新潟 芝1600m について 2020夏

色んな切り口で競馬を見てみようと思ってるが、明日は新潟2歳Sもあるので今回は新潟芝1600mについて色々調べてみた。調べた結果、まあそりゃそうだよね、という結論になることもしばしば。でもまあ、そういう結果すらこうやってテキストに書き出しておくと何かの役に立つかもしれないので、書いてみる。

1.前半3Fタイムと4コーナー位置取りについて

前半3F349勝ち数グラフ

前半3F349勝率グラフ

これは前半3Fが34.9秒以下のハイペースだった場合に、4コーナーの位置取りでどの位置だった馬が勝っている傾向があるかを示した図である。前半3Fが34.9秒以下のハイペースだと4コーナー先頭だった馬はほとんど結果を残していない。そういった馬の勝率は0%、複勝率でも僅かに6%だった。とは言えだったら追い込みが優秀な結果かというとそうでもない。勝ち数で言えば、後方・中位の順、複勝率でいえば先団にいた馬も中位や後方の馬と遜色はない結果が出ている。もし前半3Fが34.9秒以下で流れるようなレースと想定されるのであれば、勝馬は差し馬、複勝圏内は先行から後方まで想定する必要がある。

前半3F354勝ち数グラフ

前半3F354勝率グラフ

前半3Fが35.0秒から35.4秒で流れた場合の勝ち数や複勝数は後方の位置取りの馬が圧倒的に多いが、勝率・複勝率を見てみると5角形に近い形になってきていて、勝率だけで見れば実は4コーナー先頭の馬が一番高い結果となっている。最後方の馬はこの区間が一番結果が出ているが、それでも他の位置取りから見ると低成績。新潟芝1600mの場合はどんな展開であろうと追い込みにくいのだろう。

前半3F359勝ち数グラフ

前半3F359勝率グラフ

前半3Fが35.5秒から35.9秒で流れた場合は、勝ち数・複勝数だと中位の位置取りが圧倒的になるが、中位に位置する馬は数が多く、中位に位置した馬全体で計算すると勝率はあまり高くない。35.5秒から35.9秒で流れた場合は、4コーナー先頭や先団にいた馬の勝率が高くなってくる。当然と言えば当然だが、スローで流れれば流れるほど逃げ・先行が優位で、新潟芝1600mの場合は前半35.5秒くらいでもスローで前の馬に余力があるということか。

前半3F364勝ち数グラフ

前半3F364勝率グラフ

前半3Fが36.0秒から36.4秒になってくると傾向が顕著になってくる。4コーナー先頭の馬は粘って複勝圏内に残る可能性が高くなり、そういった馬の30%以上が複勝圏内に入っている。勝ち数は依然中位や後方が多いが、レーダーグラフも5角形に近い形でどの馬も可能性があるようだ。

前半3F369勝ち数グラフ

前半3F369勝率グラフ

ここまでスローになってくると各馬余力があるのか、後方や最後方の馬に出番はなく、後方の馬は複勝圏内があれば良い方。4コーナー先頭の馬の複勝圏内に入る率は40%以上にもなってくるので、もしスローで流れることが明確ならば逃げそうな馬の複勝やワイド軸、3連複軸というのもありだろう。勝率ですら30%近い。

前半3F370勝ち数グラフ

前半3F370勝率グラフ

前半3Fが37秒以降の超スローペースだと、勝率は4コーナー先頭のほか、先団の馬も非常に高くなってくる。勝ち数も先団が増え、超スローならば先団の馬(逃げ馬の次のグループ)くらいにターゲットを絞るのが良さそうだ。

なお、勝率は4コーナー先頭がどのタイムを見ても圧倒的なのだが、ただ勝ち数や複勝数だけに関していうと35.5秒以上は中位や先団の位置取りが優位。その位置取りにいる馬が多いせいで勝率が低くなってしまうが、単純に新潟芝1600mの場合勝つ数が多いのは基本的に中位・先団の馬たちなので、どんなペースでも好位追走組が優位のようだ。

なお、これは4コーナーでの位置取りなので、もし捲りなどがあって逃げ馬ではないけど4コーナー先頭というケースもあると思う。上記を見る際に、4コーナー先頭=逃げ馬ではないことに注意して欲しい。

なお、この集計はは2007年10月~2020年5月末までのデータを使用した。


2.騎手について

上位騎手枠別勝利数

上位騎手枠別複勝数

小さすぎて見えないと思うので画像は拡大して見てもらいたい。
上記は、新潟芝1600mの騎乗数が多い騎手+明日の新潟2歳Sに騎乗する騎手の、枠別勝利数・複勝数のグラフだ(岩田望未のみデータが少ないので割愛)。
一番分かりやすいのが戸崎圭太で、彼は外枠で結果を出す傾向がある。実は公開してないが同じような調査を福島1200mで調べたことがあって、そのときも同じように外枠で結果が出ていることが多かった。明日の新潟2歳Sの騎乗はないが、石橋修も同じような傾向がある。外枠の方が成績が良い。
逆に田辺や福永、吉田豊あたりは内枠の方が結果が出ている騎手だ。田辺はどの枠もオールマイティに結果を出しているので内枠に限定しない方が良いかもしれないし、福永も複勝数で言うとむしろ外枠の方が多い。

勝率でも見てみよう。

上位騎手枠別勝率

上位騎手枠別複勝率

黄色のラインが全体の勝率・複勝率で、グレーのラインが1・2枠に限定した場合の勝率、ピンクのラインが7・8枠に限定した場合の勝率・複勝率だ。黄色のラインよりもピンクのラインが上にある場合は外枠の勝率が高く、黄色のラインよりグレーのラインが上にある場合は内枠の勝率が高い、ということになる。
勝ち数は田辺や蛯名に及ばないものの、勝率は戸崎がトップで、全体だと20%近くで、しかも外枠の場合の勝率は35%近くもありグラフを見ても飛び抜けている。但し、グラフには表現していないが、勝利時の平均人気は1.6、外枠で勝利時の平均人気は1.3と、人気馬に乗った場合に限定されそう。
勝率のグレーのラインが高い=内枠の勝率が高いのは、柴田善臣や田辺、津村、吉田豊、福永、岩田康誠といったあたり。複勝で見ると田辺や蛯名、内田や丸田といった騎手が内枠を得意としていそう。
勝率のピンクのラインが高い=外枠の勝率が高いのは、吉田隼人や松岡正海、戸崎、宮﨑、デムーロといった騎手。複勝で見ると、松岡や勝浦正樹、戸崎、デムーロといったあたりの騎手が外枠を得意としていそうだ。

更に、ここからは明日の新潟2歳Sに出る騎手についてのみ確認してみた。

デムーロ4角位置取り勝利時

デムーロ4角位置取り複勝時

デムーロ4角位置取り着外時

これはデムーロの勝利時・複勝時・着外時の4角位置取りの統計。デムーロが馬券に絡むときは4コーナーの位置取りが先団のパターンが多く、先団でも着外になることが多いが、後方・最後方にいるときは着外になりやすい。外枠が得意だが先団で勝つことが多いとなると、外枠の馬でスタートが良く二の足も悪くない馬のときに勝つ傾向が強い、ということかもしれない。

藤田菜七子4角位置取り着外時

藤田菜七子は馬券に絡んだことが少ないので着外時のみグラフ化。彼女は後方・最後方に位置してそのまま着外になることが多いようなので、前目に付けて欲しいところだ。
なお、岩田望未もデータ不足のためここでは掲載しない。

岩田康誠4角位置取り勝利時

岩田康誠4角位置取り複勝時

岩田康誠4角位置取り着外時

岩田康誠の場合は、先団か最後方。4コーナー先頭は着外時も含めてほぼないが、先団か最後方という極端なレースが多い。中途半端に中位や後方あたりに位置するレースは結果があまり出ていない。内枠が得意なので、内枠でスタート良く好位追走できる馬か、内枠で後手を踏んで最後方に近いところから直線脚を使える馬、というのが岩田には合っているようだ。

福永祐一4角位置取り勝利時

福永祐一4角位置取り複勝時

福永祐一4角位置取り着外時

福永祐一が勝つパターンは完全に4コーナーで後方の場合だ。後方より前目に位置するときほど複勝や着外が増えるイメージ。妙に前目に付けられるスタートの良い馬や二の足がある馬に騎乗すると先団・中位で捌ききれないのか、それよりは内枠スタートで後方で折り合ってじっくり進めて直線外から伸びるパターンの方が良いのかもしれない。

内田博幸4角位置取り勝利時

内田博幸4角位置取り複勝時

内田博幸4角位置取り着外時

内田博幸が勝つパターンはしっかりと先団についたとき、悪くても中位の位置取りにつけられたときのようだ。スタートに難がある馬や二の足がない馬で位置取りが悪くなりがちな馬に騎乗して最後方になると着外になるケースが多い。そのような馬に内田博幸が騎乗するときは要注意。内田博幸が騎乗する馬はきちんと先団・中位に付けられる馬かどうかを見極めたい。内枠も得意なので好スタートでラチ沿いでじっとしていて直線追い出すイメージが新潟芝1600mでの内田のイメージということだろう。

丸山元気4角位置取り勝利時

丸山元気4角位置取り複勝時

丸山元気4角位置取り着外時

丸山元気も分かりやすい。勝つパターンは先団についたときで、位置取りが中位・後方・最後方と下がるほど、着順が悪くなるようだ。脚をしっかり溜めて直線で弾かせるような乗り方ではなく、先団で追い出しを待って勝つパターンが多いのだろう。丸山も外枠が得意な騎手で、外枠から好位に付けられるスタートや二の足がある馬かどうかが重要なポイントだ。内枠に入って後方になるようなら軽視しても良いかもしれない。

三浦皇成4角位置取り勝利時

三浦皇成4角位置取り複勝時

三浦皇成4角位置取り着外時

三浦皇成もはっきりした傾向がある。4コーナーの位置取りが中位のときに一番結果が出ている。レースの幅もあまりなく極端な逃げや追い込みはほぼない。中位より後方になってしまった場合は着外に沈むことが多そうだ。丸山と同じように後方から脚を使って差しきることがあまりできないのかもしれない。内枠をあまり得意にしていないことからも内枠から後方で捌いてというのが得意ではなく、どちらかと言うと外枠で真ん中くらいの位置取りから先団を差すような比較的王道な乗り方になってしまっているようだ。

田辺裕信4角位置取り勝利時

田辺裕信4角位置取り複勝時

田辺裕信4角位置取り着外時

田辺裕信は後方からの勝ち鞍が多いが、比較的バランスが取れている感じだ。さすがに4コーナーの位置取りが最後方のレースは着外が多いが、逆に4コーナーの位置取りが先頭のときは馬券圏内が多く、着外に沈むことが少ない。もし田辺が内枠で逃げられる馬に馬に騎乗するときは要注意。もし外枠でスタートが悪かったり二の足がない馬に騎乗して最後方になりそうだったら軽視しても良いかもしれない。

柴田大知4角位置取り勝利時

柴田大知4角位置取り複勝時

柴田大知4角位置取り着外時

柴田大知も基本的には4コーナーの位置取りが先団のときに結果を出している騎手だ。位置取りが後ろになるほど着外になることが多いので、直線で馬に脚を使わせることがそれほど上手くないのかもしれない。先団から抜け出しの分かりやすい勝ち方を得意としてる騎手のようだ。

戸崎圭太4角位置取り勝利時

戸崎圭太4角位置取り複勝時

戸崎圭太4角位置取り着外時

最後に戸崎圭太だが、4コーナーの位置取りが後方のときが一応勝ちパターンのようだが、それほど際立った特徴でもない。勝つときも馬券圏内に来るときも着外のときもレーダーグラフの形が比較的似ている。つまり、馬に合わせた乗り方ではなく、どんな馬のときも馬群の真ん中前後に位置してその乗り方で直線伸びたときだけ勝つ、みたいなイメージか。少し言い過ぎかもしれないが。

騎手については前半3Fのタイム比較とか、まだまだ色々調査してみたいこともあるが今日は時間切れ。また改めて時間見つけてやってみたい。

なお、この集計はは2007年10月~2020年5月末までのデータを使用した。


3.血統について

新潟芝1600mにおける種牡馬データやファミリーナンバーも確認してみた。これも小さくて見えないと思うので、拡大して見て欲しい。

産駒別勝利数・勝率

過去の産駒の出走頭数の多い方と、明日の新潟2歳Sに出走予定の馬の種牡馬を追加してグラフを作成している。

勝利数で見るとディープインパクト産駒とハーツクライ産駒が抜けて良いが出走数も含めて勝率で見るとハーツクライの方が一歩上。ただし、ディープインパクトは2着3着が異様に多く、複勝率ではハーツクライよりも高く1位だ。そのほか、勝率・複勝率が高いのはやはりロードカナロア。勝ち鞍の絶対数は多くないが勝率はディープインパクトより上、複勝率もディープインパクトに遜色ないレベルだ。また、ローエングリンなんかも出走頭数の割りには勝利数が多く勝率が良い。ダイワメジャーは複勝率は高いレベルにあるが、勝率は思ったほど良くない。キズナはまだサンプル数が少ないので今後評価していきたいが、現時点でも勝率・複勝率は悪くはない。

ファミリーナンバー別勝利数・勝率

過去の出走頭数の多いファミリーナンバー上位30と、勝率や複勝率の高いファミリーナンバー、並びに明日の新潟2歳Sに出走するファミリーナンバーを加えてグラフを作成。

出走頭数も多く、勝率や複勝率も高いのは9-f、トゥザヴィクトリー等がいるファミリーナンバーだ。勝率として高いのは23-b、目立った活躍馬がいないのに勝率が高いのはこの舞台に相性が良い証拠なのかもしれない。そのほか、2-nや1-t、7-dといった辺りも新潟芝1600mの注目のファミリーナンバーだろう。
今回新潟2歳Sに出走するファミリーナンバーは9-f・13-c・7・7-c・19・3-d・22-b・5-j・3-oだが、いずれも新潟芝1600mの実績は高くなく、1番良くて9-f、次いで13-cといったところだ。19や3-oあたりは複勝率ではそれに遜色ないレベルで集計結果が出ている。

本当は、ディープインパクトが勝つときの前半3Fと後半3Fとレース前半3Fとレース後半3Fの比較とか、各産駒のラップ比較とかいろいろ試したいことがあってやってみたのだが、思ったほど特徴的なことが見当たらなかったため後回ししていたら時間切れ。またどこかの機会にやってみようと思う。

今回はここまで。
また違う競馬場でもやれたらなあと思う。もう少し集計を進化させたいな。

ちなみに集計は血統データを入手できた2011年12月末時点以降、2020年5月末までの現役馬の血統データを使用している。2011年から2015年7月までは完全な形でデータを入手できておらず一部欠落となっているため、ご了承の上ご確認いただきたい。

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当集計には競馬道OnLineに許諾を得て競馬道OnLineデータを使用しております。
競馬道OnLine:https://www.keibado.ne.jp/
競馬道データ会員:https://www.keibado.net/kdata/

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