大企業の組織変革と保険プログラム
あけましておめでとうございます。2019年1月からnoteを書き始めてから早四年です。被保険者視点での保険リスクマネジメントに関する気付きや学びについて、引き続き発信を続けていきたいと思います。
多くの大企業は組織が大きくなり、様々なビジネス領域、国内外のマーケットの特性に合わせ、その意思決定を早め、権限と責任を明確化するために組織を細分化、分社化を行ってグループ全体の経営効率化、スピードアップを図ろうとしています。
これに伴いグループ本社は事業体としてのプロフィットセンターから、グループ全体に対する共通のコーポレートサービスを提供するシェアドサービス機能に近付いていく事になります。分かりやすい事例で言えば、連結経営を行う企業は決算のために経理財務部門は本社と事業会社が連携する事になります。
これによって、グループ本社の経営者は全体の経営状態を把握し、次の経営戦略を立案して実行する事になります。つまりグループ経営において、責任や権限の委譲も重要ですが、グループ本社がいかに現場第一線の情報を網羅的に、タイムリーに収集する事が経営者の合理的かつ迅速な意思決定を促す事に繋がるはずです。
リスクマネジメントの観点で考えても、グループ全体方針を考え、アクションに繋げていくためにはグループ全体のリスクマネジメントに関するタイムリーかつ網羅的な情報収集が欠かせません。特にM&A等のグループ再編が活発な昨今では単なるグループ本社からの指示や各事業体の自主性に委ねる事で網羅的に情報を得る事は難しいと思います。
この点で、グループ保険プログラムは貢献が出来ると考えています。これまでのnoteでも書いているとおり、金銭的なインセンティブによるグループ全体のリスクセンサーとして「保険事故」をトリガーとした情報収集が自動的に行われる事になります。情報の蓄積によりグループ本社はリスクマネジメント上の打ち手を、よりプロアクティブに行う事が出来るようになると思います。
保険プログラムの統合と実施には、各事業体との調整や保険会社、仲介者のセンターコントローラーとしてのリスクマネージャーも重要となりますが、他のコーポレート機能に比べると現場に専門家もおらず、グループ全体の横串を通しやすい業務であるとも言えると思います。つまり、大企業の組織変革やコーポレート機能の高度化という切り口で、保険リスクマネジメントを足掛かりとする事でその後の変革が進みやすくなるという側面もあるのではないかなと思う次第です。
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