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全部セッション、肝はチューニング

褒められたい、好かれたい、認められたい、といった気持ちはもちろん誰もが抱いているとは思うけれど、そういったことを目的や動機にして仕事をしたり人と関わってしまうと、どこかで歯車が狂ってしまうのではないかと思っている。
そんな自分、一体何を目的や動機にして仕事をしたり人と関わっているのだろうかと自問してみたら、結局は「いいセッションがしたい」ということなんだな、と最近思い至った。
いいセッションをするには。
まず自分のチューニング。自分のセッティングが調子外れだと何もかもがズレてしまうので、身も心も調子を整え、なるべく音程が合っている状態を保つこと。そのために日々点検、微調整を怠らないこと。
その上で、相手を全身全霊で感じ、観察し、理解しようと努めること。音楽でいうならば、実は相手の音が聞こえてきてから音を合わせるのでは少し遅れが生じてしまう。だから、相手の音を聞いてから合わせるのではなく、自分の耳に届く前に、相手のコアのグルーヴを感じ取って流れに乗って合わせることが大切で。それは人とのコミュニケーションにおいても、本当にまさにそうだと思う。
日頃から相手を理解しようと、なんとなく耳を澄ませて静かに観察すること。興味津々なのはお互い疲れちゃうから、なにげなく、さりげなく、心地よく。
そしてもし相手が何かを言葉で伝えようとしてくれる時は、まるでラジオみたいに、一人ひとり異なる発信局から届けられる音楽を、コアのサウンドを、なるべくクリアに聞き取るべく、自分のチューナーを細かくひねってチャンネルをピタッと合わせるような。そんな果てしなく地味で細かな作業を怠らないことが、いいセッションをする上で、実に本当に大事なんだと思う。
大学生の頃、吹奏楽部のパーカッションの偉大な先輩が「曲の「決め」の時は、誰もが「ここだ」と感じる瞬間がある。点で狙うんじゃなく、流れの中で感じ取れ」ということを教えてくださった。それは決して音楽だけのことではなく、仕事や人生のいろんなシーンで、関わる誰もが疑いなく「これや!」「ここや!」と「決め」が決まるような、感動的な一体感を味わえる瞬間があって、その時の快感。シンバルをジャーン!と鳴らす感じ。それが自分にとって働くこと、生きることの醍醐味だろうなと思う昨今。まもなく今年も終わりだね。

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