世界の競馬 Vol.1 アルゼンチン競馬 <第15回 リーデング情報 総括その1 種牡馬編>

前回までで、過去10シーズンの種牡馬とBMSのリーディング情報を見てきました。

今回は種牡馬の総括をしたいと思います。

2009-2010シーズンから2018-2019シーズンの10シーズンです。
グラフではシーズンの開始年だけが入れてあります。

ではまず振り返る意味を込めて各シーズンのトップ10を見直してみましょう。

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それでは系統別の推移を見てみましょう。

推移表です

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推移グラフです

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こうやってみてみると、ノーザンダンサー系が徐々に勢力を拡大しているのがわかりますね。
逆にターントゥ系や、ナスルーラ系は厳しいですね。
ミスタープロスペクター系はいっての勢力は保持していますね。
世界的に見ても日本以外ではノーザンダンサーが最も勢力を保持している系統であると思うのですがそれがアルゼンチンでもそのまま影響を受けているということでしょうか。
アルゼンチンでは、アルゼンチンで繋養している種牡馬以外に、最も競走馬の生産数が多い北半球のアメリカからシャトル種牡馬を受け入れていますし、種牡馬を輸入しています。
そのアメリカでも最も勢力が強いのはノーザンダンサー系です。

これから各系統別に見ていくことになりますがそこでじっくりと見ていくことにしましょう。

・ノーザンダンサー系

推移表です

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推移グラフです

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常に20頭前後となっていますね。
しかも最新の2018-19シーズンでは26頭と半数以上を占めています。
個別に見ると最も多いのはストームキャット系、次がダンジグ系です。
特にストームキャット系のPure Prize、Bernstein、ダンジグ系のOrpen、Catcher in the Ryeが非常に好成績を残しています。
ニジンスキー系や、ヌレイエフ系は姿を消し、近年になりサドラーズウェルズ系が徐々に増えてきました。
ノーザンダンサー系の中で最もアメリカ色が強く、芝、ダート共に適性があり、スピードに優れたストームキャット系が多いことが特徴的です。
ダンジグ系もノーザンダンサー系の中ではスピードに優れていますし、そのスピードこそがアルゼンチンにおいて最も必要とされる能力だと言っていいと思います。
逆にニジンスキー系などのようにスピードではなく別の特色がある種牡馬とってアルゼンチンという地は厳しい場所なんでしょう。

・ミスタープロスペクター系

推移表です

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推移グラフです

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数だけで見ると移り変わりが激しいですね。
ただし、この中で最もいい成績を残しているのが実はフサイチペガサス系です。
Roman Rulerが2013-14シーズン以降3→1→2→7→3→1と2度リーディングサイアーに輝いています。
ただ、フサイチペガサス産駒で後継と言える馬はそう多くないのでなんとかこの系統が続いて欲しいと思います。
他では2009-10シーズンから2013-14シーズンまで5シーズン連続でトップ10入りしたシーキングザゴールド系のMutakddim、近年上位にランクインしてきたManipulatorや、Sidney's Candyのファピアノ系に注目です。

・ナスルーラ系

推移表です

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推移グラフです

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ノーザンダンサー系、ミスタープロスペクター系に次ぐ勢力と言っていいと思います。
しかし、、、上位2系統と比べると差があるのが現実です。
個別では、グレイソヴリン系のNot For Saleが、2010-11シーズンから7→2→2→1→2→5→5→5→7と、9シーズン連続でトップ10入りし、リーデングサイアーにも輝いています。
そしてもう1頭、Equal Stripesも、2011-12シーズン以降8→8→9→ランク外→9→3→1→2と、8シーズン中、7シーズンでトップ10に入り、こちらも1度リーディングサイアーに輝いています。
今後この系統がアルゼンチンで続いていくためにも後継種牡馬の出現が待たれます。

・ターントゥ系

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推移グラフです

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大種牡馬Southern Haloの出現以来アルゼンチンにおいて一大勢力となっていた同系ですが現在は非常に厳しい状況に置かれていると言ってもいいでしょう。
日本では「南米のサンデーサイレンス」、海外では「南米のサドラーズウェルズ」と、称されるサザンヘイローですがサンデーサイレンスやサドラーズウェルズとの大きな違いがあります。
日本では常に上位にサンデーサイレンス産駒のディープインパクトや、ハーツクライ、ダイワメジャー、ステイゴールド、ゴールドアリュールなどがリーディング上位の常連となり、G1馬を次々と送り出し磐石の態勢を築き、欧州(特に英愛)ではサドラーズウェルズが同じようにガリレオを筆頭にモンジューやハイシャパラルなどが次々と後継種牡馬を送り出しているのに対し、サザンヘイローにおいてそういった存在の後継種牡馬に恵まれていないという点です。
その中で、Sebi Haloが最も成功している種牡馬となり、何度もトップ10にも入ってはいますし、Emperor Richardが2014-15シーズン以降48→35→28→21→31と、5シーズンにわたり上位50頭に入っていますがサンデーサイレンスやサドラーズウェルズの後継種牡馬ほどではありません。
ヘイロー系と言えば、サンデーサイレンス系のハットトリックですが2014-15シーズン以降40→28→11→24と4シーズン連続で50位以内に入ってきたものの2017年よりシャトル先がアルゼンチンからブラジルに変わったこともあり、2018-19シーズンでは58位、今シーズン(11月末時点)では100位以内からも姿を消しています。
他にもアルゼンチンのリーディングに名を連ねている種牡馬としてはアグネスゴールドが今シーズン(11月末時点)78位と100位以内に入っています。
ただ、こちらもシャトル先はブラジルとなっていますのでハットトリック、アグネスゴールド共にアルゼンチンでも後継種牡馬が出現してくれると良いのですが・・・

・その他

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この中ではインリアリティ系と、A.P.インディ系が健闘している状況ですね。
インリアリティ系では
Honour and Gloryが8→4→4→4→12→19→34→45→49と、9シーズンで上位50頭に入っています。
A.P.インディ系では
Indygo Shinerが2009-10シーズンから10→13→21→19→30→31→22→36と8シーズン
Aptitudeが2011-12シーズンから27→36→35と3シーズン
Jump Startが2013-14シーズン以降43→10→15→16→18→34と6シーズンで50位以内に入ってくるなど一定の成績を残しています。
それ以外では
ヒムヤー系のIncludeが、2013-14シーズン以降18→3→1→10→19→50と6シーズンで50位以内に入り、2009-10年以降のシーズンではノーザンダンサー系、ミスタープロスペクター系、ナスルーラ系以外では唯一リーディングサイアーにも輝いています。

今回は2009-10シーズンから10シーズンの種牡馬リーディングについて見てきました。
皆さんはどのように感じられましたか?

>次回予告<
リーディング情報 総括その2 BMS(ブルードメアサイアー)編

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