世界の競馬 Vol.1 アルゼンチン競馬 <第16回 リーデング情報 総括その2 BMS(ブルードメアサイアー)編>

前回は、過去10シーズンの種牡馬種牡馬の総括をしました。

今回はBMS(ブルードメアサイアー)の総括をしたいと思います。

2009-2010シーズンから2018-2019シーズンの10シーズンです。
グラフではシーズンの開始年だけが入れてあります。

ではまず振り返る意味を込めて各シーズンのトップ10を見直してみましょう。

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それでは系統別の推移を見てみましょう。

推移表です

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推移グラフです

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こちらは大きく変動がありました。
まず、最大勢力であったナスルーラ系が17頭から8頭へ大きくき数を減らし、逆に7頭だったノーザンダンサー系が17頭へと大きく数を増やし、ミスタープロスペクター系も8頭から15頭へと倍増させています。
また、それ以外の系統においても16頭から6頭へと半減させています。
種牡馬リーディングの場合、その種牡馬を輸入、またはシャトル種牡馬受け入れをして、種付けし、翌年出産、2歳でデビューし、デビュー後4歳までの世代が揃い数が増えるまで約3シーズンで、合計5シーズンほどで影響が出てきます。
それに比べ、BMS(ブルードメアサイアー)つまり、母の父として影響が出るには、さらに4~5シーズンかかります。
つまり、種牡馬に比べ遅れて影響が出てくるのです。
そして、アルゼンチンやブラジル、ペルーなどの南米や、オーストラリアや、南アフリカなどの南半球の国々は北半球の国々からシャトル種牡馬が導入されており、それらの国からの影響を強く受けます。
例えば、アルゼンチンで過去最も大きな影響を与えたとも言えるサザンヘイローですが現役時代はアイルランド、アメリカで送り、種牡馬としてアルゼンチンに輸入され大きな影響を与えました。
そのように、基本的にはアメリカからの影響が最も強いのがアルゼンチンです。

では個別に見ていきましょう。

・ノーザンダンサー系

推移表です

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推移グラフです

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10シーズンで最も変化があった系統がノーザンダンサー系です。
10シーズン前は0だったストームキャット系が2018-19シーズンでは8頭と数の上で最大勢力になりました。
特にBernsteinは2013-14シーズンにトップ10入りして以降10→6→3→3→3→2と徐々に成績を伸ばしています。
今後は2度リーディングサイアーにも輝いたPure Prize2014-15シーズンに50位に入って以降32→31→13→14と、トップ10入り間近ですので今後トップ10に入ってくるでしょう。
同じく0だったダンジグ系も4頭まで増えています。
こちらはサトノダイヤモンドの母父としても有名なOrpenが2014-15シーズン以降26→16→6→6→6と成績を伸ばしています。
この2系統に共通するのは母の父としても競走馬のスピード能力に強く影響を及ぼすということだと思います。
例えば、日本で見てみると母父がストームキャットの競走馬を見てみると、日本や香港で活躍したロードカナロア、ダービー馬キズナ、ダート短距離でスピードに優れていたメイショウボーラーや、ファレノプシス、サトノアラジン、リアルスティールなどや、現役馬だとダノンキングリーやラヴズオンリーユーです。
母父ダンジグを見て見ると、グラスワンダー、スターリングローズ、ビリーヴ、ニシノフラワーなどですね。
共に活躍馬が多く、スピードが必要不可欠の日本においても影響が強い種牡馬です。
逆に数を減らしたのはニジンスキー系ですね。
スピード型というよりはノーザンダンサーの中でも勝負強さやスタミナに優れたタイプだと言っていいと思います。
芝、ダート共に馬場が硬くスピードが問われるアルゼンチンですので今後もストームキャット系やダンジグ系の影響が強く出てくるのではないでしょうか?

・ミスタープロスペクター系

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こちらも見てきた10シーズンで大きく数を増やしました。
一部の系統が減らしたということはなく、元々一定の勢力を持っているところに、シーキングザゴールド系、ゴーンウエスト系などが入ってきた分増えているという形です。
個別ではLodeが9→7→7→6→6→4→6→7→4→4と10シーズン全てでトップ10入りしていますし、フォーティナイナー系のLuhuk、ファピアノ系のRoyなども常に上位に入っています。
北半球と大きく違うのはキングマンボ系がいないということですね。
キングマンボ系と言えば、日本だとキングカメハメハ、欧米だとレモンドロップキッドなどの系統が種牡馬として結果を残していますし、母父としてもデュークオブマーマレード、キャメロット、ルーラーオブザワールドを輩出しています。
キングマンボ系はミスタープロスペクター系の中でもスピードやキレに優れたタイプですので今後有力種牡馬が入ってくるようなことがあれば母父としても大きく影響を及ぼすのではないでしょうか?
また、ミスタープロスペクター系としてはフサイチペガサス産駒のローマンルーラーが種牡馬として成功し、数多くの活躍馬を出していますので今後その血を引く牝馬の子供が走ってくるのは確実だと思われますし、母の父としても影響を与えてくるのではないでしょうか?

・ナスルーラ系

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この10シーズンで大きく数を減らしたのがナスルーラ系です。
17頭から8頭へと半減させてしまいました。
ただ、減らしてはいますが、Interpreteが2→3→3→2→2→2→2→2→2→3とサザンヘイローに次ぐ存在だと言っていいと思います。
グレイソヴリン系でも
Parade Marshalが15→14→11→8→12→17→20→16→29→43と常に50位以内に入っていますし、
Not For Saleも2015-16シーズン以降46→27→21→11と徐々にランキングを上げてきています。
他でも、Equal StripesがBMSとしても結果を出してきているので今後一気になくなるとは思えません。
ただし、長期的に見るとこのままでは厳しい状況になってしまうかもしれませんが・・・。
Not For Saleは日本でも母父としてダノンファンタジーがG1を勝っています。

・ターントゥ系

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10シーズンで2頭から4頭へと増やしています。
ただ、この系統で特筆すべきはサザンヘイローです。
なんと、この10シーズン全てでリーディングブルードメアサイアーに輝いています。
もちろん、10度リーディングサイアーになり、産駒数も多いのですが母の父としても影響の強さを出しています。
ただ、種牡馬としても考えると、サザンヘイローが偉大すぎるあまり、その産駒たちにとって非常に厳しい状況になってしまったが故に後継が現れにくくなってしまったんでしょうね。
それ以外ではヘイローを経由しないIncurable Optimistなども上位に入っています。

・その他

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こちらも大きく数を減らしました。
ヘロド系や、ファラリス系、ニーアクティック系、テディ系などが姿を消し、リボー系も2018-19シーズンでは50位以内から消えました。
逆に、A.P.インディとその父シアトルスルーの系統はまだそう多くはないですが、今後は増えてくる可能性のある系統ではないでしょうか?
また、ゴドルフィンアラビアンのラインであるインリアリティ系も異系統として一定の需要はあるでしょうし、種牡馬でも上位に入っていましたので今後も勢力を保持して欲しいと思います。

今回は2009-10シーズンから10シーズンの種牡馬リーディングについて見てきました。
皆さんはどのように感じられましたか?

次回から騎手のリーディングを見てみたいと思います。
ただし、トップ20に限って5シーズンずつ2日に分けて見ていきます。

>次回予告<
リーディング情報 騎手 前編

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