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『名のない花は斯く語る』一花目❁*。

話に花を咲かせましょう❁*。
というわけで(?)、一花目。

この作品は、本来ならば劇場で公演される予定の舞台作品でした。

本番一週間前。
突然の緊急事態宣言の発令を受け、劇場が使用NGとなりました。

無観客での配信公演さえ、できない。

知らせを受けた時、わたしは職場にいて、堪えきれなくてポロポロと泣いてしまいました。
今までは何とかなっていたから今回も大丈夫、ではなかった。
じわりじわりと感じていた不安が現実となり、急ぎ身の振り方を考えなくてはならない状況になったのです。

今回、『名のない花は斯く語る』は2チーム存在しました。
作品の大筋は一緒ではあるが、それぞれのチームの演出・役者が違うため、キャラクターの名前や性別が異なる部分がある。キャラの性格や性別が違えば、物語の進み方も異なってくる。
その違いを比較してもらうために、2チームが揃って公演をおこなうことでたくさんの楽しみ方ができるように、と企画した公演でした。

話し合いの結果、公演は中止。
わたしたち、演出・仲野識率いるNチームは映像演劇へ形を変えてお客様へお届けする道を選びました。
一方、演出・いけてるまさ率いるIチームは、年内の舞台公演を目指し延期。
二つでひとつの作品は、別々の道を歩むことになりました。

わたしたちのNチームは、今回の公演をもって休業に入る人や、役者を辞める人、役者ではなく企画者として勉強をするため最前には出なくなる人etc...がいました。
わたしも休業に入る一人です。
だからこそ、このメンバーでこの作品ができるのは"今しかないんだ"と思いました。
コロナが落ち着いてから…という、"延期"という不確かな約束を、お客さまと結ぶことができなかった。
たしかに、舞台でできるのならばそれが一番良い。わたしたちだって板の上に立ちたい。でも、この状況がいつまで続くのかもわからない。延期に延期を重ねてしまうかもしれない。
そうすれば、作り上げた"今"の感情を含んだ作品は、時を経るごとに違うものになってしまうかもしれない。

そして、今回の急な緊急事態宣言で公演延期や中止になる作品は、きっとわたしたちだけではない。
日の目を見ることなく終わってしまう作品が増えていく悲しみ、寂しさは、役者や創る側だけのものではない。楽しみにしてくださっていたお客さまのものでもある。
そんな中で、少しでも楽しんで貰えるならば、わたしたちはどうにかして作品を形にするべきなのではないだろうか。

そんな想いもあり、形になった作品。

映像演劇
『名のない花は斯く語る』

映像なんてやったことないよっ?!!と、チームのみんなが思っていました(笑)
でも、経験がないからといってやらない理由にはならない。このチームなら、きっと手探りだろうとできる!!という決意の元、撮影本番までの5日間が始まりました。

撮影用にスタジオを借り、そのスタジオにあわせて立ち位置や出入りの位置を変更。
どうやったらより楽しんでもらえるかを模索し、宣伝用のコメント動画を撮り、内緒のプレゼント企画も考えました。

撮影は、舞台芸術創造機関SAIより倉垣さんと麻宮さんが撮影班としていらっしゃいました。
本当に本当に、とてもよくしていただきました。

そして、そわそわと緊張をはじめるキャストをしり目に、設置されていくカメラ。

舞台でおこなう時と同じように、カメラを止めることなく通して撮り、画角をチェック。
位置取りを調整し、時には動きを変更し、最終的な調整をおこないました。

本当に、とても良い経験になりました。
わたし自身、映像はやったことが無いと言っても過言ではないほど経験がなくて、不安や戸惑いも多かったです。
稽古の休憩中にも他のキャストと話してたんですが、このチームじゃなかったら「やろう!」なんて言えなかったし、できなかった。

緊急事態宣言から一週間、怒涛の日々。
笑顔で、楽しく、前向きでいられたのは、みんなのお陰です。

オーディオコメンタリーやったら楽しそう!という何気ない一言に「いいね!やろう!!」と言ってくれるノリの良さ。
毎回変わっていくアドリブを、劇場でお見せできたらどんなによかったでしょう。

そんなみんなの勢いと熱量と想いがこもった作品です。
お客さまに観て欲しくて作り上げた、わたしたちの気持ちです。
どうかお元気で、楽しんで!また劇場で会いましょう!!という、わたしたちからのメッセージです。

たくさんの人に届きますように。

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