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リスクセンサーとしての保険プログラムの機能

経営者の目となり耳となるコーポレート部門は、内部統制の要として社内で起きている事をタイムリーかつ的確に把握して対処し、また経営者の目指すべき方向へ進むようなガイドライン、施策を立案、実行していかねばなりません。一方で現場事業部門は設定された様々なKPI達成のために知恵を絞り、日々活動を行なっています。

リスク管理という機能は内部統制上は一種のブレーキ機能であり、事業部門がKPI達成のために暴走する事を抑制するようなモニタリング機構と見ることが出来ます。よって、自然とリスク管理部門と現場事業部門の間には「より多くの情報を集めて統制したい」vs 「余り情報は出さずに自分の裁量で進めたい」というコンフリクトが生じる事になります。

社内の健全なコンフリクトは違う視点からの議論を深め、より全社にとって望ましい事業活動を促進する効果をもたらす事もありますが、逆のパターンですと、事業部門は必要最低限の情報提供に留まり、リスク管理部門も得られた情報のみで判断し、本来期待される経営の目となり耳となる機能を十分に発揮できない状態に陥ってしまう場合があります。

リスク管理部門が運営する保険プログラムは、リスク発現時の経済的なヘッジ機能として、自然とリスク情報を集めることの出来るリスクセンサー機能を発揮できる場合があります。事業部門にとって重要なKPIである収益という観点で、プロテクションの役割を果たす事から、新規事業などにおいて保険適用に問題がないか、免責事項は何かなどを確認するというプロセスで自動的にリスクに関する情報が集まりますし、リスクを最も認識している部分は何処か?という事も明らかになります。

保険プログラム運営においては保険料のコストアロケーションという部分で事業部門とコンフリクトを生じる事はありますが、それ以外においては事業部門を金銭的に支援する立場となる為、他のコーポレート部門に比べると現場との距離感が近く、センサーとしての機能を発揮しやすい部門だと考える事が出来ると思います。

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