And The Marathon Continues... ブラック・サミーが語る、ニプシーの人生、ステープルセンターでお葬式が行われた理由
数日前に公開された、LAのレジェンドでラジオ司会者、ビッグ・ボーイがニプシーのお兄ちゃん、ブラック・サミーに、ニプシーの人生について訊いたインタビュー。
5年前に行われたニプシーのお葬式について、今まで明かされていなかった衝撃の裏事情。
なぜ、地元の教会がニプシーの葬式を拒んだのか。
ニプシーもサミーも刑務所に入った過去があるし、ニプシーが地元のクリップスに従事していた時もあった。しかし地元に還元した功績も大きかったはずだ。
しかし、おかげでわたしもLAの巨大なイベント会場、ステープルズセンター(現Crypto.com Arena)にニプシーのお葬式(告別式)に出掛けることができたし、多くのファンが彼に直接お別れを告げることができた。サミーの真摯な言葉、ビッグ・ボーイの暖かさが非常に心に残ったので、お葬式に触れた一部について、急いで訳してみました。ニプシーの想いが届きますように。
ビッグ・ボーイ「なぜ、ステープルズセンターで葬式をするという形で、世界中の人たちと(ニプシーとのお別れを)共有したかったんだい?」
ブラック・サム「正直、神とハッスルの行いだよ。
葬式をちゃんとした形でやりたかったから、地元の黒人教会、黒人説教師に声をかけたんだけど、端から断られて、会場が見つからず困っていた。
するとカレン・シヴィル(音楽業界の重役、デジタルメディア・マーケティング戦略家)が手を差し伸べてくれて、結局ステープルズセンターを押さえることができた。レブロン、ライブネーション、ロックネーションが資金を用意してくれた。1週間以上電話をかけまくっても会場が見つからなかったのに、ブロのためにステープルズセンターを押さえることができた。その時点で、ブロに相応しいやり方でやらなくちゃならないと思ったんだ。計画を立てようとしたら、人々が助けてくれて、実現することができた。間違いなく家族は感謝しているよ。
(ニプシーを乗せた車で)シティを運転して、ブロにとってシティがいかに重要だったか、シティにとっていかにブロが重要だったかをよく知っていたから、LA中を回ろう、すべてのフッドを車で回ろうと決めたんだ。ものすごい反対されたよ。「やめとけ、警察はエスコートしてくれないぜ。あらゆる地元でいろんな人たちと問題が起こるぞ」ってね。俺は、「クソったれが、サツのエスコートなんていらねぇ。俺たちはLAのすべての地元に立ち寄るぜ。(悪いことは)何も起こりやしない。見てろよ。人々は外に出て(ニップに)敬礼(挨拶)するから」
ビッグ・ボーイ「だから俺たちは敬礼したよ。その真っただ中で、君はゆっくり時が流れていると感じた?」
ブラック・サム「人生で一番辛い時期だった。家族のことも考えるとね。でも最後までやり通すしかなかった。ブロをちゃんと天国に送り出さなくちゃならない。未だにブロがいっちまったなんて信じられないよ。あの時は辛かった。
人々にいつも伝えることがあるんだ。俺は人生でドラッグをやったことは1度もないし、やろうと思ったこともない。いつもドラッグをやる叔父を見てきたし、いつも酒を飲む祖父の姿を見てきた。だから自分は絶対やりたくなかった。俺は(クサを)吸わない。アンチなんだ。でもあの時は人生で初めて、ドラッグをやろうと考えたよ。どうにも手に終えなかった。まったく対処しようがなかったんだ。やらなかったけどね。でも、初めてやろうと考えたよ。だから仲間たちはドラッグをやるんだ、と理解できた。ブロは生き返るわけがない。絶望ってこういうことだよ。あの時はそう感じてた」
ビッグ・ボーイ「祝福であると同時に呪いだと感じるかい? どのみち君は毎日考えているだろうけど、(ニプシーの)壁画を見たり、ビデオや写真を見たり、ラジオで曲がかかったり、マラソンの服を着ている人を見ない日は1日たりともないだろう? どう対処しているんだい?」
ブラック・サム「壁画でブロを見たり、人が着ているシャツでブロを見るのは嬉しいよ。彼のゴールは人々にインスピレーションを与えることだったから。それが証拠なんだ…(感極まって言葉に詰まる)それがブロがやりたかったことの証しなんだ。俺はよく彼に『カネを手に入れようぜ』って言ってたんだけど、『ブロ、もっと大事なことがあるぜ』って言われてね。ブロが目的のために生きたんだってことを思い出させてくれる。だからいいことなんだ。
辛いのは、人々が俺と写真を撮ろうとすることだ。決して容易いことじゃない。でも、なぜ撮りたいかは理解できる。ブロに愛情を示してくれているんだ。でも俺はあの瞬間を思い出してしまうんだよ。決して慣れることはできない」
ビッグ・ボーイ「ニップは『(The) Marathon Continues』(マラソンは続く、人生はマラソン)だと言っていたけど、それは今日でも有効だと感じるかい? ビジネスの拡大や所有権、家族や子供たちの面倒を見ること。サム、なぜ君にとって『Marathon Continues』は重要だと思う?」
ブラック・サム「他の人が『Marathon Continues』と言うのを聞くときは、感謝しているし、嬉しいよ。でも俺は、『Marathon Continues』とは、どうしても言えないんだ。ブロはもうこの世にいないんだから。ブロがいなくなった今となっては、すべては変わってしまった。
でもあなたが言ったように、彼が始めたことを続けること、彼が達成したかったことを続けることは、俺たちの任務だと思う。彼について正確に描いたドキュメンタリー映画を出すこと。あきらかに、彼の子供たち、俺にとっての甥っ子と姪っ子が、父親がどんな人物であったか、何を成し遂げたか、彼の努力の成果を十分理解できるようにね。彼らが必要なものはすべて手に入れられるように。だから彼らの父親が作り上げたもの、始めたものを、彼らに伝えていかなければならない」
ビッグ・ボーイ「今でもニップの声が聞こえるかい?」
ブラック・サム「いつだって聞こえるよ。間違いない」
「君もマラソンショップに来るべきだよ」
2011年にインタビューした時に、ニプシーがそう言ってくれた。あなたが生きていたらと、ことあるごとに思う。
明日は、Crenshawのフディを着て会社に行こう。
先日出掛けた「The Pop Out」にて。
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