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僕なりの、ピアノを弾く仕事って(2)

GW、少しだけ時間ができたので急にnote書いています。
裏方目線の面白い話を書ければと思っています。

今日は、ライブでの演奏が決まっていて、他の人が準備してくれた譜面を使い、まずは予習する際の、ピアニスト目線での話を書いてみたいと思います。
同業者はクスッとしてくれると嬉しいです。

まずデータをダウンロードします。

そういえば昔はそれぞれのバンマスや、アーティストさん本人、大きな仕事ですと事務所やインペグ屋さんから譜面とCDが郵送で送られてきたものです。
あぁ、あの人この辺に住んでるんだなとか分かったりします(笑)。
以前、有名アーティストさん本人から、直で宅急便で送られてきた際、宅急便のお兄さんから、「これってあの方ですか。。。?」って聞かれたことがありました。

いつからか、データで送られてきて、そのほっこりタイムも無くなりまして、
あと、データを紙にする部分が演奏家に委ねられるようになっちゃいました(笑)。プリンターの印字って結構するんですよね。しかも失敗する時あるし、、しかも家のプリンターより、コンビニの方が色々と質が高いですね。。
紙譜面の後期はセブンイレブンのプリンターをかなり使ってました(他より紙の品質が良く一定な気がしてました)。

話がそれましたが、

譜面を整えます

2022年現在は、データをダウンロードして、
僕の場合ですと、For Scoreで、縦書き譜面2枚で横になる形で見るので、
例えばA3でまるまるスキャンされた譜面などは真ん中で切り離す作業、横書きの譜面(90~00年代は多かったですね)は書き直しちゃいます。。

この譜面を整える作業で、早ければ30分以内で終わるし、長ければ数時間かかります。。

For Scoreはスキャンの傾きを調整する機能や余白をカットする機能が使いやすく、これで整えます。

最近は減りましたが、昔はコピーを重ねて、ゴミデータ、黒いポツポツや謎の線などが多いものがありました。これはFor Score上でペンで綺麗にします。

これでようやくiPadのアプリ、For Scoreで、どの曲も同じ感じで読めるようになります。
まだ音楽の予習、、ではないですね。全ては、演奏をスムーズに進めるために、心を無にしてやります。
ここまでで数時間かかると、さすがに疲れちゃいますのでコーヒータイムを取りたいと思います。

いよいよ音源を聞きます、が、

ようやくどんな曲かわかる時が来ます。ここで、譜面と音の整合性をチェックします。良くあるのが、音源がオリジナルでキーが下がっている、半音下げでお願いします!と注釈があるもの。

少し、絶対音感のタイプですので、違うキーの音源を聴きながらの予習はなかなか脳のトレーニングになります。
でも大体の場合半音か、全音なので良いですが、中には大幅なキー変更があるものもあります。半音などは現場処理でいけちゃうレベルのものもありますが、僕はそうですね、、結局全部書き直します。
メモで半音下!とか書いてあっても、本番で譜面通りに、条件反射で書いてあるものをそのまま弾いてしまう可能性が高いので、これは事故率を減らすためには書き直すしかないです。

少しでも曖昧な記述や、自分に必要のない情報(他楽器の人からのコピー譜面だと良くある)などはiPadのペンで細かく消します、分量が多い場合は1から書き直します。

ピアノはイントロなどでメロディーが多いです。そういうところは譜面にきちっとなっている、と思われがちですが、なってないことの方が8割くらいです(笑)。これは書かないといけません。

こういうメロなど、特記事項があるところに限って、一段に6小節とか無理やり増やしてあって音符が書ききれない譜面があります。
他楽器の人が書いた譜面だと、そこはピアニストが弾くところだから、自分らは弾かないわけですね(笑)なので扱いが雑なわけです。こういう譜面は結局書き直します。

書き直しが多くなってくると、結局1曲に、早くて30分〜1時間かかります。綺麗に書かなきゃ意味がないので、なるべく整えたいので、時間もかかります(それでも僕は早い方だと思います)。

ようやく音源を聞きます、が、

行き方(リピートやらD.S.やら)のチェックをします。これ意外に正しくないものがあります。D.S.などは譜面の下に書いて欲しいですし、コーダマークは上に書いて欲しいです。細かいですがリピートで戻っている場合はコーダマークは使えません!D.C.とD.S.が混在している場合は注意が必要です。リハーサルマークはA~Hくらいまでいっているやつは要注意でどこがサビか、同じセクションは同じマーク(’)にしておいて欲しいです。
でもこれはこの時点で書き直すと他のプレイヤーと話が通じなくなるのでメモにとどめておきます。
良くあるのが後半のサビ後に2小節だけコーダ1に飛んで、すぐ戻る、っていうやつがあります。これはもっと感覚に近い簡単な書き方が流通していて欲しかったですね。もう時すでに遅しです。
僕は個人で使う譜面にはこの辺のショートカットを開発しています(笑)。

行き方のチェック、あまりにも複雑なものは書き直します。結局1日のライブの全ての行き方をチェックして、直しが多いとこれまた数時間かかります。

やっと音源を聞きます、がもう少し、

コードネームのチェックをします。正誤、というよりは、Dって書いてあるだけなのに、Dmaj7なのか、はたまたDadd9なのか、などの細かいチェックをします。
Dmaj7と書いてあるのにDadd9なこともあります。逆もあります。あとは音源がそうなのにライブでやってるうちに簡素化した譜面というのもあります。
僕は音源はこうだけど、というのと別枠に、メロと雰囲気から、本当はこっちが良くない?というのも可能性を探っておきます。

シャープとフラットの混同があったら直します(D7 on Gflatみたいなやつ)。ギタリストが書いている音符はオクターブが違うことがあります、というかこれはピアニストのオクターブが絶対だ、という考え方の方が良くない気もしますね。左手と右手の狭間の動きは2段譜にしても読みにくいですよね。歌の仕事だとこの辺が水面化で動くものが多いので、悩みどころです。

コードは、ダイアトニックは大体正解が多いですが、オンコードだったり、なんだかテンションがいっぱい書いてそうなコードは、人によって解釈が分かれるところだとはいえ、謎の書き方も多々見受けられます。この辺は自分の読みやすい形に書き換えておきます。

シンプルに書いてあるやつも要注意、(本当はこうだよ、演奏時にフィールで入れてね)という意味合いなのでしょうが、これが書き方がシンプルゆえチェック漏れしがちなので、僕は結局全部探り直します。

というあたりで修復が多そうだな、、と思った場合は、1から書き直します。

というわけで、ここまで読んで、譜面、もう全て1から書き直した方がいいんじゃない?
と思われる方もいらっしゃるかと思います。
これは、もう本当にそうなのですが、でもそれをやろうとすると15曲で15時間かかるわけです。毎日違うライブが続く場合、これだと睡眠時間が無くなりますので、現実には、雑な譜面をもとに演奏して、事故率が高くなるわけです。

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