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【種牡馬辞典】Byerley Turk~Herod系

Lexington

<プロフィール>
1850年生、米国産、7戦6勝
<主な勝ち鞍>
-
<代表産駒>
Kentucky(1864年トラヴァーズS)
Harry Bassett(1871年ベルモントS、トラヴァーズS)
Duke of Magenta(1878年プリークネスS、ベルモントS、トラヴァーズS)
<特徴>
北米リーディングサイアーに16回輝いた歴史的大種牡馬。6代父Herodを父祖とし、4代父DiomedがHerodの父父Partnerを4×4でインブリード。さらに、その仔Sir ArchyはHerodを3×4、父BostonはDiomedを3×3、本馬自身はSir Archyを3×4で掛け合わせた配合形。アメリカ馬特有の強度の近親交配の継続がもたらす活力とスピードの結晶であり、その血は大種牡馬Domino(Lexingtonの3×4・4)や名繁殖牝馬Lady Josephineの母の父であるAmericus(Lexington産駒Norfolk=The Nunの2×2)などを経由して現代競馬に多大な影響を与えている。

Le Sancy

<プロフィール>
1884年生、仏国産、43戦27勝
<主な勝ち鞍>
1889年ドーヴィル大賞(T2600m)
1890年ドーヴィル大賞(T2600m)
<代表産駒>
Le Sagittaire(1894年モルニ賞、仏グランクリテリウム、1896年ガネー賞、イスパーン賞)
Le Samaritain(1898年ドーヴィル大賞)
<特徴>
1895、97、1900、03年仏リーディングサイアー。Thormanby=Lady Hawthornの2×3というインブリードが特徴的な名種牡馬で、代表産駒であるLe Sagittaire(1894年モルニ賞、仏グランクリテリウム、1896年ガネー賞、イスパーン賞)も1906年仏リーディングサイアーに輝いている。また、Le Samaritain(1898年ドーヴィル大賞)はRoi Herode→The Tetrarchと繋いでおり、The Tetrarchの骨格はLe Sancyに非常によく似たものであった。筋肉量が違うため基礎スピードの差はあっただろうが、名種牡馬の父祖というに相応しい好馬体であったといえるだろう。

---The Tetrarch

<プロフィール>
1911年生、愛国産、7戦7勝
<主な勝ち鞍>
1913年コヴェントリーS(T5F)
1913年ナショナルブリーダーズS(T5F)
1913年英シャンペンS(T6F)
<代表産駒>
Tetratema(1919年英シャンペンS、ミドルパークプレート、1920年英2000ギニー、1921年ジュライC)
Caligula(1920年英セントレジャー)
Polemarch(1921年英セントレジャー)
Mumtaz Mahal(1923年英シャンペンS、1924年キングジョージS、ナンソープS)
Salmon-Trout(1923年デューハーストS、1924年英セントレジャー)
<特徴>
2歳時に芝5~6F戦で7戦7勝を挙げたが、脚元の怪我により引退を余儀なくされた芦毛の快速馬。非常に柔軟で、後肢が前肢にぶつかるほど踏み込みが深かったことが推進力の源であった反面、前肢を蹴りつけてしまうことが怪我の原因だったといわれている。父Roi Herodeが長距離馬であったことから本馬も無事であれば中長距離でも活躍していた可能性は高く、種牡馬としてはSalmon-Trout、Polemarch、Caligulaという3頭の英セントレジャー馬を輩出した。ただ、現代競馬に与える影響という点では名繁殖牝馬Lady Josephineとの間に出したMumtaz Mahalが最重要産駒であり、同牝系からはMahmoud、Nasrullah、Royal Chargerという名馬、名種牡馬が誕生。また、米三冠馬Count Fleetの母方にも本馬の血が含まれており、大種牡馬Mr. Prospectorの母Gold Diggerは父Nashuaと母父Count Fleetを通じてThe Tetrarchの血を5×6でクロスしている。さらに、大種牡馬Northern Dancerの母母AlmahmoudはThe Tetrarchを4×5でインブリードしたMahmoud産駒。したがって、現代競馬の4大根幹種牡馬といえるNasrullah、Royal Charger、Northern Dancer、Mr. Prospectorはいずれも本馬の影響を強く受けており、本馬が伝えたスピードと柔軟性は現代の競走馬において欠かせないものとなっている。

----Tetratema

<プロフィール>
1917年生、英国産、16戦13勝
<主な勝ち鞍>
1919年英シャンペンS(T6F)
1919年ミドルパークプレート(T6F)
1920年英2000ギニー(T8F)
1921年ジュライC(T6F)
<代表産駒>
Royal Minstrel(1928年St.ジェームズパレスS、1929年エクリプスS)
Mr. Jinks(1929年英2000ギニー、St.ジェームズパレスS)
Four Course(1931年英1000ギニー)
<特徴>
The Tetrarchの代表産駒の一頭で、父譲りのスピードを武器に1920年英2000ギニーを制すなど芝短距離~マイル路線で活躍。種牡馬としても持ち味のスピードを子孫に伝え、1929年には英愛リーディングサイアーにも輝いた。母Scotch GiftはSt. Simonを3×3、Hamptonを3×4でインブリードする優秀な繁殖牝馬で、本馬の他に1926年英最優秀2歳牡馬The Satrapなどを出している。日本では直仔セフトが二冠馬トキノミノルを出すなど種牡馬として大成功を収め、1947~51年と5年連続リーディングサイアーに輝いた。

-----セフト

 <プロフィール>
1932年生、愛国産、16戦7勝
<主な勝ち鞍>
1935年ジャージーS(T7F)
<代表産駒>
ハヤタケ(1942年京都農林省賞典4歳呼馬)
トキノミノル(1950年朝日杯3歳S、1951年皐月賞、日本ダービー)
ハイレコード(1950年菊花賞)
ボストニアン(1953年皐月賞、日本ダービー)
<特徴>
1947~51年全日本リーディングサイアーに輝いた名種牡馬。母Voleuseは1937年英愛リーディングサイアーSolario(1925年英セントレジャー、1926年アスコットGC)の半妹で、Galopinを5・5×5でインブリード。本馬もGalopinを6・6×6・6・6で薄く継続したが、1930年代~40年代前半のGalopin→St. Simonの影響を強く受けた歴代リーディングサイアーと比較すると明らかに濃度が薄く、Tetratema×Volta×Sundridgeというスピード配合も他の上位種牡馬とは一線を画すものであった。むしろ、The TetrarchとSundridgeという組み合わせは現代競馬にスピード革命をもたらしたMumtaz Mahalと共通し、その後のNasrullah≒Royal Chargerの繁栄を予感させるものであったともいえる。イギリス由来のスタミナ血統の固着に異系のスピードを注入した名種牡馬で、産駒はトキノミノル(1950年朝日杯3歳S、1951年皐月賞、日本ダービー)を筆頭に優れた早熟性とスピードを武器に大活躍を見せた。

Bruleur

<プロフィール>
1910年生、仏国産、14戦5勝
<主な勝ち鞍>
1913年パリ大賞(T3000m)
1913年ロワイヤルオーク賞(T3000m)
<代表産駒>
Ksar(1921年仏ダービー、ロワイヤルオーク賞、1921、22年凱旋門賞、1922年カドラン賞)
Pot au Feu(1924年仏ダービー、サンクルー大賞)
Madrigal(1926年仏ダービー)
Hotweed(1929年仏ダービー、パリ大賞、1930年カドラン賞)
<特徴>
1921、24、29年仏リーディングサイアーに輝いた長距離種牡馬。競走馬としても1913年にパリ大賞とロワイヤルオーク賞を制したが、種牡馬としては仏ダービー馬を4頭輩出するなど現役時代以上に大成功。胴長、かつ胸の深いステイヤー体型で、産駒にも豊富なスタミナと成長力を継承した。母母はStockwellを4×3でインブリードするイギリス産馬だが、母父Omniumは父Chouberskiと同じDollar系のフランス産馬で、本馬はDollarを5×4でインブリードするアウトサイダーな血統馬。Bruleur→Ksar→Tourbillon→Djebel→My Babuのラインがフランスを中心に大成功を収め、日本でもパーソロンがシンボリルドルフなどを輩出して2度のリーディングサイアーに輝いた。

-Ksar

<プロフィール>
1918年生、仏国産、15戦11勝
<主な勝ち鞍>
1921年仏ダービー(T2400m)
1921年ロワイヤルオーク賞(T3000m)
1921年凱旋門賞(T2400m)
1922年カドラン賞(T4000m)
1922年凱旋門賞(T2400m)
<代表産駒>
Tourbillon(1931年リュパン賞、仏ダービー)
Thor(1933年仏ダービー、1934年カドラン賞)
Le Ksar(1937年英2000ギニー)
<特徴>
史上初の凱旋門賞連覇を果たしたフランス競馬を代表する歴史的名馬。母Kizil Kourganは1902年仏1000ギニー、仏オークス、パリ大賞などを制した名牝で、その母Kasbahも1895年仏オークス馬。さらに、7代母Pocahontasに遡る名牝系でもあり、血筋の良さは超一級品だ。1895年仏ダービー馬Omniumを3×2でインブリードした配合形も特徴的で、馬体はOmniumが強く出た脚長のステイヤー体型。後肢の飛節が大きく湾曲しており幼駒時の評価はそれほど高くなかったようだが、競走馬としては凱旋門賞連覇の他に1921年仏ダービーや1922年カドラン賞などを制し、種牡馬としてもTourbillon(1931年リュパン賞、仏ダービー)などを輩出して1931年仏リーディングサイアーにも輝いた。

--Tourbillon

<プロフィール>
1928年生、仏国産、12戦6勝
<主な勝ち鞍>
1931年リュパン賞(T2100m)
1931年仏ダービー(T2400m)
<代表産駒>
Cillas(1938年仏ダービー、ジャックルマロワ賞)
Djebel(1940年英2000ギニー、エセー賞、1942年サンクルー大賞、凱旋門賞)
Coaraze(1945年仏ダービー、ジャックルマロワ賞、1946年サンクルー大賞)
Caracalla(1945年パリ大賞、ロワイヤルオーク賞、1946年アスコットGC、凱旋門賞)
<特徴>
フランス競馬界を代表する馬産家マルセル・ブサック氏の傑作。母DurbanはMr. ProspectorやSeattle Slewなど数々の名馬を輩出するFrizette牝系に属し、St. Simonの3×4由来のスタミナとLexingtonを中心とした北米血脈由来のスピードを武器に1920年仏グランクリテリウムや1921年ヴェルメイユ賞などを制覇。それに対し、父Ksarは仏ダービー馬Omniumを3×2でインブリードするなどした純フランス血統馬。したがって、本馬は欧州血脈のスタミナをベースに、北米血脈のスピードも注入された、それまでのフランス産馬の枠に収まらない名競走馬であったといえるだろう。種牡馬としてもDjebel(1940年英2000ギニー、エセー賞、1942年サンクルー大賞、凱旋門賞)やCaracalla(1945年パリ大賞、ロワイヤルオーク賞、1946年アスコットGC、凱旋門賞)を出すなどして1940、42、45年と仏リーディングサイアーに輝き、本馬を2×2でインブリードするCoronation(1949年仏1000ギニー、凱旋門賞)という名牝も誕生させた。

---Djebel

<プロフィール>
1937年生、仏国産、22戦15勝
<主な勝ち鞍>
1939年ミドルパークS(T6F)
1940年英2000ギニー(T8F)
1940年エセー賞(T1600m)
1942年サンクルー大賞(T2500m)
1942年凱旋門賞(T2400m)
<代表産駒>
My Babu(1948年英2000ギニー、サセックスS)
Coronation(1949年仏1000ギニー、凱旋門賞)
ガルカドール(1950年英ダービー)
<特徴>
第二次世界大戦のあおりを受けながらも1940年英2000ギニーや同年エセー賞(仏2000ギニーの代替レース)などを制した名種牡馬Tourbillonの代表産駒。母母がHamptonの4×3、Galopinの6・5・6×4、母がHampton産駒Bay Ronaldの3×4、Galopinの6・4・7・4×7・6・7・5とスタミナ豊富な配合形で、本馬自身も胴長で、肩の角度のついたしなやかな中長距離馬であった。種牡馬としてはMy Babu(1948年英2000ギニー、サセックスS)のようなマイラーからArbar(1948年カドラン賞、アスコットGC)のようなステイヤーまで幅広いカテゴリーの活躍馬を輩出。1949、56年には仏リーディングサイアーにも輝いている。

------Luthier

<プロフィール>
1965年生、仏国産、10戦4勝
<主な勝ち鞍>
1968年リュパン賞(T2100m)
1968年ジャックルマロワ賞(T1600m)
<代表産駒>
Riverqueen(1976年仏1000ギニー、サンタラリ賞、サンクルー大賞)
ヤワ(1983年パリ大賞、1984年ローマ賞)
Sagace(1984年凱旋門賞、1985年ガネー賞、イスパーン賞)
<特徴>
母Flute Enchantee(1953年ドーヴィル大賞)はSwynford産駒Blandfordを3×3でインブリードする中距離馬で、繁殖牝馬としても本馬以外にPremier Violon(1966年ノアイユ賞)や種牡馬Violon d'Ingresを輩出。本馬は父にKlaironを配してSwynfordを4×5・5でインブリードしており、種牡馬としてSagace(1984年凱旋門賞、1985年ガネー賞、イスパーン賞)やヤワ(1983年パリ大賞、1984年ローマ賞)、Galiani(1978年パリ大賞)など多くの中長距離馬を出して、1976、82~84年には仏リーディングサイアーにも輝いた。

-------Ahonoora

<プロフィール>
1975年生、英国産、20戦7勝
<主な勝ち鞍>
1979年スプリントチャンピオンシップ(T5F)
<代表産駒>
Park Appeal(1984年モイグレアスタッドS、チェヴァリーパークS)
Don't Forget Me(1987年英2000ギニー、愛2000ギニー)
ドクターデヴィアス(1991年デューハーストS、1992年英ダービー、愛チャンピオンS)
<特徴>
競走馬としては1979年スプリントチャンピオンシップや同年キングジョージSを制した程度だったが、種牡馬としてはドクターデヴィアス(1991年デューハーストS、1992年英ダービー、愛チャンピオンS)などを出して成功。ドクターデヴィアスやPark Express(1986年フェニックスチャンピオンS)などの中距離馬も出たが、産駒全体としてはマイル前後で活躍する馬が多かった。NasrullahやNorthern Dancerなどの主流血脈を一切持たないため、現在は配合の緩衝材としての役割を担うことが多い。

--------ドクターデヴィアス

<プロフィール>
1989年生、愛国産、15戦6勝
<主な勝ち鞍>
1991年デューハーストS(T7F)
1992年英ダービー(T12F)
1992年愛チャンピオンS(T10F)
<代表産駒>
Collier Hill(2005年愛セントレジャー、2006年カナディアンインターナショナルS、香港ヴァーズ)
Kinnaird(2005年オペラ賞)
<特徴>
1992年英ダービーを制した父Ahonooraの代表産駒。3代母Cambrienneから繁栄を見せる名牝系の出で、特に本馬の母Rose of Jerichoの分岐はDancing Rain(2011年英オークス、独オークス)やSaxon Warrior(2017年レーシングポストT、2018年英2000ギニー)を出すなど近年の英クラシックでも存在感を見せている。本馬の半弟にはシンコウキング(1997年高松宮杯)がおり、半妹ローズオブスズカは繁殖牝馬としてスズカフェニックス(2007年高松宮記念)を輩出。本馬は父に短距離馬Ahonooraを配したが、母のTourbillonの5×5・6が父祖を刺激しており、AllegedやSicambreなどのスタミナ血統の支えもあって幅広い距離カテゴリーでGⅠ3勝を挙げた。引退後は日本で種牡馬入りし、帰国後もヨーロッパでGⅠ馬を輩出。Northern Dancer以外に主流の血脈を持たないが、活力のある牝系の血には注目する価値がありそうだ。

----My Babu

<プロフィール>
1945年生、仏国産、16戦11勝
<主な勝ち鞍>
1947年英シャンペンS(T6F)
1948年英2000ギニー(T8F)
1948年サセックスS(T8F)
<代表産駒>
アワバブー(1954年英シャンペンS、ミドルパークS、1955年英2000ギニー)
Crozier(1963年サンタアニタH)
Prudent(1961年モルニ賞、サラマンドル賞)
<特徴>
1948年英2000ギニーを驚異的なレコードタイムで制した快速マイラー。母母がChaucer≒Swynfordの3×2、母がSwynford≒Chaucerの3×4・3とスタミナ血脈を継続しつつ、母母父Pharos、母父Badruddinとスピード種牡馬を掛け合わせてきたことでDjebel産駒としては珍しいマイル以下で実績を残すスピード馬となった。特に母父Badruddinの影響は強く、柔らかいフットワークと爆発的な瞬発力はその母Mumtaz Mahalに由来すると考えられる。種牡馬としてはイギリスとアメリカで活躍し、日本やオーストラリアでもその父系を伸ばした。種牡馬Ambiorix(1948年仏グランクリテリウム、1949年リュパン賞)の父は本馬の父父Tourbillon、母は本馬の母母Lavendulaであり、Badruddinが入らない点は大きく異なるが本馬と相似な血の関係といえるだろう。

------パーソロン

<プロフィール>
1960年生、愛国産、14戦2勝
<主な勝ち鞍>
1962年愛ナショナルS(T7F)
<代表産駒>
メジロアサマ(1970年天皇賞秋)
サクラシヨウリ(1978年日本ダービー、1979年宝塚記念)
シンボリルドルフ(1984年皐月賞、日本ダービー、菊花賞)
<特徴>
1971、74年と日本のリーディングサイアーに輝いた名種牡馬。Tourbillon系Milesian産駒であり、牝系もTourbillonと同じ6代母Frizetteに遡る名牝系。3代母Coronisは父にTourbillonを持ち、Durban=Heldifannの2×1という大胆な近親交配馬でもある。つまり、本馬はTourbillonの4×4であり、Durban=Heldifannの5×5・4であるTourbillonのスピード源を増幅した配合形であったといえるだろう。さらに父父My Babuはその母父BadruddinがMumtaz Mahalの仔であり、同血脈からも瞬発力を強化。同時期に種牡馬として凌ぎを削ったテスコボーイなどとともに、日本競馬のスピード面を一段階上げた名種牡馬であった。特に1971~74年オークスを産駒が4連覇するなど、クラシックでの活躍は目覚ましいものがあった。

--------トウカイテイオー

 <プロフィール>
1988年生、長浜牧場産、12戦9勝
<主な勝ち鞍>
1991年皐月賞(T2000m)
1991年日本ダービー(T2400m)
1992年ジャパンC(T2400m)
1993年有馬記念(T2500m)
<代表産駒>
トウカイポイント(2002年マイルCS)
ヤマニンシュクル(2003年阪神JF)
ストロングブラッド(2005年かしわ記念)
<特徴>
皇帝シンボリルドルフの初年度産駒であり、親子二代での無敗のクラシック二冠制覇や1993年有馬記念での奇跡の復活劇など当時の競馬ファンに大きな衝撃を与えた歴史的名馬。母トウカイナチュラルは不出走馬だが、その半姉には1984年オークス馬トウカイローマンがおり、本馬以外にもトウカイオーザ(2001年アルゼンチン共和国杯)やトウカイエリート(2007年日経新春杯2着)を出すなど優秀な繁殖牝馬であった。母はNearctic≒Atlantidaの3×4が特徴で、本馬においても父母父スピードシンボリと母父父Northern Dancerの血統構成に共通点が多いことが血統的魅力。父祖Bruleurに遡るマイナーなサイアーラインではあるが、当時の主流血脈のツボはしっかりと押さえており、種牡馬として輩出した代表産駒の多くがNorthern Dancerのインブリードを持つことはここに起因する。サンデーサイレンス、トニービン、ブライアンズタイムの全盛期に3頭のGⅠ馬を輩出したことは十分に評価に値する種牡馬成績だったといえるだろう。The Tetrarch血脈を豊富に持ち、柔軟なフットワークで走る姿も特徴的だ。


≪坂上 明大(Sakagami Akihiro)≫
 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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