八戸セールならびに青森の馬産について

最初に謝っておかないといけません。
非常に過激な内容、発言があるかと思います。
関係者の皆さんが見られた場合、「お前に言われなくてもわかってるわ」と思われると思います。
しかし、競馬を楽しむものとして青森の馬産地にも盛り上がって欲しい。
活躍馬を出して欲しい。
ウインバリアシオンの産駒などに頑張って欲しい。
青森からG1馬や重賞勝ち馬を出して欲しい。
と、応援しているからこその厳しい発言だと取っていただけたら幸いでございます。
ツイッターで絡んで頂いてる青森の生産者さんもいらっしゃいます。
その方々が頑張っておられるのは百も承知です。
でも応援しているからこそ感じるもどかしさがあります。
この件に関し、自分の発言には自分で責任を取ります。
謝罪を要求される方がいらっしゃれば言ってください。
その方の言い分も聞いた上で謝罪が必要な場合は謝罪させていただきます。
また、みなさんの感想など聞かせて頂ければ幸いです。

では本題に入りましょう。

7月7日七夕の日に本州最北端青森の地でサラブレッドのセールの一つの「八戸“奏”市場」が開催されました。
新型コロナの影響下での開催で今年初めてお客さんを会場に入れた形で行われました。
しかしながら・・・
北海道のセールにあるような生中継はなし。
そんな中でも、昨年よりも11人多い108人の購買登録があったそうですね

上場頭数は42頭。
前年比7頭増(牡26頭、牝16頭)
落札頭数
29頭(牡18頭、牝11頭、前年比5頭増)
売却率は69%
売却総額は、税込で8756万円
前年比で7.2%の減少
平均価格301万9310円
前年比91万3690円下落

という結果でした。

普通ならここでコロナの影響化ということを考えれば善戦したとも言えるんじゃないでしょうか。
特に購入者登録が増えてきていることは青森にとってはいいことだと思いますし、尽力された関係者のみなさんの賜物だと感じます。
で、終わるはずなんです・・・。

しかし、そうは問屋が卸さなかったのが今回の八戸市場です。
と、いうのも・・・
青森県軽種馬生産農業協同組合の山内組合長のセリ後の談話です。

「開催にあたり、皆様方からご協力を頂き、JBBAからは施設改修に補助して頂いたり、日高、胆振の軽種馬農協からもお手伝いの人々を派遣して頂いたりして本当に有難かったですね。今回は、生の馬と接することが難しい状況なので、関係者の皆様にとっては久しぶりに実際に馬と触れ合うことのできる市場になったと思います。高額馬が出なかったのは残念ですが、要因としてはコロナ関係で景気があまり芳しくないことも要因のひとつでしょうね。中小企業のオーナーの方々が多いセリですから、やむを得ない結果だったと思います。後は取引馬が成績を上げてくれることに期待しております。いろいろな種牡馬の産駒が上場されるようになると良いのですが、その辺が今後の課題です。今後とも良い馬を上場できるように努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。」

特に問題なのが、「中小企業のオーナーの方々が多いセリですから、やむを得ない結果だったと思います。」と、いう部分。
中小企業のオーナーだから値段が上がらなかった?
余計なお世話でしょう!!
買っていただくお客さんを軽く見ていなければ出ない発言ですよ。
「お客様は神様です。」
なんてことは言いません。
でもね、購入者がいてくれるからこそ青森の馬産がやっていけるんですよ!
それを、売上が上がらなかったのは客が中小企業のオーナーだからだ!
俺のせいじゃない!(え?そこまでは言ってない?)
そう捉えられるような発言は組織のトップとしてするべきではありません。
むしろこのコロナの影響下にも関わらず来場していただき、セリを盛り上げてくれた馬主さんに感謝するべきじゃないですかね?
この文面を読む限り来場された馬主さんに対する感謝の言葉は見られません。
自分もニコニコなどでいろんなセールを見てますがこんなこと大手牧場さん主催のセールでもありませんよ
社台ファームの吉田照哉代表やノーザンファームの吉田勝己代表でもセール後の談話ではまず来場され、盛り上げていただいた馬主さん(購買登録者)さんに対し、感謝の言葉から始まります。
黙ってても売れる大手の牧場主催のセールですら・・・ですよ!

で、これに反応されたツイートが有りいろいろやり取りをしている中で話は青森の馬産地についての話題に・・・
気になる方は自分のツイートを遡って頂ければ・・・と思います。

鳳凰 @bkmpvlofo0602

まず青森の問題点を考えてみましょう。

その前に・・・八戸市場の現状を見てみましょう。
上では「前年比」にのみフォーカスを当てているのでそんなに落ちてるわけではないと思われた方もいらっしゃると思います。
では2000年以降の八戸市場の実績です。

画像1

出品数と売却数のグラフです。

画像2

売上金額のグラフです。

画像3

いかがですか?

かなり危機的状況に陥ってると感じませんか?
売上で最盛期の半分。
出品数に至っては1/3。
一般企業ならいつ倒産してもおかしくないレベルです。

今回は大きく分けて3つの問題に触れたいと思います。

・セールの生中継がない
・旧態依然の体質
・超高齢者問題

・セールの生中継がない

過去にとある方が
毎年生中継やるように提言して、ネットで配信できるよう、世間の相場より激安で見積りも出したことありますが「うちは生中継の必要ない」とあっさり却下されました。と、いう状況。
今サラブレッドのセールで生中継がないのは青森と九州のみ。
セールの放送が全てとは言いません。
しかし、馬が売れている、購買登録者が多いセールはやっててそうでないセールにはない。
それが全くの無関係だと言えますか?
今の時代、ネットでの競馬放送から馬主になり、ニコニコやyoutubeでセールを知り、実際に現地に行き馬を買う馬主さんも少なくありません。
売れているセールですら露出をふやし、新たなお客さんの獲得に邁進しているにも関わらず売れてないセールの主催者が自ら露出を減らすような施策を取ってどうするんでしょう?
むしろ逆でなければいけないんじゃないですかね?
そもそも今の置かれている状況に組織のトップは危機感がないのでしょうか?
聞く所によると今の組合長は牧場を既に廃業した人物。
そんな人間がトップで危機感が生まれると思いますか?
組合員がいる限り組合費は入り、自身の収入は確保できる。
「何か新しい取り組みをやった時に失敗して責任は取りたくない」
と、いうのが本音なのではないかと感じてしまいます。
むしろ他のセールに先立ってオンラインと現場同時開催にしてはいかがでしょう?
リアルタイムのオンラインセールは既にオーストラリアのInglisさんで行われています。
日本で初めてこれを導入してみるのはどうでしょう?
もちろんセールのLIVE中継とは別回線でやるほうがいいと思います。

これは自分が初めて就職し働いた某和食レストランチェーンの当時の部長に言われた言葉です。
「現状維持は後退に等しい」
今を維持しているだけでは前に進む努力をしているものたちとの差は開くばかりで、本当の意味での現状維持は他の者たち同様の努力をすると言うこと。
前に進む努力なきものには未来はないという意味です。
この言葉がピッタリだと思いませんか?

・旧態依然の体質

これは上の項目に関係することですね。
今のままでいい。
失敗はしたくない。
古い体質にあぐらをかき、新しい価値観を認めずその必要性を否定する。
一般企業でもよくある話です。
特に多いのはサラリーマン社長のトップや、高齢者がトップの企業ですね。
前者は出世争いで勝ち残った記憶から失敗を恐れ新しいことをやるよりは無難に今をやり過ごしたいタイプ。
後者は過去の成功例に囚われそのやり方が古いと気づかない(気づかないふり)。
今回の場合ですと後者でしょうかね。
しかし、権力を手に入れるとしがみつきたい人間って多いですよね。
権力ってそんなに美味しいものなんでしょうかね?
どんな組織のトップでも時代についていけてないと感じた時や、自身が的確な判断を出来ていないと感じれば自ら身を引くべきです。
ましてこの組合長のように本人は廃業済みで現場を離れ対岸の火事としか受け取っていないような対応には疑問しかありません。
トップの役割っていざという時に責任を取ることなんですよ。
にも関わらず自身の発言に責任を持てないならさっさとやめるべきですね。

・超高齢者問題

これはツイッターのやり取りの中で出てきた話です。
青森の生産者さんの中で今後10年で3~4割が高齢を問題に廃業する可能性があるとのこと。
最も若い年代で40代(7名)だそうです。
地方では青森にかかわらず高齢化問題はついてまわる問題ですが、最も危機的問題の一つではないでしょうか。
実際今回の八戸セールで最高額で売買されたバーニングラブの2019(全兄ドスハーツ)の生産者の清水貞信さんはなんと89歳。
ただし、北海道の馬産地に比べ不利な状況でもある青森で北海道と同じようにしてても牧場を開業したい人や働きたい人は来ないでしょう。
本来ならここまでの状況になる前に手をうっておかないといけなかったはずですが・・・。
その状況に目をつむっていたか、見て見ぬふりをしてきた結果今の現状です。
そのような状況下で青森で牧場を開業してもらうためには他と同じようなことをやってもまず集まらないでしょう。
思い切った施策を打たないと今後青森から馬産の灯が消えてしまうことになるでしょう。
もしそうなれば青森だけの問題ではなく日本の競馬界にとっての問題になるでしょう。
実際、北海道でも馬産の現場での人手不足は深刻です。

では実際どのような施策を打てば青森で開業してみたいという方が現れてくれるでしょう?
まず牧場をやりたいと考えている方や興味がある方がそれに踏み切れない原因を考えてみる必要があるのではないかと思います。
ではどのような原因があるんでしょう?

・馬を扱ったことがない
・業界にツテがない
・資金面

が大きな原因ではないかと思います。

・馬を扱ったことがない

これに関しては、実際に働いてみるしかないですね。
動物を扱う以上悲しい現場に立ち会う機会もあります。
しかしそれ以上に関わった馬がレースに出走する喜びは非常に大きいでしょう。
またその馬が勝利してくれた際にはその喜びもひとしおだと思います。
自分は昔から動物がいる環境で育ち家が犬のブリーダーをやっていた時期もありドッグショーに出品し、受賞した経験もありますが生産した犬が賞をとった時などは何物にも代え難い喜びでした。
もちろん犬と馬では全く違いますが・・・
それでも馬産はやりがいは大きい職種だと思います。

・業界にツテがない

馬産地の生まれでもなく育った人はツテがなくて当然です。
まずは馬産地の牧場で働きツテを作り牧場開業が従来の流れでしょう。
でも今回はそうでない人でもやってもらうかという話が前提です。
ではどうすればいいか?
答えは簡単です。
組合があるのですから組合がツテを作ってあげればいいのです。
例えば、開業準備期間に組合が給料を保証してあげた上で実際青森の牧場で研修させてあげる。
その際に、青森の生産者さんとの綱渡しをしてあげたり、交流の機会を作ってあげる。
実際に働いてみて、不安に感じる面など研修先以外の生産者さんとも食事をしたり飲みながら話をする中で打ち解けることができるでしょうし、アドバイスももらえるはずです。
なにより、既存の生産者さんとのパイプ(ツテ)もできるはずです。

・資金面

これも組合がある程度出資し、保証人になってあげることで地元銀行や信用金庫での融資を受けやすくしてあげる。
組合の出資分は何年か牧場を経営する条件で無利子もしくは超低金利で返済は生産馬がセリに出せる2年後以降からの支払いがいいのではないでしょうか?
また、高齢化で廃業を考えている牧場、もしくは廃業した牧場の土地を組合が買い取るか借り上げた上で最初は貸出という形にする。
最初は貸出という形にし、経営が波に乗った時点で買取(もしくはリース)という形にする。
もっと思い切った施策を打つならば、条件付きで無料で用地を与える形(条件として牧場経営のみ)にするのがベストでしょうね。
また開業当初は従業員の斡旋なども組合がやってあげる形をとるべきでしょう。
組合から経験者を派遣というのが現実的かもしれませんね。
組合にかかる負担が大きすぎるという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、これくらいやってもおそらく募集して来てくれる人はそう多くないですよ。
それが現実だと思いますよ。
ぜーんぶ組合が用意するから裸一貫できてもらっていいですよ!と、大胆にやるならある程度の開業希望者が来てくれると思いますけどね。
今の組合にそんな気概はないでしょう。
お金もかなりかかりますからね。
でも開業者が増えれば後々回収できるんですよ。
長期的に考えるなら人数制限を設けてでも全部組合が用意してやるべきだと思いますけどね。
そしてそれは既存組合員に取って歓迎するべきことなんですよ。
新しい血が入ることによって新しい化学反応が必ず起こります。
その化学反応によって既存の生産者さんに取ってのプラスも計り知れないでしょうからね。

さていろいろ書いてきましたが・・・
最後に外野からの戯言です。

昨年からノースヒルズの勢いがすごいですよね。
牡馬二冠(皐月賞、ダービー)+ホープフルS勝ち馬コントレイルを始め、函館2歳S、葵S勝ち馬のビアンフェ、フラワーC勝ち馬のアプレイズ、きさらぎ賞勝ち馬のコルテジアなど・・・
その要因として言われているのがノースヒルズ清畠の開業です。
ノースヒルズ清畠とはイヤリング(1歳時)の中期育成牧場です。
ここで約1年間、1日20時間の放牧を行われます。
清畠1期生から3歳春にして重賞ウィナーが6頭(1歳セリで購入したディープボンドを含む)という驚異の成績です。
これを見て閃いたことがあって・・・
青森のような小さな牧場(言い方が悪ければすみません)で生産から育成迄各牧場でやるのは効率が悪すぎないか?牧場にかかる負担が大きすぎないか?ということ。
それならば青森生産馬が格安で使える(八戸セールに出す条件付きで格安料金、そうでない場合は通常料金)イヤリング施設を組合主導で作ればいいんじゃないの?
そうすれば生産牧場は生産に集中でき、イヤリング施設は育成に集中できる。
共に負担は減り、得意分野に特化できるのでは?
また人間でもそうですが小さな牧場で井の中の蛙にするのではなく多くの者たちと生活させ競い合わせることにより競争原理が働き馬の基礎体力アップなどのプラスの要素が働くのでは?
そうすれば上で書いた新規参入者も生産業務に特化でき、仕事量が減って更に参入しやすい環境になるのでは?
素人考えではありますが青森のような環境だといいと思うんですがどうなんでしょうね。
できればその先の施設もあればなおいいんだろうと思います。
生産牧場→イヤリング施設→育成施設(エクワインのような施設)で一括管理。
実際馬産地でやってられる方はどう感じるのか聞いてみたいですね。

どこかから、「言うならお前がヤレ!」って声が聞こえてきた気がしますが、気のせいでしょうかね・・・。(;^ω^)

では今回はこのあたりで失礼します。
青森の馬産地の繁栄と活性化を心より願います。
よければTwitterの方にでも感想を書いて頂ければ幸いです。

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