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損保協会「リスクマネジメントと損害保険」リリース

先般の損害保険諸問題に関わる有識者会議においても、損害保険を考える前に、リスクマネジメントプロセス(リスクの特定→評価→対応→残余リスクに対するファイナンス意思決定)が重要である点を繰り返し強調しました。損害保険の認知度が高いからか、被保険者の中にはリスク=保険とすぐに考える方も多い中で、むしろ保険ヘッジはプロセスの中では最後のワンピースである事を改めて考えて頂く機会となったと思います。

こうした答申を受けて日本損害保険協会より「リスクマネジメントと損害保険」という小冊子がリリースされました。

上記のような保険の位置付け、損害保険がワークするための仕組みである大数の法則、再保険などについてわかりやすく説明されています。特に企業保険に携わられる方々には保険会社、仲介者、被保険者問わず、今一度ご一読される事をお勧めします。

特に忙しい企業経営者の方々は、損害保険の事など日々考えておらず、保険料=安ければ良い、という考えの方も多いと思います。一方で、企業経営者は「リスクを取って利益を出す」事が求められており、リスクマネジメントはその根幹を成すものです。経営者の直面する多くのリスク(ビジネスリスク等)は保険ヘッジできないものの方が多く、自己資本で保有せざるを得ませんが、損害保険は皆に共通する類似のリスクについて保険会社の外部資本に転嫁出来る事を理解頂ければ、保険リスクマネジメントが経営課題である事もご理解頂けるのではと思います。

企業保険に関しては有識者会議以降も、一部代理店における損害保険会社出向者の不祥事が報じられております。当然ながら不適切な行為は是正されねばなりませんが、ある意味ではこれも契約者の無関心、任せっぱなしによる損害保険業界の歪んだ競争によって作り出されたものとも言えます。保険契約者としても、主体的にリスクマネジメントを実践し、損害保険の活用が出来るようになれば、こうした問題の発生原因を少なく出来るように思います。

また末筆となりますが、6月末に「保険リスクマネージャーの視点と実務」をリリース致しました。おかげさまで発売直後は好評を頂き、在庫切れとなっていたようですが、現在は在庫があるようです。企業保険実務に携わる方はこちらもお読み頂ければ幸いです。

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