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2019.3.28 山梨県立吉田高校放送部-取材01

2019.3.28 生活介護「紙ひこうき」にて山梨県立吉田高校放送部のみなさんの取材を受ける。障害者の主張大会での浩太朗の想いに共感した放送部員から約1年前に密着取材を依頼され、それが叶った。(指談)

小林浩太朗)
僕はどうすればいいんですか?僕が話をしていいんですか?インタビューをどうぞ始めてください。すごい人数だ、、皆さんいつもこんなにたくさんの人たちで活動をしているんですか? 全員で12人、じゃあ今日はそれでも少ないんですか? そうですか。はいすみません、僕から質問してしまいました。どうぞおっしゃってください。

放送部員)
1:自分の思いを伝える方法がなかった時はどのような思いがありましたか?

浩)僕がこの方法に出会う前は、僕は言いたいことがあっても何も言えずにいました。心の中で叫んでいても誰も気づいてくれませんでした。でもこの方法に出会ったことで僕の気持ちを聞いてもらえるようになったので、もう前の事はあまり振り返らないようにしています。でも僕はいつも心の中でたくさん言いたいことがあるんだと言っていました。表情で伝えたりすることもしましたが、母には伝わっても他の人には伝わらなかったり、母に対してももっと細かなことを言いたいなと思っても伝わらずとても辛い気持ちはもちろんありました。

2:初めて伝える方法を知ったとき伝わった時はどんな思いでしたか?

浩)初めてこの方法で自分の気持ちを伝えられるようになったのは国学院大学の柴田先生に会ったときに自分の気持ちをすらすらとたくさん伝えることができたのです。その時はもう自分がまるで喋っているような気持ちになって、自分の声が先生を通して出ているような錯覚を起こすくらい自分の気持ちがすぐに伝えられてとても興奮しました。初めてのことだったのでとにかく体が震える位自分でもどうしたらいいかわからないくらい衝撃を受けたのを覚えています。

3:自分の思いが指談などでうまく伝わらない時はどう感じますか。またその時はどうしますか?

浩)今のことですよね。
今はたとえば母には簡単な文字、簡単というか短い言葉や短い文などは伝えられています。から、生活の中の事はそれで充分です。でもこんなふうにたくさんのことを伝える時には、やはりこういう指でしかも早く伝えられる時に、とても自分の言いたいこと考えている事を伝えています。この方法だと、ほぼその時に考えた事は全部伝わりますし、間違いそうになったら言い直したり手を止めたりすると聞き取ってもらえるので、この方法なら特に伝わらないという事はありません。伝わるのですが、この方法をできる人はまだ多くはないので、そういう意味で伝わらないという事はあります。

4:自分が障害を持っていることについてはどう思っていますか?

浩)僕は生まれつきでは無いのですが、自分の記憶の中では自分が体のことを自覚したときに、つまり小さかった時ですが、自分で自分の体のことを自覚できたときには、もう今と同じように自由に動かすことができるところがとても限られていたので、このことに特に不自由だとかいやだとか感じたりはあまりしないのです。周りの人から見ると、とても大変そうだねとか辛いだろうねとか言われるのですが、僕は自分がほぼ最初からこういう形で生活をしてきているのでいやだとか変だとか言われたとしても、僕はもうこうやって生きているということが自分の中でもとても明確なことなので、そのことには何か感じるという事は今はないです。

5:次に筆談と指談の話を聞きたいと思います。指談と筆談と絵を描き始めた理由を教えてください?

浩)うーん、何、からかな?

母)最初は絵だったよね。

浩)絵は僕が学生の時からとても好きで描きたいなと思っていたのですが、高等部のころから手伝っていただいて自分の描きたいものを描くことができるようになり、今も手伝ってもらって絵を描いています。卒業後指談と出会い、その中で筆談が少しだけかけるようになって筆談でゆっくりと文字を書くようになりました。袈裟江先生という方がずっと僕の絵を描く活動と筆談をしてくれています。

6:絵を通して誰に何を伝えたいですか?

浩)僕の絵は、あまり実際に見たものというよりは、僕の心の中にあるイメージや知識として知っていることを合わせてまた僕の中でそのイメージを膨らませてというものが多いです。だからそのイメージが浮かんだときに、自分の心の中で一緒にいろいろな言葉が浮かんできています。家族に伝えるようなこともあるし広くいろいろな人たちに伝えることもあるし、僕の友達や仲間に伝えたいこともあります。その時その時でいろいろな方に向けて絵を描き、そしてメッセージを添えたり詩を一緒に書いたりしています。

今まで絵とは別で詩が飾られているのをお見かけしたんですけれども、先日おうちに伺った際に絵に浩太朗さんの言葉が書かれている絵を見せていただいて、あの手法に変えようと思った何か心境の変化とかきっかけはありますか?

浩)いつも同じ形ではないんです。詩だけ書く事はあまりないけれども、絵を描き終えてから詩を書くこともありますし、詩だけ書いていることは少なくて絵を書いたときの気持ちを詩やメッセージとして残すことが多くて、それがたまたま絵の中に詩を書きこむ時と、絵は絵で詩は詩で書く時とがあるということで特に途中から変えたというようなことではなかったんです。
気分ですね。詩だけ描きたい時もあるし絵の中に詩を書いた方が僕の気持ちというか僕の絵が変わってくるというか絵に力がつくというかそういうときには詩を絵の中に書き込んだりもしているということで、ずっとこの方法かと言われると多分違うと思います。

絵を描く内容はどこから着想を得ていますか?

浩)さっきも少し話したように、絵を描くときには、僕のイメージと新たに何か感じたこと もともとのイメージと、新たに感じたことなどから、こういう気持ちが起きてきたなぁというところで、こんな絵を描きこんな言葉を添えようと言うふうにしていて、何かを見ながら描くということではないので、本当に僕の心の中で湧き出たものが絵として現れていると思います。

創作活動や指筆談は体力を使うなど大変なことも多いと思いますがそれでもやりたいと思う原動力はなんですか?

原動力か、、
原動力と言うふうに考えた事は無いですが、何か強い怒りとかそういうものからではなくて、本当に自分が思ったこと感じたことを皆さんはすぐにその場で言葉で伝えることができると思うのですが、僕はその場では言えないことが多いのでそれをためておいて絵や詩や文にしているということで、皆さんが話をするというようなことに僕にとっては近い、絵を描くことが僕にとっては自分の気持ちを外に伝えるということなので、何か大きな原動力があるとか世の中にこう伝えなきゃというよりは本当に自分の気持ちをそのまま描いていて言葉も添えているという感じです。

取材02につづく。

小林浩太朗「目に見えるものだけが本当ではないよ」
(山梨県立吉田高校放送部制作)


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