【新種牡馬研究】レッドファルクス
スウェプトオーヴァーボード産駒の万能スプリンター
＜馬名＞
レッドファルクス
<プロフィール>
2011年生、社台ファーム産、29戦10勝
<主な勝ち鞍>
2016年スプリンターズS（芝1200m）
2017年スプリンターズS（芝1200m）
母母レガシーオブストレングスは社台ファームがアメリカから輸入した繁殖牝馬で、その仔にはレガシーオブゼルダ(1990年京成杯3歳S2着)、サイレントハピネス(1995年サンスポ4歳牝馬特別、ローズS)、スティンガー(1998年阪神3歳牝馬S)、アーバニティ(2009年オーシャンS)など活躍馬が多数。さらに、同牝系は世代を経ても活躍馬を出し続けており、フローテーション(2008年菊花賞2着)、サイレントメロディ(2012年マーチS)、フォーエバーマーク(2013年キーンランドC)、キングズオブザサン(2014年NHKマイルC3着)、ハギノハイブリッド(2014年京都新聞杯)などが出ている。
母ベルモットはサイレントハピネスやスティンガーの全妹であり、同馬自身も芝1400～1800mで3勝。繁殖牝馬としては本馬と4勝馬レッドシュナイトぐらいしか目立った活躍馬を出せていないが、比較的マイナーな種牡馬との交配が多かった中でレッドファルクスを誕生させたことには大きな価値があるだろう。
父スウェプトオーヴァーボードはエンドスウィープのアメリカ繋養時代の代表産駒の1頭。5歳時に2002年メトロポリタンHを制すなど長く安定した成績を残し、引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入りして本馬とオメガパフューム(2018～21年東京大賞典、2019年帝王賞)という2頭のGⅠ馬を輩出した。父は万能種牡馬エンドスウィープで、母Sheer Iceも現役時代はダートで活躍したが、My Babu≒Ambiorixの4・4×3などフランス血脈を豊富に内包した配合形。スウェプトオーヴァーボード自身が芝GⅢターフエクスプレスHも制しており、父エンドスウィープ以上に芝とダート、距離適性の幅も広いオールラウンドな種牡馬だったといえるだろう。
レッドファルクスは2016、17年スプリンターズSを連覇するなど芝1200～1400mを中心に活躍。ただ、ダートでも1200～1400mで4勝を挙げており、芝1600mGⅠである安田記念でも3着と好走。父同様に芝とダートを問わず活躍し、距離適性にも幅のあるオールラウンダーな競走馬であった。種牡馬としても自身のスピードを基礎としつつ、父も母も本馬自身も強いインブリードを持たないため、繁殖牝馬の個性を活かしやすい種牡馬ともいえるだろう。
注目の配合形としては、主張の強い繁殖牝馬との組み合わせ。先述の通り、本馬自身はRaise a Nativeの5×5程度しか濃いインブリードを持たないため、インブリードの強い繁殖牝馬とは総じて相性がいいだろう。また、比較的マイナーな血統構成だけに、主流血脈を取り入れやすい点も魅力の一つだ。
また、Robertoとの組み合わせにも注目。レガシーオブストレングス牝系はRoberto系種牡馬との相性が非常に良く、サイレントメロディ(2012年マーチS)、サトノギャラント(2014年関屋記念3着)、ハギノハイブリッド(2014年京都新聞杯)などJRAでデビューした13/19頭が勝ち上がりという高打率を記録している。これは、6代母である名牝Real Delight(1952年ケンタッキーオークス、CCAオークス)とRobertoの母母RareleaがともにBull Lea×Blue Larkspurである点に起因すると考えられ、レッドファルクスの産駒においてもこのツボは継続されるだろう。同じくReal Delight牝系であるAlydarとの組み合わせにも要注目。
もう1つ注目の組み合わせはAmbehaving≒クリアアンバー。父スウェプトオーヴァーボードの母母父Ambehavingは名繁殖牝馬クリアアンバーと相似な血の関係にあり、クリアアンバー持ちのスウェプトオーヴァーボード産駒はキョウエイアシュラ(2014年テレ玉杯オーバルS)を筆頭に勝ち上がり率48.1%のハイアベレージを記録している。クリアアンバーの血を持つアンバーシヤダイやサクラバクシンオーとの組み合わせには注目したい。
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