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ステキな着物との出会い

20代の頃 大阪梅田の百貨店に勤務していました。
新卒で配属された先は顧客部インフォメーション係。
当時 各フロアにあったインフォメーショーンブースに入り〇〇売り場はどこ?というお客さまからのお尋ねに即座にお答えして効率良くお買い物をしていただけるように最短ルートをご案内して差し上げるという仕事内容でした。

各階ブースには1時間ごとにローテーションで入るシステム。
当然 各階の隅々の商品まで熟知しているのが前提。
そのため「店内ウォッチング・タイム」という時間が与えられ どのフロアに入ってもバッチコイ!でいられるように目を皿のようにしてウォッチングしていました。

一番楽しいフロアは7階催し会場。
一週間毎にイベントが替わるので覚えるのが大変でしたが中でも好きだったのは日本各地の職人さんが銘産品を引っ提げて来てくださる「物産大会」
旅行でしか味わえない人気店が出店していたり老舗の伝統工芸品があったりワクワクがとまらない!
あとで休憩中に自分用として買おうとしっかりウォッチングしてました。
北海道や九州物産大会はとても人気がありましたが私が楽しみにしていたのは「加賀百万石物産展」。
じろ飴や金箔ソフトクリームのお美味しそうなあの匂い。
もちもちの加賀麩。
艶々の輪島塗。
好きと思えるものにたくさん出会いました。
そしてついに大変な伝統工芸品に出会ってしまったのです。

それは「加賀友禅の振袖」✨

深いグリーン地に鮮やかな大きい大きい花模様 とにかくめっちゃキレイな色!

当時の私は日本古来の色の名前も花の名前も染めのことも全く知りませんでしたのでそのようにぼんやり思ったこと でも強烈に印象に残ったことを覚えています。

毎日 友禅染めのマネキンと対峙しに来る人 
インフォメーションの制服を着ていなければ怪しい人でしたね笑

家に帰り母に「友禅って言う着物欲しい!」と伝えました。
親に物をねだったのは後にも先にもこの一回きり。

ゆうぜんゆうぜんとやかましく言う私にある年 母は友禅をプレゼントしてくれました。
成人式はとうに終えていたので振袖ではなかったのですが。
嫁入り支度として母がセレクトした訪問着でしたのでクリーム色の落ち着いた感じのものでした。
加賀友禅ではなく京友禅でもなく新潟の十日町友禅でもない東京友禅でしょうか?
優しくて上品な感じのものでした。
結婚してすぐにご近所へ挨拶回りに行くことを想定して敢えて派手さは封印したキチンと感のある一枚をセレクトしてくれたのだと思います。
キチンと感を演出するには友禅は最適❣️

おかげさまで銀婚式を数年後に控える今日までご近所さんとのお付き合いは良好。
人生の大先輩である母の思いが込められたこの一枚は大切にして行きたいものです。

それから・・・母の勧めで着付け教室に通うことになりました。
着せてもらうのは人に頼めるけど帰ってから畳むことくらい自分でできるようにと用意周到な母の指示の下小さな一歩を踏み出すことになるのです。

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