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【フェブラリーS】実は超特殊GⅠ⁉東京ダ1600mで強い血統は?

この記事では2022年フェブラリーSの血統傾向を解説しています。

「ソダシのダート適性について考える」もよろしくお願いします!

コースレイアウトやラップバランスなどからレースで求められる資質を整理し、その条件に強い血統を紹介します。種牡馬などの簡単な血統傾向からインブリードなどの配合のポイントまで、血統初心者から血統マニアまで参考になる解説を心掛けています。各馬の血統診断や馬場解説等はYouTubeメンバーシップ、最終予想はYouTube動画で配信しています!

≪坂上 明大(Sakagami Akihiro)≫
 1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
YouTube ・Twitter

≪生駒 永観(Ikoma Eikan)≫
 競馬評論家・血統研究家。サラブレで『種牡馬のトリセツ』を連載中。望田潤氏の配合論に感銘を受け、師と仰ぐ。2014年、「競馬 最強の法則」にてデビュー後、「サラブレ」などで活躍。2020年には坂上明大氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。
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チャンピオンズCと直結しない特殊性

日時:2022年2月20日(日)
コース:東京ダ1600m
条件:GⅠ・4歳以上OP・定量戦

(坂上)
フェブラリーSが行われる東京ダ1600mは長い直線が最大の特徴ですが、これが実はかなり特殊なんですよね。JRA全10場のダートコースの直線距離は下記の通りですが、2位の中京より100m弱も長い501.6m。芝でも長い直線は大きな特徴ではありますが、ダートの方が相対的に特殊性が増していることは間違いありません。

◆JRA全10場の直線距離◆
東京:501.6m
中京:410.7m
新潟:353.9m
阪神:352.7m
京都:329.1m
中山:308.0m
福島:295.7m
小倉:291.3m
札幌:264.3m
函館:260.3m

(坂上)
さらに、コーナー角も緩やかで3~4角に450m前後も要す舞台ですから、とにかくスピードの持続力が求められるコースレイアウトといえます。チャンピオンズCとは200m差、そして直線距離も1、2位という一見するとかなり似た条件に見えますが、両GⅠで求められる能力は全く異なります。フェブラリーSはスタートからゴールまでのスピードの持続力、チャンピオンズCは緩急に対応する機動力や加速力が求めらる条件といえるでしょう。

フェブラリーSとチャンピオンズCの平均1F別ラップ(過去5年)

(生駒)
特に、フェブラリーSではチャンピオンズCからのローテーションが難しいですから、チャンピオンズC好走馬だからといって信頼度は低いですよね。チャンピオンズCなら先行力さえあれば、照準を絞って好走するパターンも少なくないですけどね。

フェブラリーS(FS)/チャンピオンズC(CC)

フェブラリーSに強い3大血統

(坂上)
近年のフェブラリーSでまず好走が目立つのはゴールドアリュールですよね。2014年1着馬コパノリッキーが単勝オッズ272.1倍で勝利したため回収率は異常値ですが、これを除いても非常に優秀な成績を残しています。ゴールドアリュールは中距離型ではありますが、ゆったりとしたストライド走法は東京競馬場でも強さを発揮します。あまり、高速決着に合うタイプではありませんが、時計のかかる馬場や展開になれば今年もゴールドアリュールに注目が必要でしょう。

ゴールドアリュール内包馬(過去10年)

ゴールドアリュール
サンデーサイレンス産駒唯一のダートGⅠ馬。骨太で筋骨隆々といった典型的なダート馬体型ではなく、芝馬とも見えるスマートで伸びやかなつくりをしており、実際に2002年日本ダービーでは5着と芝GⅠでも入着した。とはいえ、ヨーロッパの重厚な血脈で構成された母の特徴を強く受け継いだ弊害か、四肢の回転が遅く、サンデーサイレンス系らしい素軽さが欠如。ただ、パワーとタフさが求められるダートではその特徴が最大の武器となり、2003年フェブラリーSなどGⅠ/JpnⅠ4勝、2002年には最優秀ダートホースにも輝いた。種牡馬としてもコパノリッキー(GⅠ/JpnⅠ11勝)、エスポワールシチー(GⅠ/JpnⅠ9勝)、スマートファルコン(GⅠ/JpnⅠ6勝)など数多くのダートチャンピオンを輩出。自身と同じような先行粘着型のダート中距離馬が多く、ストライド走法で、揉まれ弱いVaguely Nobleの血を引くことからもストレスの少ない競馬を好む傾向にもあった。

(生駒)
逆に、高速馬場になった際に注目したいのはStorm Catですかね。過去10年、道悪馬場で行われたのは重馬場の2016年だけですが、昨年も良馬場とはいえ勝ち時計は相当速く、過去10年で1分34秒台の決着となったのは2016年と2021年の2年のみ。その2年でStorm Cat持ちの馬は7頭出走して4頭が馬券圏内に走っています。昨年は4着馬レッドルゼルもStorm Cat持ちですから、下記のデータ以上に優秀な成績ともいえるでしょう。

高速馬場時(2016、21年)のStorm Cat内包馬
2021年1着カフェファラオ(父American Pharoah)
2021年3着ワンダーリーデル(父スタチューオブリバティ)
2021年4着レッドルゼル(父ロードカナロア)
2021年6着インティ(母母父Forestry)
2021年14着ワイドファラオ(父ヘニーヒューズ)
2016年1着モーニン(父ヘニーヒューズ)
2016年3着アスカノロマン(母父タバスコキャット)

Storm Cat
4代母First Roseは大種牡馬Tom Foolと血統構成が酷似した繁殖牝馬。そこにThe TetrarchやDomino系Ultimus、Peter Panと快速血脈を代々重ねられたのが母母Crimson Saint(G3・ダ5.5F)であり、さらに米三冠馬Secretariatを父に配したのが母Terlinguaだ。同馬はロイヤルアカデミーⅡ(1990年ジュライC、BCマイル)の半姉であり、2歳時に重賞3勝を挙げた早熟馬。その母と同じく仕上がりが早く、スピードのあるStorm Birdとの間に生まれたのが本馬であり、2歳時にヤングアメリカSを制し、BCジュベナイルでも僅差2着と活躍した。引退後は2歳戦向きのスピード種牡馬として大活躍し、特に米2歳リーディングサイアーに7度輝いたことは本馬の特徴を強く表した記録といえるだろう。骨太で筋肉量も多く、やや脚が短め、背ったれ気味の腰高体形が特徴的。

(生駒)
あと、もう1頭忘れてはいけないのはA.P. Indyでしょうね。アメリカでも大箱長距離戦ベルモントSで強さが目立つ血統ですが、ストライド走法の柔らかい走りは日本の大箱マイルコースでも注目の血統です。

A.P. Indy内包馬(過去10年)

A.P. Indy
Summer Squall(1989年米ホープフルS、1990年プリークネスS)の半弟。母Weekend SurpriseはSecretariat≒Sir Gaylordの1×3という柔らかさ満点の繁殖牝馬であり、そこに同じく柔軟性に優れたSeattle Slewを父に配したことで本馬自身も全身運動で走るストレッチランナーに。この特徴は子孫にもよく伝わっており、父Seattle Slew同様に大箱コースを得意とする馬が多い。さらに、Striking=Busher≒Busanda5・5×4と父のパワー源もしっかりと継続しており、まさにSeattle Slewの正統後継種牡馬として現在も枝葉を伸ばしている。直仔シンボリインディの1999年NHKマイルCやひ孫テスタマッタの2012年フェブラリーSなどは本馬の支えがあってこその勝利だったといえるだろう。

(坂上)
ただ、ちょっと注意が必要なのは、日本のA.P. Indy系種牡馬はA.P. Indyっぽさの薄い馬も多いですから、なるべくSeattle Slew→A.P. Indyを増幅した配合形で、走りにもその良さが表現されたタイプを狙いたいですね。パイロやシニスターミニスターをA.P. Indy系で括るのは解像度が荒すぎますから。

<フェブラリーSの血統ポイント>
・最強ダート種牡馬ゴールドアリュールが強い!
・高速決着ではStorm Catを狙え!
・Seattle Slew→A.P. Indy増幅型にも注目!


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