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それはある日いきなり・・・

(★初めての方はここからどうぞ★)

2月のとある寒い朝、その時は突然やってきた。

出勤するため、自宅を出た玄関先で一人の男性に声をかけられる。

「●●警察署の者です。□□さんですね。何の件で来たかわかりますか?」

実を言うとこの日から3ヶ月ほど前、私の勤めている会社の関係先から金庫が盗まれるといった窃盗被害がありました。

「XX社の盗難の件で、話を聞きにきたんですか?」
「そんな甘いもんじゃない。それに、どうしてそのことだと分かったんだ! これからあんたの家を家宅捜索する。」

警察手帳と捜索差押令状を示され、自宅玄関は強制解錠。

屈強な刑事4名が家の中になだれ込む。

自分自身にやましいことがあるならいざしれず、私はこの事件の犯人ではない。頭の中が混乱するが、この時は話せば分かってくれるだろうとタカをくくっていました。

家の中で
「もう一度、捜索差押令状を見せてもらえませんか?」と言ったら
「破られるかもしれないから、見せられん。」

過去にそんなこともあったのか。
令状は再度目にすることはありませんでした。

それでも、やっていないものはやっていない。証拠があるならどうぞご自由に。と、そう思っていました。

事件の証拠になりそうなものが、どんどん押収されていきます。

やはり、証拠として重要なのか、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの情報電子機器は真っ先に押収。きっと外部との連絡を断つという意味合いもあるのでしょう。

しばらくすると、出勤時間になっても出社してこない自分を心配してか、会社の同僚や部下からジャンジャン電話がかかってきます。

捜索にあたっている刑事が
「あ、出なくていいから」
最低限の連絡もさせてくれない。勝手なものです。

犯人の着ていたものということなのか、ダウンジャケットとパーカー、マスクの着衣も押収されたましたが、それらしいものでなかったのか、なぜかズボンや靴は押収されませんでした。

これといった証拠も見つからず、家の中の家財道具をありとあらゆる物までひっくり返していく捜査員達だったのですが、やがて目の色が変わりはじめます。

旅行用のキャリーカートを発見し、「これ何?」という刑事。

そんなものは見れば分かる。

私の趣味は旅行。
その旅行好きなら持っていておかしくない普通のキャリーカートを見て、捜査員達はどうもこれを使って犯行に及んだと思っている様子です。

そして、もう一人の捜査員がニヤリ。
「□□さん、これは?」

・・・あぁ、ややこしい物を見つけてくれたもんだ。
そう思った。

昔、仕事で購入した<バール>が、家の中から見つかりました。

これだけでも、警察のテンションは相当上がったことと思います。普通の人が普通だと持っていないバールが発見されたのですから。

しかしながら、金庫は盗まれたという事実だけで、破壊されたとは聞いていない。
ここから、このバールを用いたストーリーが警察によって作りあげられることになるのでした。

ここ数年、私は飲食店店舗の[施工]や[修繕]の仕事に携わっていました。

具体的にいうと、店舗の建設や解体工事に至るまで自身が関わり、簡易的な営繕にも対応したりしてます。
この<バール>は以前、台風で倒壊した店舗看板を解体しようと試みた際に購入したものであり、それなりのアリバイもあります。

刑事の一人が
「これで、もう逃げられないね。」

ん?どういう意味?????

この瞬間、事件の犯人が私であるというフラグが立ち、同時に冤罪立証に向けての戦いが始まった瞬間となったのであります。

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