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【種牡馬辞典】Lyphard系・ノーザンテースト系・Topsider系・トライマイベスト系

Lyphard

<プロフィール>
1969年生、米国産、12戦6勝
<主な勝ち鞍>
1972年ジャックルマロワ賞(T1600m)
1972年フォレ賞(T1400m)
<代表産駒>
Three Troikas(1979年仏1000ギニー、サンタラリ賞、ヴェルメイユ賞、凱旋門賞)
Manila(1986年ターフクラシックS、BCターフ、1986、87年ユナイテッドネーションズH、1987年アーリントンミリオンS)
ダンシングブレーヴ(1986年英2000ギニー、エクリプスS、キングジョージⅥ&QEDS、凱旋門賞)
<特徴>
フランスのトップマイラーとして仏GⅠ2勝を挙げ、引退後はダンシングブレーヴ(1986年英2000ギニー、エクリプスS、キングジョージⅥ&QEDS、凱旋門賞)を筆頭に多数のGⅠ馬を輩出して種牡馬としても大成功。1978、79年と仏リーディングサイアーに輝いたほか、北米でも1986年にリーディングサイアーのタイトルを獲得した。父Northern Dancerと同じく小柄な馬体だが、輪郭は母父Court Martialに似ており、Lady Juror→Fair Trial→Court Martial的なスピードと持続力が特徴といえるだろう。GⅠ7勝馬キタサンブラックや2019年ダービー馬ロジャーバローズの先行粘着脚質はLyphardの影響を強く受けた証であり、トーセンラーやリスグラシューの3~4角でマクッていく姿も本馬の特徴が表現された走りであった。DanzigとはNorthern Dancer、Fair Trial、Hurry Onなど共通点が多く、Lyphardらしさを増幅する組み合わせといえる。

---Linamix

<プロフィール>
1987年生、仏国産、10戦4勝
<主な勝ち鞍>
1990年仏2000ギニー(T1600m)
<代表産駒>
Miss Satamixa(1995年ジャックルマロワ賞)
Sagamix(1998年凱旋門賞)
Vahorimix(2001年仏2000ギニー、ジャックルマロワ賞)
<特徴>
1990年仏2000ギニーを制した芝マイラーであり、種牡馬としても1998、2004年と2度の仏リーディングサイアーに輝いた名種牡馬。父メンデスは日本でも供用されたマイラー種牡馬で、Royal Charger≒Nasrullahの5×5・5由来の瞬発力をよく伝えた。それに対して、母Lunadixはその母LutineがHyperionの4×4、Son-in-Lawの5×5を持つなどスタミナ豊富なイギリス血統で、父祖Lyphardを刺激する配合形。スピードとスタミナを兼備したバランスのいい種牡馬で、アウトブリードの血統からも母馬の良さを引き出す種牡馬だったともいえるだろう。

-モガミ

<プロフィール>
1976年生、仏国産、20戦3勝
<主な勝ち鞍>
-
<代表産駒>
シリウスシンボリ(1985年日本ダービー)
メジロラモーヌ(1986年桜花賞、オークス、エリザベス女王杯)
レガシーワールド(1993年ジャパンC)
<特徴>
シンボリ牧場の和田共弘氏とメジロ牧場の北野豊吉氏の共同所有馬としてフランスで競走生活を送り、種牡馬としても両牧場からGⅠ馬を輩出。シリウスシンボリ(1985年日本ダービー)、メジロラモーヌ(1986年桜花賞、オークス、エリザベス女王杯)、レガシーワールド(1993年ジャパンC)などスタミナ豊富な中長距離馬を多く出し、障害競走に強い産駒を多数輩出した点も大きな特徴だろう。父LyphardはLady Juror→Fair Trial→Court Martial的なスピードと持続力、母父Lucky DebonairはThe Tetrarch的な柔らかさとスピードをそれぞれ伝え、さらに牝系を遡れば名繁殖牝馬La Troienneへと繋がるパワー豊富な一族でもある。そのため、Son-in-Law(Lady Jurorの父)などをインブリードしたシリウスシンボリやレガシーワールドは持続力型であったし、The Tetrarchを増幅したメジロラモーヌは素晴らしい瞬発力を見せた。父系は既に途切れてしまったが、近年でもモーリスにLa Troienne的パワー、グローリーヴェイズにLyphard的持続力を継承するなど存在感を示している。

-Alzao

<プロフィール>
1980年生、米国産、12戦4勝
<主な勝ち鞍>
1984年エリントン賞(T2400m)
<代表産駒>
Alborada(1998、99年英チャンピオンS)
シャトゥーシュ(1998年英オークス)
Winona(1998年愛オークス)
<特徴>
名繁殖牝馬Pocahontasを母母に持ち、母Lady RebeccaはChieftain(1965年アーリントンH)やTom Rolfe(1965年プリークネスS)らの半妹という良血。母がPrincequilloの4×3、Sir Gallahadの5×3、Pharamond=Sickleの4×4という父母相似配合で、本馬はMahmoudの5×5など母父Sir Ivorを増幅した配合形。馬体のアウトラインは父Lyphardに似ているが、Haloの血が多い日本ではSir Ivor的瞬発力を強く伝える種牡馬だったといえるだろう。ディープインパクトの瞬発力は本馬を経由したHalo≒Sir Ivorの2×4が源泉となっているわけだ。また、Lyphard×Droneのダンシングブレーヴとは共通点が多く、Alzao≒ダンシングブレーヴの3×2を持つサトノルパン=レッドアヴァンセ=レッドオルガの瞬発力はこれらに由来すると考えられる。

-ダンシングブレーヴ

<プロフィール>
1983年生、米国産、10戦8勝
<主な勝ち鞍>
1986年英2000ギニー(T8F)
1986年エクリプスS(T10F)
1986年キングジョージⅥ&QEDS(T12F)
1986年凱旋門賞(T2400m)
<代表産駒>
コマンダーインチーフ(1993年英ダービー、愛ダービー)
ホワイトマズル(1993年伊ダービー)
テイエムオーシャン(2000年阪神3歳牝馬S、2001年桜花賞、秋華賞)
<特徴>
爆発的な瞬発力を武器に1986年凱旋門賞をレコードタイムで勝利した20世紀の欧州競馬を代表する名馬。種牡馬としても、難病マリー病を発症しながらも、少ない産駒数からヨーロッパと日本でGⅠ馬を輩出した。本馬の瞬発力源は母父Droneに由来し、同馬を増幅する配合からはエリモシック(1997年エリザベス女王杯)のような瞬発力型からキングヘイロー(2000年高松宮記念)のような短距離馬が誕生。それに対して、Court Martialを4×5でインブリードしたテイエムオーシャン(2000年阪神3歳牝馬S、2001年桜花賞、秋華賞)はLyphard的な先行粘着型として中距離路線を中心にオールラウンドな活躍を見せた。Lyphard×Sir IvorのAlzaoとは共通点が多く、Alzao≒ダンシングブレーヴの3×2を持つサトノルパン=レッドアヴァンセ=レッドオルガの瞬発力はこれに由来すると考えられる。

--コマンダーインチーフ

<プロフィール>
1990年生、英国産、6戦5勝
<主な勝ち鞍>
1993年英ダービー(T12F)
1993年愛ダービー(T12F)
<代表産駒>
アインブライド(1997年阪神3歳牝馬S)
レギュラーメンバー(2000年ダービーグランプリ、2001年川崎記念、JBCクラシック)
マイネルコンバット(2000年ジャパンダートダービー)
<特徴>
1993年英愛ダービーを制した父ダンシングブレーヴの代表産駒。母Slightly Dangerousは競走馬としても1982年英オークス2着などの実績を残したが、繁殖牝馬としては本馬のほかにウォーニング(1988年サセックスS、クイーンエリザベス2世S)やYashmak(1997年フラワーボール招待H)、Deploy(Dubawiの母父)など数多くの活躍馬を輩出。3代母Noblesse(1963年英オークス)、母母Where You Lead(1973年英オークス2着)、母Slightly Dangerousから受け継ぐ豊富なスタミナと父ダンシングブレーヴ譲りの非凡な瞬発力を武器に、英愛ダービー制覇という偉業を成し遂げた。引退後は日本で種牡馬入りし、コンスタントに活躍馬を輩出。芝とダートを問わず、中長距離向きのスタミナを子孫に伝えた。

--ホワイトマズル

<プロフィール>
1990年生、英国産、17戦6勝
<主な勝ち鞍>
1993年伊ダービー(T2400m)
<代表産駒>
スマイルトゥモロー(2002年オークス)
イングランディーレ(2004年天皇賞春)
アサクサキングス(2007年菊花賞)
ニホンピロアワーズ(2012年ジャパンCダート)
<特徴>
GⅠタイトルは驚異的なレコードタイムで制した1993年伊ダービーのみだが、1993、94年キングジョージⅥ&QEDSや1993年凱旋門賞でもそれぞれ2着と好走。同じく父ダンシングブレーヴの代表産駒であるコマンダーインチーフ(1993年英ダービー、愛ダービー)とは同世代であり、1993年キングジョージⅥ&QEDSでは本馬が2着、コマンダーインチーフが3着と顔を合わせている。引退後も同馬と同じく日本で種牡馬入り。ダンシングブレーヴ×Ela-Mana-Mouのスタミナを主に伝える反面、母母AutocraticはTyrant×Round Table×Count Fleetのスピード血統。アウトブリードの血統構成でもあり、母馬によって短距離馬から超長距離馬、芝馬からダート馬まで幅広いカテゴリーで活躍馬を輩出した。また、Court Martialの4×6などからFair Trial的粘着力も継承しており、イングランディーレ(2004年天皇賞春)やアサクサキングス(2007年菊花賞)、ニホンピロアワーズ(2012年ジャパンカップダート)など代表産駒の多くが先行力と粘り強さを武器に大舞台で活躍している。

--キングヘイロー

<プロフィール>
1995年生、協和牧場産、27戦6勝
<主な勝ち鞍>
2000年高松宮記念(T1200m)
<代表産駒>
カワカミプリンセス(2006年オークス、秋華賞)
ローレルゲレイロ(2009年高松宮記念、スプリンターズS)
メーデイア(2013年JBCレディスクラシック)
<特徴>
2000年高松宮記念を制すほか、1998年皐月賞2着、1999年マイルCS2着など幅広いカテゴリーで活躍したマルチランナー。5代母Lady Be Goodに遡る名牝系であり、母グッバイヘイロー(1987年デモワゼルS、ハリウッドスターレットS、1988年ラスヴァージネスS、ケンタッキーオークス、マザーグースS、CCAオークス、1989年ラカナダS)は米GⅠを7勝した名牝。3代母SquanderがBusanda≒Better Selfの2×3、母母Pound FoolishがAttica≒Tom Foolの2×3、母グッバイヘイローがHalo≒Sir Ivorの1×2、本馬がDrone≒Halo≒Sir Ivorの3×2・3などインブリードのうるさい配合形で、Tom FoolとMahmoud≒Sun Princessをベースとした非凡なスピードが持ち味といえるだろう。種牡馬としても芝とダートを問わず、短距離から中距離まで様々なカテゴリーの活躍馬を輩出した。

ノーザンテースト

<プロフィール>
1971年生、加国産、20戦5勝
<主な勝ち鞍>
1974年フォレ賞(T1400m)
<代表産駒>
アンバーシヤダイ(1981年有馬記念、1983年天皇賞春)
ギヤロツプダイナ(1985年天皇賞秋、1986年安田記念)
ダイナガリバー(1986年日本ダービー、有馬記念)
アドラーブル(1992年オークス)
<特徴>
1982~88、90~92年と10度の日本リーディングサイアーに輝いた大種牡馬。Lady Angelaの3×2という野心的な名牝クロスが最大の特徴であり、小柄な馬体はHyperionの影響を多分に受けた証といえるだろう。自身はマイラーであったが、種牡馬としてダービー馬やオークス馬を複数輩出したことはHyperion由来のスタミナがその根拠となっている。Northen Dancerの筋肉量とHyperionの底力や成長力を受け継いだのが本馬であり、インブリードの濃さからそれらを強く子孫に伝える主張の強い種牡馬ともいえるだろう。ダイワメジャー≒ダイワスカーレットやドリームジャーニー=オルフェーヴルの走りにはその影響を強く感じる。Night Shift、Vice Regent、The Minstrel=Far Northなどとは共通点が多く、北米的なパワーを増幅する効果が見込める。ただ、Hyperionらしさは本馬特有のものだけに、その点は注意が必要だ。

-アンバーシヤダイ

 <プロフィール>
1977年生、社台ファーム産、34戦11勝
<主な勝ち鞍>
1981年有馬記念(T2500m)
1983年天皇賞春(T3200m)
<代表産駒>
メジロライアン(1991年宝塚記念)
<特徴>
名種牡馬ノーザンテーストの初年度産駒で、4歳秋になって花開いた遅咲きのステイヤー。母クリアアンバーはBull Leaの3×3などパワー血脈を豊富に持ち、父ノーザンテーストとの間ではChop Chopがそれらを刺激する形だが、本馬は父が持つHyperionや母が持つAmbiorixの影響が強く、しなやかなフットワークで1981年有馬記念や1983年天皇賞春などを制した。種牡馬としてもメジロライアン(1991年宝塚記念)を筆頭に数多くの重賞勝ち馬を輩出。内国産種牡馬のエース級として活躍し、芝中距離を中心に幅広いカテゴリーで活躍馬を出した。全妹サクラハゴロモも繁殖牝馬としてサクラバクシンオーなど多数の活躍馬を輩出。同馬自身が短距離で活躍しており本馬とはタイプが異なるが、サクラバクシンオーを通じてその血を後世に伝えている。

Topsider

<プロフィール>
1974年生、米国産、18戦8勝
<主な勝ち鞍>
スポーツページH(D6F)
<代表産駒>
Top Corsage(1986年スピンスターS)
North Sider(1987年サンタマルガリータ招待H、アップルブラッサムH、マスケットS)
アサティス(1989年伊ジョッキークラブ大賞)
<特徴>
母Drumtopは1970年カナディアンインターナショナルSなど北米で17勝を挙げた活躍馬。本馬は競走馬としては中堅のスプリンターだったが、種牡馬としてはアサティス(1989年伊ジョッキークラブ大賞)などを輩出して期待以上の成績を残した。4代母Rough Shodに遡る名牝系であり、母母Zonahは名繁殖牝馬ThongなどとNasrullah、Rough Shodが共通する配合形。さらに、本馬は父にNorthern Dancerを持ち、Nureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingなどとは共通点が非常に多い。白毛一族として有名なシラユキヒメ牝系はその母ウェイブウインドが本馬の直仔で、ハヤヤッコ(2019年レパードS)を筆頭にキングカメハメハ系との間に多くの活躍馬を輩出したことはここに起因し、ソダシ(2020年阪神JF、2021年桜花賞)やメイケイエール(2021年チューリップ賞)などもその例外ではない。

-アサティス

<プロフィール>
1985年生、米国産、16戦6勝
<主な勝ち鞍>
1989年伊ジョッキークラブ大賞(T2400m)
<代表産駒>
ウイングアロー(2000年フェブラリーS、ジャパンCダート)
ボンネビルレコード(2007年帝王賞、2008年かしわ記念)
<特徴>
名繁殖牝馬La Troienneに遡る世界的名牝系であり、初代エクリプス賞最優秀2歳牝馬Numbered Account(1971年スピナウェイS、米メイトロンS、フリゼットS)を母母に持つ良血。Numbered Accountは繁殖牝馬としても優秀で、Private Account(1980年ワイドナーH、ガルフストリームパークH)やDance Number(1983年ベルデイムS)、種牡馬Polish Numbersなどを輩出した。母母Numbered AccountがBusanda≒Strikingの2×3、母Secret AssetがHyperionの4×5、Beau Pereの4×5などスタミナとパワーを強化しており、本馬は万能種牡馬Topsiderを父に配した形。本馬自身は1989年伊ジョッキークラブ大賞を制すなどヨーロッパの芝中長距離で活躍したが、種牡馬としては日本でダート馬を量産しており、本質はスタミナとパワーに優れたダート中長距離馬だったと考えられる。

トライマイベスト

<プロフィール>
1975年生、米国産、5戦4勝
<主な勝ち鞍>
1977年デューハーストS(T7F)
<代表産駒>
ラストタイクーン(1986年BCマイル)
My Best Valentine(1998年アベイドロンシャン賞)
<特徴>
1977年英愛2歳牡馬チャンピオン。名繁殖牝馬Sex Appealの2番仔であり、全弟El Gran Senorは愛ダービー馬、3/4同血の妹ロッタレースも母としてフサイチパンドラを出している。母のBusanda≒Mr. Busherの2×3という強烈なパワー血脈が最大の特徴であり、母がトライマイベスト=El Gran Senorの4×3を持つブラストワンピースの重戦車のようなパワーは本血脈の影響といえるだろう。また、Woodmanの母であるプレイメイトやウォーエンブレムなどが持つNumbered AccountはSex Appealと相似の血の関係にあるため、これらとの組み合わせでもSex Appealが持つ強烈なパワー血脈を増幅する効果が見込める。

-ラストタイクーン

<プロフィール>
1983年生、愛国産、13戦8勝
<主な勝ち鞍>
1986年キングズスタンド(T5F)
1986年スプリントCS(T5F)
1986年BCマイル(T8F)
<代表産駒>
Marju(1991年St.ジェームズパレスS)
Ezzoud(1993、94年英インターナショナルS、1994年エクリプスS)
Bigstone(1993年サセックスS、クイーンエリザベスⅡ世S、1994年イスパーン賞、フォレ賞)
Mahogany(1993年コーフィールドギニー、ヴィクトリアダービー、1994年オーストラリアンギニー、豪ダービー)
アローキャリー(2002年桜花賞)
<特徴>
1986年BCマイルなど芝8F以下で活躍し、引退後はシャトル種牡馬として世界中でGⅠ馬を輩出。母母Irish LassがNearco≒Scollataの2×1、母Mill PrincessがNearco≒Scollataの4×3・2、本馬がNearco≒Scollataの4×5・4・3と代々Pharos=FairwayとNogaraを掛け合わせてきた反面、父の母Sex Appealがそれらの血を持たず、さらにBusanda≒Mr. Busherを2×3でインブリードした配合形が素晴らしい。素軽いスピードが持ち味で、産駒も芝馬が大多数。日本でもアローキャリーが2002年桜花賞を制し、母の父に本馬も持つキングカメハメハ(2004年NHKマイルC、日本ダービー)は競走馬としても種牡馬としても大成功を収めた。

--Marju

<プロフィール>
1988年生、愛国産、7戦3勝
<主な勝ち鞍>
1991年St.ジェームズパレスS(T8F)
<代表産駒>
Sil Sila(1996年仏オークス)
My Emma(1996年ヴェルメイユ賞、1997年ヨークシャーオークス)
サトノクラウン(2016年香港ヴァーズ、2017年宝塚記念)
<特徴>
ラストタイクーン産駒の芝マイラー。母母Welsh Flameから発展した欧州の名牝系であり、さらにはディープインパクトなどと同じAloeに遡ることができる名門牝系。母Flame of Taraも1983年英チャンピオンSで2着などした活躍馬で、同牝系Round Tableを父父に持つため、母自身は牝祖Aloeを5×6でクロスしている。また、母の2番仔Salsabilは1990年英1000ギニー、英オークス、愛ダービー、ヴェルメイユ賞を制した名牝で、本馬はその一つ下の半弟。Sadler's Wells産駒の半姉に対し、本馬はラストタイクーンを父に配して芝マイル路線で活躍した。とはいえ、牝系由来のスタミナも兼備しており、1991年英ダービーではGenerousの2着。種牡馬としてもマイラーから長距離馬まで多くのGⅠ馬を輩出している。ディープインパクトとは名牝系を増幅する形になるため非常に相性が良く、本馬を母方に持つディープインパクト産駒はマルセリーナ(2011年桜花賞)を筆頭に7/8頭が勝ち上がり。種牡馬入りしたサトノクラウンもディープインパクト産駒の繁殖牝馬と相性は良さそうだ。

----Dark Angel

<プロフィール>
2005年生、愛国産、9戦4勝
<主な勝ち鞍>
2007年ミドルパークS(T6F)
<代表産駒>
Lethal Force(2013年ダイヤモンドジュビリーS、ジュライC)
Harry Angel(2017年ジュライC、スプリントC)
Battaash(2017年アベイドロンシャン賞、2019、20年ナンソープS、2020年キングズスタンドS)
<特徴>
2007年ミドルパークSを制すなど2歳時に9戦4勝を挙げて引退。その後は、Lethal Force(2013年ダイヤモンドジュビリーS、ジュライC)、Harry Angel(2017年ジュライC、スプリントC)、Battaash(2017年アベイドロンシャン賞、2019、20年ナンソープS、2020年キングズスタンドS)という3頭の欧州最優秀スプリンターを輩出するなど短距離種牡馬として成功を収めたトライマイベスト系種牡馬。Natalmaの6×5・5などスピード血脈を豊富に詰め込んでいる反面、Sadler's Wellsやデインヒルなど欧州の主流血脈をほとんど持たない点も魅力のひとつだ。


≪坂上 明大(Sakagami Akihiro)≫
 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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