも違いがあります。人災は人が起こすものですから、火災報知器やスプリンクラーといった設備投資といったハード対策もありますが、従業員教育や習慣などソフト面での依存度が高くなります。自然災害は逆に耐震補強、拠点の移転などハード面の対策がメインとなります。

会社組織における対策推進の観点で考えると、人災はある程度現場主導のボトムアップでの対策がメインになるのに対して、自然災害については対策推進のために投資を要する事も多く、経営レベルによるトップダウンが求められる事になります。

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